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バッハ、無伴奏チェロ組曲。 [2007]

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日曜、秋晴れの下のパレード。"祝賀御列の儀"という言葉が、凄いインパクトを放っていたのだけれど(それ、また、ツボ!)、テレビで見るその光景は、穏やかで、午後、傾き出した太陽に照らされて、キラキラとしていながら、思い掛けなくアットホームな感じというか、どこかやさしさに包まれた気分が、テレビの中に広がっていて、それが、テレビからもこぼれ出すようで、じんわりしてしまう。もちろん、警備やら何やらで、準備は尋常では無かったと思う。穏やかに見える光景には、間違いなく多くの努力があったはず... 沿道で、スマホを構えながら、笑顔で手を振るみんなも、朝早くから並んだだろうし、検査だ何だで煩わしい部分もあったはず... それでも、色付き始めた街路樹を背景に、パレードがゆく様子は、やわらかく、"祝賀御列の儀"という慇懃無礼を極めたワードとは裏腹に、何とも言えない大きなエンパシーが感じられ、耳で聴くのとは違うハーモニーが見えた気がした(努力も、時として煩わしささえも、ハーモニーの一部なのかもしれない... )。何だろう、この心地... これが、令和、"beautiful harmony"?これから、そういう時代がやって来る?いや、そうして行きたいなと...
そんな願いも籠めて、やさしい音楽を聴いてみる。"音楽の父"による、懐の深い音楽... ジャン・ギアン・ケラスの演奏で、バッハの無伴奏チェロ組曲(harmonia mundi FRANCE/HMC 901970)。たったひとつの楽器で奏でる、"音楽"という宇宙を体感できる希有な作品、チェロの名作を、今、改めて聴いてみようかなと... てか、天皇陛下はヴィオラなのだけれど...

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中世、パリ、中央集権化とともに花開いたノートルダム楽派! [2007]

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パリは、田舎だった。と言っても、なかなかリアリティが持てない。けれど、田舎でした。紀元前3世紀、ケルト系、パリシイ族の集落として始まったパリ... その後、ローマの支配下に入り、都市として整備されるも、まだまだ一地方都市。で、首都の地位を獲得するのが、508年。パリはフランク王国の首都となる。しかし、建築大好き、インフラ・マニアのローマ帝国とは異なる、ゲルマン系、フランク王国... ローマのような輝かしい威容を手に入れるなんて夢のまた夢。というより、中世の都市は、どこも似たり寄ったりの田舎町のような風体であった史実。やがて、フランク王国から西フランク王国へ、西フランク王国はフランス王国となるも、状況は変わらず... というより、ヴァイキングの襲撃があり、王権の弱体化もあって、パリは首都でありながらますます湿気た状態に陥って行く。そんな空気感を打破するのが、ノートルダム大聖堂の建設だった!国王、ルイ7世(在位 : 1137-80)の臨席の下、ローマ教皇、アレクサンデル3世(教皇選出時にゴタゴタがあって、パリに一時避難... )によって礎石が置かれたのが1163年。当時、最新のゴシック様式で建設され、まず、内陣が完成すると、1182年、献堂式が行われ、パリ司教座、ノートルダム大聖堂の歴史が動き出す(全てが完成するのは、まだかなり先... )。それは、パリがパリたる表情を見せた最初の瞬間であり、その威容をシンボルに、パリは成長を始める。
という、ゴシック期のパリ、ノートルダム大聖堂が育んだ音楽に注目... アントワーヌ・ゲルバー率いる、フランスの古楽ヴォーカル・アンサンブル、ディアボルス・イン・ムジカが、ノートルダム楽派による1170年から1240年に掛けての音楽、オルガヌムとコンドゥクトゥスを歌うアルバム、"Paris expers Paris"(Alpha/Alpha 102)、パリよ、パリのみぞ素晴しけれ、を聴く。

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ヌールハイム、カロラシオーネ。 [2007]

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台風が行ってしまえば、涼しくなるかな?と、漠然と期待していたのですが、甘かった... いやはや、まだまだ暑い!ということで、まだ行きます、北欧... さて、北欧と言えば、オーロラ!北欧神話では、天空を駆け巡るヴァルキューレたちの甲冑の輝きだと語られたのだとか... いや、北欧の人々の想像力の豊かさと、センスに感心してしまう。でもって、おもしろいのは、そのメカニズムにも想像性を感じ、センスすら見出せるところ... あれって、夜に現れるけれど、太陽からの光なのだよね。もちろん、日光とは別物。太陽が放出したプラズマが、地球の磁場に弾かれるも、一部、器用に巻き込まれ、太陽とは反対の方向から、極地の磁場の隙間にスルっと入り込み、大気に漂う酸素原子やら何やらをびっくりさせて、光らせるという、随分と凝った仕掛けの壮大な手品のよう。いや、あれは、オーディン(北欧神話の主神、ドイツ語ではヴォータン... )がヴァルキューレたちを使って繰り広げる手品なのかも... そういう北欧の特別な環境が育む、「北欧」の感性ってあるような気がする。
ということで、オーロラが揺らめくようなエレクトリカルな音楽!ノルウェーの現代音楽専門家集団、シカダのキーボーディスト、ケネス・カールソンと、パーカッショニスト、ビョルン・ラッベンのシカダ・デュオと、アク・パルメラドのエレクトロニクスに、エリザベト・ホルメッツ(ソプラノ)の歌も加わって、ノルウェーの作曲家、ヌールハイムの作品集(2L/2L-039-SACD)を聴く。

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グリーグ、オーラヴ・トリグヴァソン。 [2007]

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シベリウスを聴いたので、クラシックにおける「北欧」の二枚看板のもう一方、グリーグを聴いてみようと思うのだけれど... ふと考えてみると、グリーグの作品って、あまり聴いたことがないのかもしれない。ピアノ協奏曲に、『ペール・ギュント』... 有名な作曲家ほど、有名な作品ばかりに注目が集まりがちで、全体像が見え難いような気がする。クラシックの悪い癖?どうしても聴き馴染みのある名曲に流れがち... いや、それだけの吸引力を持つのが名曲の名曲たる所以ではあるのだけれど、多くの隠れた名曲に触れず仕舞いになってしまうのはとても残念なことだと思う。で、まさに、グリーグがそういう作曲家のように感じる。ピアノ協奏曲、『ペール・ギュント』以外にも、多くの作品を書いているグリーグ... 交響曲に、管弦楽曲室内楽曲ピアノ曲歌曲と、その楽曲一覧を見れば、この人が、まさにオール・ラウンド・プレイヤーであったことを思い知らされる。そして、どの作品からも、グリーグらしさは溢れていて、瑞々しく、ピアノ協奏曲、『ペール・ギュント』に負けず惹き込まれる。
そんなグリーグのオペラ... オーレ・クリスティアン・ルードの指揮、ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏、ベルゲン・フィルハーモニー合唱団らの歌で、グリーグの未完のオペラ『オーラヴ・トリグヴァソン』からの3つの場面(BIS/BIS-SACD-1531)を聴く。

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ベートーヴェン、幽霊。 [2007]

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さて、夏と言えば、怪談ですよね。ということで、『さまよえるオランダ人』、『幽霊船』『ロスト・ハイウェイ』と、怪奇なオペラを聴いて来ての、ズバリ、幽霊を聴く!って、ベートーヴェンの5番のピアノ三重奏曲、「幽霊」なのだけれど、なぜに「幽霊」と呼ばれるのか?未完のオペラ『マクベス』の、魔女の集会のシーンのために書かれた音楽を転用したから、という説と、2楽章の始まりが、当時の聴衆にとって、幽霊が出て来る音を思わせたから... いわゆる、日本で言うところの"ひゅうどろ"的なイメージだった?という説があって、なかなか興味深い。ま、魔女と幽霊は明らかに違うから、後者の方により説得力があるように感じるのだけれど、てか、2楽章は、始まりに限らず、幽霊っぽい。で、この幽霊っぽさが、当時、新鮮だった気がする。音楽史における、ベートーヴェンの「幽霊」以前の怪異な表現は、バロック・オペラ、定番の魔女たちや、『ドン・ジョヴァンニ』の騎士長のように、実態がはっきりとあって(足がある!)、解り易く、コワモテ... の、一方で、ベートーヴェンの「幽霊」は、日本の幽霊に近く、気配から入って来る。いや、ベートーヴェンが表現しようとしていたものが幽霊であったかどうかは、正直、微妙なのだけれど、当時の人が、そこに幽霊を見たとしたなら、それこそが、まさに幽霊な気がして来る。
ということで、「幽霊」です。で、そればかりでなく、ベートーヴェンのライヴァルも... ダニエル・ゼペック(ヴァイオリン)、ジャン・ギアン・ケラス(チェロ)、アンドレアス・シュタイアー(ピアノ)という、豪華、名手が揃ってのピリオド・アプローチによるトリオで、ベートーヴェンの3番と5番、「幽霊」と、フンメルの4番のピアノ三重奏曲、3曲(harmonia mundi/HMC 901955)を聴く。

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ノイヴィルト、ロスト・ハイウェイ。 [2007]

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さて、夏と言えば、怪談ですよね(と、前回に引き続き... )。えーっと、幽霊は見たことないけれど、不思議な体験はチラホラ... そんな体験のひとつです。実話怪談で著名な、加門七海氏の本(何だったか忘れてしまった... )を、音楽を聴きながら読んでいた時のこと、加門さんの本を読んでいると、怪異を引き寄せることがあるらしい... と書いてある下りに来て、突然、CDプレイヤーが音飛びを始める。間もなく、音飛びは激しくなって、ドンッ、バンッ、みたいな、凄い音がスピーカーから溢れ出し、冷や汗。その後、CDを入れ直せば、何の問題もなく再生。あのドンッ、バンッは、何だったのか?偶然に起きた某かの電気信号の乱れ、と言ってしまえば、それまでだが、この世には、思いの外、不思議なことが多いように思う。というあたりを知らしめてくれるのが、実話怪談の数々... で、今や、実話怪談の平均律クラヴィーア曲集とも言えるシリーズ、木原浩勝氏と中山市郎氏による『新耳袋』、その第9夜には、クラシックにまつわる怪談(今や懐かしい朝比奈先生の逸話... )が収録されておりまして、実に興味深い!で、最も興味深かったのは、紀尾井ホールができるまでの話し... できるまでだから、クラシック以前なのだけれど、紀尾井ホールが建つ地には、深く入り組んだ歴史があるのだなと、感慨。いや、「恐い」の裏にある歴史のおもしろさ... 歴史が好き、というのと、古典音楽(=クラシック)が好き、というのは、過去に起因して成り立つ怪談が好き、と親和性があるように感じるのです。信じるか信じないかは、あなた次第です。
って、言ってみたかった... は、さて置きまして、19世紀の幽霊船から一転、現代的なホラーを... オーストリアの気鋭の作曲家、オルガ・ノイヴィルト(b.1968)が、デイヴィッド・リンチの映画『ロスト・ハイウェイ』(1997)をオペラ化した作品、ヨハネス・カリツケの指揮、クラングフォルム・ウィーンの演奏で、ムジークテアター『ロスト・ハイウェイ』(KAIROS/0012542 KAI)を聴く。

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"Solo cello and... "、+αが拓く、20世紀、チェロの新たな地平... [2007]

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えーっ、先日のことでありますが、ちょいとテレビをつけたところ、『超入門!落語THE MOVIE』なんていう番組(前から気になっていた!)をやっておりまして、ついつい見入ってしまう。というのも、アテレコならぬアテ芝居(噺家さんの話しっぷりに、ぴたりと役者さんが芝居を付けちまうってんだから驚いた!)でもって、噺を鮮やかにヴィジュアル化。いやー、古典落語の、取っ付き難そうに感じていたあたりが、まっつぐに視覚で捉える事ができて、便利なものでして... いやいや、普段、落語なんて聴かないものだから、もの凄く新鮮で、何より、そのフンワリとした世界観に癒される。世知辛い現代を生きていると、どんな落ちが付くのかと、ちょっとヒヤヒヤしながら見守る、それぞれの噺なのだけれど、ささやかながら、どれも拍子抜けしてしまうほどに、最高のハッピー・エンドを迎えるから、驚かされる。でもって、そうか、昔の人は、こうもまっつぐな物語を是としていたのかと、深く深く感慨を覚えてしまう。古典落語に教えられる、ハッピー・エンドは正義!裏を返せば、今、我々が生きている現代が、如何に不正義であるかを思い知らされる。人々は、いつからまっつぐに生きられなくなってしまったのだろうか?
さて、この秋、まっつぐにチェロを聴いております。そして、前回に続き、再びのマリオ・ブルネロのチェロの演奏で、現代音楽の多彩な作曲家たち、ソッリマ、スカルソープ、シェルシの、独奏チェロともうひとつの存在(ライヴ・エレクトロニクス/コーラス/パーカッション)による作品を集めた興味深い1枚、"Solo cello and... "(Victor/VICC-60556)を聴く。

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20世紀、哀歌、マーラーの厭世から、ショスタコーヴィチの寂寥へ... [2007]

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何かこう、気詰まりなことばかりで、ぐったりさせられる日本であり、世界であり... 一体、どうなってしまったんだろう?なんて、ここ最近、ニュースを見ながら、つくづく思う。いや、こんな状態が、もうずっと続いているのだよね... それはまるで先が見えないトンネルを歩かされているような状況で... 先へと進めばきっと出口があるだろうと思って、薄暗い中を進むのだけれど、穴はどんどん狭まり、気が付けばぎゅうぎゅうになっていて、そのストレスのせいか、あちこちで癇癪が引き起こされる。その癇癪が、また新たな癇癪の引き金になって、その騒々しさに、みんな窒息しそうになっている。今、最も必要とされているのは冷静さ、捉われないこと、多角的に物事を見つめる力、何より度量なのだと思うのだけれど、それらが、何とも贅沢に感じられるほど、我々の世の中は汲々としている。で、いつからこんな風になってしまったのだろうと考えるのだけれど、歴史を振り返ると、いつもそんな感じだったと言えるのかもしれない。マーラーの厭世的なあたり、ショスタコーヴィチのアイロニーは、汲々とした中を生きてこそ響いた音楽。だからこそ、時を経て、共感できるのだろうなと... ふと、そんなことを考える。
ということで、ギドン・クレーメル率いるクレメラータ・バルティカの演奏で、弦楽オーケストラ用にアレンジされた、マーラーの交響曲、10番のアダージョと、そのマーラーの影響も指摘される、ショスタコーヴィチの14番の交響曲(ECM NEW SERIES/4766177)を聴く。

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古楽、伝統、近代、いともニュートラルなマリピエロ。 [2007]

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そう言えば、今年、2016年は、日伊修好150年なんだそうです。
1866年、イタリアは統一目前で、日本は幕末という、互いになかなか興味深い状況下で結ばれた日伊修好通商条約。おもしろいのは、その後の150年の歩みが、日本もイタリアも似ているところ。第1次大戦への微妙な参戦、それによる一応の戦勝。やがてナショナリズムが台頭し、軍部の専断、日独伊三国同盟で戦った第2次大戦、そして、敗戦。戦後は、アメリカの影響下、西側、自由主義陣営の一員として歩み... あれれ、何この不思議なパラレル感!あの歴史ある華麗な"イタリア"というイメージから離れ、"国"として見つめると、おもしろいくらいに近しく感じられてしまう?ということで、近代イタリアの音楽を聴いております、今月... なんて、実は後付けなのだけれど、この際、近代イタリアの音楽をしっかり聴こうではないかと...
レスピーギの擬古典主義、マルトゥッチに始まる近代イタリアにおける音楽の諸相、そして、戦後「前衛」の時代、我が道を行ったベリオと来て、近代イタリア、最も重要な作曲家と目されるマリピエロを取り上げる。オルフェウス弦楽四重奏団のASVからリリースされていた名盤の復刻、マリピエロの弦楽四重奏曲全集(BRILLIANT CLASSICS/BRL 8550)を聴く。

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シューマンからバッハへ... [2007]

寒さが厳しくなってまいりました。そして、今年も残すところ...
やっぱり、あっという間で、訳がわからないまま、今日に至ってしまった。で、大丈夫なのだろうか?これで納まるのだろうか?いや、そう言いながら、はっと気が付けば、紅白を見終わっている。そんな感じで正月を迎えているはず。大丈夫も何も、強引に正月はやって来て... まったく、年末なんて、もう!である。
さて、当blogの空白期を埋める試みとして、春から2007年を聴き直してきたのだけれど、それも今回が最後。ということで、2007年にリリースされた3タイトル... フィリップ・ヘレヴェッヘ率いる、シャンゼリゼ管弦楽団による、シューマンの1番と3番の交響曲(harmonia mundi FRANCE/HMC 901972)。ヘルマン・マックス率いる、ライニッシェ・カントライ、ダス・クライネ・コンツェルトらによる、シューマン版、バッハのヨハネ受難曲(cpo/777 091-2)。ハンスイェルク・アルブレヒトのアレンジ、演奏による、オルガン版、ゴルトベルク変奏曲(OHEMS/OC 625)。シューマンからバッハへ... と、聴き直す。

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