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明けました、2020年。 [overview]

明けました、おめでとうございます。本年も、どうぞ、よろしくお願いいたします。
さてさて、年を跨いで風邪を引いてしまいました。何と言う年明け!という中での、令和ニ年、最初のupであります。ということで、とうとうオリンピック・イヤーを迎えるわけです。ワクワクします。いや、不協和音に充ち満ちた今の世界を見渡せば、商業主義が跋扈し、見掛け倒しの選手ファーストであったとしても、ひとところに世界中の選手が集うことの意義の大きさは計り知れない気がします。ラグビー・ワールドカップのあのキラキラとした日々を振り返れば、なおのこと... なればこそ、2020年、より大きな視点で、期待せずにはいられません。すばらしい大会となりますように... 一方、クラシックは、何と言ってもベートーヴェン・イヤーでございます。生誕250年のメモリアルを迎えるベートーヴェン(1770-1827)!こちらもワクワクしてしまいます。というのも、ひとり好きな作曲家を挙げなさい、と言われたら、いろいろ思案しながらも、ベートーヴェンと答えてしまうだろうから... そう、ベートーヴェンが好き!やっぱり期待せずにはおられません。どんな一年となるのか、楽しみ!
ではありますが、本日は、ベートーヴェン以外のメモリアルを迎える作曲家たちに注目してみたいと思います。いや、これがまたなかなか興味深い面々が揃っておりまして... 2020年のクラシックをより豊かなものにするために、ちょっとマニアックに攻めます。

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ベートーヴェン、ミサ・ソレムニス。 [2013]

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2020年は、ベートーヴェン・イヤー!ということで、"新発見"とか、"世界初録音"とか、今からいろいろ期待してしまうのだけれど... そうした矢先、昨年末、ベートーヴェンが、10番目の交響曲として構想し残したスケッチを基に、AIによって"第10番"を作曲する、というニュースがありました(完成は、春の予定... )。いや、ひばりさんに負けられない... てか、合唱付きを越えてゆく交響曲(否が応でもハードルは上がる!)として、どんな音楽に仕上がるのか、興味津々。聴力がどんどん失われて行く晩年の楽聖は、誰も辿り着けないような、独特な音世界の中に在ったわけで、最後の3つのピアノ・ソナタなどを聴けば、その突き抜けた音楽の在り様に、どこか作曲という行為さえ越えてしまったような印象すら受ける(なればこその"楽聖"なのだと思う... )。AIは、この独特さをどう学習するのだろう?18世紀、ウィーン古典派の伝統を、しっかりと受け継いでいるベートーヴェンの音楽(初期)。ここまでならば、学習は容易。18世紀から19世紀への激動の時代(フランス革命からのナポレオン戦争からの保守反動... )をサヴァイヴし、ロマン主義的な方向性に個性を見出したベートーヴェン(中期)。これもまた、学習するのは、そう難しいものではないと思う。が、ロマン主義そのものへと向かうことはなかった晩年(後期)... 外からの音と断ち切られて至った境地は、学習して辿り着けるだろうか?いや、理論や様式を越えた地平を、AIが見つけることができたならば、楽聖、ベートーヴェンの真髄が、詳らかになるのかもしれない。
ということで、これもまた真髄、と思う作品... フィリップ・ヘレヴェッヘ率いるシャンゼリゼ管弦楽団の演奏、コレギウム・ヴォカーレの合唱、マーリス・ペーターゼン(ソプラノ)、ゲルヒルト・ロンベルガー(メッゾ・ソプラノ)、ベンジャミン・ヒューレット(テノール)、デイヴィッド・ウィルソン・ジョンソン(バリトン)のソロで、ベートーヴェンのミサ・ソレムニス(PHI/LPH 007)を聴く。

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"spaces & spheres"、直観の音楽。 [2013]

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フリー・ジャズって、"ゲンダイオンガク"みたいな印象を受けるのだけれど、それっておもしろいなと思う。ジャズたらしめて来た型枠からフリーになると、"ゲンダイオンガク"っぽく響くというね... そもそも、現代音楽が、難解な"ゲンダイオンガク"の様相(もちろん、一概には言えない... )を呈するのは、音楽史が積み上げて来たロジックをひっくり返したり、何したり、より高度に複雑怪奇になったがためであって、つまり、フリーの対極にあるわけで... それが、フリーとなったジャズに似ているとは、一周回って、極めて近い場所に音楽が成立しているということか?改めて、フリー・ジャズと現代音楽を並べてみれば、ロジックを極めることと、フリーであることの表裏一体感が、もの凄く刺激的に感じられる。それでいて、その表裏一体に、音楽の本質が窺えるようで、感慨すら覚えてしまう。だったら、この際、フリー現代音楽をやってみたら、どうなるだろう?ロジックを介さず、フリーに、インプロヴィゼーションで、現代音楽というフィールドで、新たな音楽を創出する。てか、ロジックを手放した現代音楽は、もはやフリー・ジャズか?いや、もはや何物でもないのかもしれない... そう、現代音楽の、その先にあるサウンドは、突き抜けたニュートラル。そんなアルバムを聴いて、お正月気分を浄化してみようかなと...
マルクス・シュトックハウゼン(トランペット/フリューゲル・ホルン)、タラ・ボウマン(クラリネット)、ステファノ・スコダニッビオ(コントラバス)、ファブリツィオ・オッタヴィウッチ(ピアノ)、マーク・ナウシーフ(パーカッション)によるインプロヴィゼーションを、ワルター・クインタスが編集したアルバム、"spaces & spheres intuitive music"(WERGO/WER 67642)を聴く。

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タグ:室内楽 現代
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シューベルト、18番と21番のピアノ・ソナタ。 [2015]

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冬はつとめて... 清少納言は、冬の美しさを象徴する一時に、早朝を挙げている。なかなか布団から出るのが難しい時間帯だけれど、そのキーンと冷えた空気、澄んだ大気の清浄さは、確かに、冬なればこそ... そういうクリアさ、嫌いじゃない。ということで、春は曙、秋は夕暮れ、みたいに、四季を楽器で語ったら... 昨秋のチェロヴィオラ・ダ・ガンバに続いての冬。冬はピアノ... 冷徹なまでに、クリアに音階を刻むことのできるマシーンは、どこか冬の佇まいに通じる気がする。もちろん、ピアノはどんな季節だって自在に表現できる。が、ポンっと、打鍵して広がる響きの明瞭さは、冬の大気の清浄さを思わせて、そういう他の楽器では味わえないクリアさに触れていると、何だか耳が洗われるような... いや、このあたりで、ちょっと、洗われた方が良いのかも... 年末、盛りだくさんな歌モノが多かったし... いや、ちょっと、じっくり、ピアノと向き合ってみようかなと...
で、シューベルト。ハンガリーの巨匠、アンドラーシュ・シフが、1820年頃製作のフランツ・ブロードマンのピアノで弾く、シューベルトの18番と21番のピアノ・ソナタ... 楽興の時、即興曲なども収録された2枚組(ECM NEW SERIES/4811572)を聴く。

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フェルドマン、初期ピアノ作品集。 [2013]

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スキー場の雪不足のニュースに、温暖化の影響をひしひしと感じる今日この頃ではありますが、陽が落ちれば、やっぱり、寒い。夜、足元からの冷え込みをジーンと感じれば、やっぱり冬だなと... という中、ピアノをフューチャーしております。冬はピアノ... そのクリアな響きを、冬の空気感と重ね合わせて、この冬に、集中的にピアノを聴く。で、前回、ピリオドのピアノで、淡々と、シューベルトのピアノ・ソナタを聴いたのだけれど、今回は、さらなる気温の低下を招く?現代音楽のピアノ。いわゆる"ゲンダイオンガク"の抽象を、ピアノというマシーンで奏でると、より研ぎ澄まされた世界が広がるようで、それは、どこか、冬の景色に似ているのかなと... いや、振り返ってみると、ここのところ、イカニモな"ゲンダイオンガク"(戦後「前衛」的な... )を聴いていない気がして... 避けているわけではないのだけれど、広過ぎて、浅過ぎる、当blogの関心の散漫さゆえに、ディープな"ゲンダイオンガク"に、なかなか迫れない?ならばと、聴きます。冬はピアノ... で、戦後「前衛」。
アメリカの戦後世代を代表する作曲家のひとり、フェルドマンの、静かに研ぎ澄まされたピアノによる抽象... 現代音楽のスペシャリスト、ドイツのサビーネ・リープナーによる、フェルドマンの初期ピアノ作品集、2枚組(WERGO/WER 6747 2)を聴く。

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シューベルト、遠くへの渇望。 [2019]

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これもまた、旅なのかもしれない。冬の旅、ではなくて、シューベルトのアイスランドへの、あるいは、フォークロアへの旅... アイスランド出身のテノール、クリスチャンソンが、シューベルトの歌曲とアイスランドの民謡を並べるという、大胆な1枚を聴いてみようと思うのだけれど、元来、並ばない音楽が並んで生まれるケミストリーは、実に刺激的で、様々な想像を掻き立てる。シューベルトは、南への憧れを、その音楽に、様々に籠めている。君よ知るや南の国... ミニョンの歌(ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』から採られた詩、故郷、南の国から離れたミニョンが、その故郷の美しい情景を想って歌う... )は、まさに象徴的。で、ミニョンにシューベルトの姿が重なる?アルプスを越える経済力も行動力も無かったシューベルトだったけれど、知らない南の国を夢想しながら書いた音楽、例えばイタリア風序曲だとかを聴いていると、何だか切なくなってしまう。音楽の中で旅したシューベルト... そのシューベルトが、南ではなく北へと旅したら、どうだったろう?と、夢想しながら...
ベネディクト・クリスチャンソンのテノール、アレクサンダー・シュマルツのピアノで、遠くへの憧れを歌う、アイスランド民謡、そして、シューベルトの歌曲を、大胆にひとつにまとめたアルバム、"Drang in die Ferne"(GENUIN/GEN 19645)を聴く。

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シャリーノ、ピアノ作品集。 [2013]

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大寒、です。改めて、その字面を見つめると、インパクトある!で、この間の土曜日、雪、降りました、関東平野... ほんの少しだけれど、それでも、雪が降る情景に、スペシャル感、感じずはいられないのは、雪降らない圏の住人の性。冬、大いに寒いのはイヤだけれど、冬らしい情景を目の当たりすると、人知れずテンション上がってしまう。もちろん、積もったりすると、目も当てられない状況に陥るのが、雪降らない圏の脆弱さでありまして、テンションなど上げてる場合じゃないのだけれど、それでも、真っ白な冬、降り積もった雪に、世間の音が雪に吸収されて生まれる静寂は、ファンタジー!またそんなファンタジーに包まれたい... とは言え、温暖化が進めば、それは伝説になってしまうのだろう。大いに寒いのは苦手だけれど、ファンタジーが消えうせてしまうのは、やっぱり寂しい。さて、冬はピアノ... ファンタジーではない、クリアな冬の空気感の中、ピアノのクリアな響きを味わおうという今月、再び、"ゲンダイオンガク"の研ぎ澄まされたピアノに触れてみようかなと...
アメリカの戦後「前衛」世代、フェルドマンの抽象に続いて、イタリアの"ゲンダイオンガク"のアウト・ロー、シャリーノ(b.1947)による不思議な音楽世界。フロリアン・ヘルシャーのピアノで、シャリーノのピアノ作品集(NEOS/NEOS 11124)を聴く。

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タグ:ピアノ 現代
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シューベルト、19番と20番のピアノ・ソナタ。 [2019]

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冬はピアノ... ということで、ピリオドのピアノによるシューベルトのピアノ・ソナタに始まり、フェルドマンの1950年代のピアノ作品、シャリーノの1990年代のピアノ作品と、ある意味、ピアノの際立った面を聴いて来た今月半ば... 際立ったればこそ、この楽器が持つ表情の幅、あるいは可能性を思い知らされた。ピリオドのピアノの、枯れたようなサウンドだからこそ克明となる作曲家(シューベルト)の心の内、たっぷりと間を取った抽象(フェルドマン)が引き立てるピアノの研ぎ澄まされた響き、研ぎ澄まされた響きを、静けさの中に浮かべて、滲み出す思い掛けない色彩(シャリーノ)。ただ打鍵するだけならば、初めてピアノに触れるキッズも、老練なヴィルトゥオーゾも、まったく同じ音を出せるピアノ。均質に音を出せるマシーンたる所以の凄さなのだけれど、それをも凌駕して行く作曲家たちの仕事であり、ピアニストの腕であり... 凄いピアノに、如何に挑もうか、そういう気概が、マシーンであることを越えてピアノの宇宙を拓き、ますます凄い!そうしたあたり、刺激的だなと...
さて、再び、シューベルトへ。アンドラーシュ・シフが、1820年頃製作のフランツ・ブロードマンのピアノで弾く、シューベルトの19番と20番のピアノ・ソナタに、4つの即興曲、3つのピアノ曲も取り上げる2枚組(ECM NEW SERIES/4817252)を聴く。

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エストニア、ルーン歌謡と民謡聖歌。 [2013]

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冬はピアノ... に、続いて、冬っぽさを求めて、北欧の音楽なんか聴いてみようかなと... で、バルト三国、エストニアに注目!さて、エストニアと言いますと、N響のシェフ、パーヴォの出身国でありまして、つまり、ヤルヴィ家の故国でありまして、そのヤルヴィ家とも親交のある、癒し系の先駆者、ペルトを生んだ国。いやいやいや、それだけじゃない、クレークに、トゥビンに、トルミスに、トゥール、何気に、音楽大国... そんなエストニアの音楽の真骨頂は何かと言いますと、ズバリ、歌!何と、現在のエストニア共和国は、"歌う革命"(ソヴィエトからの独立運動、人々は、デモで歌ってソヴィエトに対抗した!ことからそう呼ばれる... )によって成立しておりまして... というくらいに、歌うことは、エストニアの人々にとって、欠かせないもの。それを象徴するのが、5年に一度、首都、タリンで開かれる、全国歌謡祭(1869年に始まり、紆余曲折ありながらも、昨年、第27回を開催!2003年には、ユネスコの無形文化遺産にも登録... )。国中から集まった様々な合唱団が、民族衣装を着て、練り歩き、歌い、最後はひとつとなって、愛国歌を歌うという民族の祭典。で、その規模、30万人(エストニアの人口が130万人というから... 凄い... )!いや、歌うエストニア、恐るべし... そんなエストニアの、歌のルーツを探る。
エストニアの作曲家、マルゴ・コラルが率いる、エストニアのヴォーカル・アンサンブル、ヘイナヴァンケルが、エストニアの人々が太古の形式を受け継ぐルーン歌謡と、民謡をベースとしたエストニアの聖歌に、そうしたエストニアの歴史と伝統に根差したコラル自身による作品を歌うアルバム、"song of olden times"(harmonia mundi/HMU 907488)を聴く。

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ヴァインベルク、室内交響曲。 [2017]

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2019年は、ヴァインベルクの生誕100年のメモリアル。だったのですね... 年明けてから気付きました。で、凹んでおります。毎年末、来年、メモリアルを迎える作曲家には、誰がいるのかなァ~ と、ワクワクしながら調べるのですが、まさか、ヴァインベルクを見落とすとは... いや、まだまだマニアックとはいえ、ここ数年、明らかに再評価の機運が高まっているヴァインベルク。ECMでクレーメルが、CAHNDOSでスヴェドルンドが、積極的にヴァインベルグを取り上げて来て、その音楽の魅力は、ジワジワと知られつつある?いや、ショスタコーヴィチの弟分にして、その延長線上で、もうひとつ洗練されたものを響かせるヴァインベルクの音楽は、なかなか魅力的。何より、20世紀の音楽が音楽史に回収され、現代音楽というフレームを外して見つめることができるようになって、初めて、近代以前の伝統が息衝くヴァインベルクの音楽は、輝き出すように感じる。
ということで、12月8日が誕生日だというから、生誕100年から、まだ2ヶ月は経っていないぞ!と、豪語の追い祝い... ギドン・クレーメル率いる、クレメラータ・バルティカの演奏で、ヴァインベルクの室内交響曲(ECM NEW SERIES/4814604)を聴く。

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