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大聖堂の外に出て、ラウダ、黄金伝説。 [before 2005]

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ロマネスク期、修道院にて、じっくりと育まれた聖歌が、ゴシック期、大聖堂という壮麗な場所を得て、教会音楽へと発展。中世の音楽のメイン・ストリームは、黄金期を迎えるわけだけとれど、大聖堂の外では、また新たなムーヴメントが起こっていた... というのが、13世紀のイタリア、大聖堂で歌われるラテン語の聖歌(特別な教育を受けた聖職者=エリートたちによる... )の対極とも言える、ラテン語を解さない市井の人々が歌える聖歌、ラウダのブーム!その起源については、はっきり解っていないものの、ゴシック期のカウンター・カルチャー、アッシジのフランチェスコが始めた托鉢修道会、聖フランチェスコ会の活動(修道院に閉じ籠るのではなく、清貧を以って民衆の中へと入っていき、布教の際には、みんなでラウダを歌った... )によって広まり、民衆の音楽として、熱狂的に受け入れられることに... その後、14世紀、トレチェント音楽(ゴシック期の音楽先進国、フランスの最新のポリフォニーの影響を受けつつ、後のイタリアの音楽を予兆するかのようにメロディーを重視した音楽... )とも共鳴し、音楽としても発展を始め、ルネサンス期には、フランドル楽派の巨匠たちも作曲するまでに...
ということで、ラウダに注目。古楽アンサンブル、ラ・レヴェルディによる、13世紀の年代記作者、ヤコブス・デ・ウォラネギが書いた聖者列伝、『黄金伝説』に基づくラウダを集めた、"Legenda Aurea"(ARCANA/A 304)。中世のフォーク・ブームを聴く。

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修道院の歌。12世紀の単旋律の聖歌... [before 2005]

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古代から中世への長い移行期間を経た先に、8世紀後半、カロリング朝により再統一された西欧。政治的再統一は、西欧の教会にも大きな影響を与え、各地で独自に育まれていた典礼は、ローマ教会の伝統の下に統一されることに... これにより、典礼を織り成す聖歌にも統一規格が整備され... それが、西洋音楽の種、グレゴリオ聖歌。で、興味深いのは、聖歌に関しては、古代以来のローマの伝統に倣うばかりでなく、各地で歌われていた聖歌が総合されたこと... そう、西洋音楽の種は、ゲノム編集で生まれた!なればこそ、ニュートラルに仕上がったグレゴリオ聖歌であって、教皇のお膝元、ローマで歌い継がれて来た古ローマ聖歌の古代地中海文化圏の性格が息衝く、ある種、ワイルドな性格と比べれば、それは、歴然。そして、そのニュートラルさが、西洋音楽の種としての可能性を押し広げたようにも思う。そして、その種を受け取り、発芽させ、育てたのが、修道院。そんな修道院で、じっくりと時間を掛け、ゆっくりと成長した聖歌、12世紀の単旋律の聖歌に注目...
ポール・ヒリアー率いるシアター・オブ・ヴォイセズの歌で、中世、フランスを代表する哲学者にして修道士、アベラールが書いた聖歌と、ラス・ウエルガス写本からの聖歌による"Monastic Song"(harmonia mundi FRANCE/HMU 907209)を聴く。

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ドメニコ・ガブリエッリ、チェロ作品全集。 [before 2005]

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北イタリア、アルプスとアペニン山脈に挟まれたポー平原が、クラシックにおける器楽曲の故郷... と言っても、ピンと来ない?やっぱり、音楽の都、ウィーンとか、ベートーヴェン、ブラームスらを輩出したドイツのイメージが前面に立ってしまうのがクラシック。音楽史におけるポー平原の重要さは、普段、あまりに目立たないのが、もどかしい!というポー平原、そのちょうど真ん中には、アマーティ、グァルネリ、そして、ストラディヴァリといった伝説的な名工たちが腕を競った街、クレモナがある。これが、とても象徴的... で、そうした楽器製作に裏打ちされ、平原の東の端、ヴェネツィアで、まず器楽演奏が盛んになり、ルネサンスからバロックへとうつろう頃、器楽曲の端緒が開かれる(それまでの器楽演奏は、歌のスコアを楽器で演奏するというもので... つまり、歌と器楽がリバーシブルなのが常だった!)。そうしたヴェネツィアでの試みは、間もなく平原に点在する宮廷や都市に広がり、やがて、北イタリア各地とイタリア中央部を結ぶ交通の要衝、ボローニャで活躍した、ボローニャ楽派によって、17世紀後半、ソナタ、コンチェルト、我々にとってお馴染みの器楽曲の形が整えられて行く。
ということで、ヴィターリ親子に続いてのボローニャ楽派、チェロのヴィルトゥオーゾ、チェロのための音楽を切り拓いたドメニコ・ガブリエッリに注目!鈴木秀美のチェロで、ドメニコ・ガブリエッリのチェロ作品全集(Arte dell'arco/TDK-AD009)を聴く。

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18世紀、ロンドンに合奏協奏曲ブーム到来! [before 2005]

我々が知るコンチェルト、独奏楽器による協奏曲の歴史は、意外と新しい。一方で、「コンチェルト」という言葉は、ルネサンス期にまで遡れるからおもしろい。16世紀、ヴェネツィア楽派のコーリ・スペッツァーティ=分割合唱に端を発し、器楽と声楽が対峙する音楽を「コンチェルト」と呼んでいたのが、17世紀、器楽と器楽、2群のアンサンブルによる音楽も「コンチェルト」と呼ばれるように... 2群のアンサンブルは、大集団(リピエーノ)と小集団(コンチェルティーノ)という風に、コントラストが付けられるようになると、17世紀の後半、ローマで活躍したストラデッラ(1644-82)が、コンチェルティーノとリピエーノによるコンチェルト・グロッソ=合奏協奏曲の雛型を生み出す。そのアイディアを受け継いだのが、同じくローマで活躍したコレッリ(1653-1713)。やがて合奏協奏曲という形を確立し、その集大成として1714年に出版されたコレッリの合奏協奏曲集は、ヨーロッパ中で反響を呼ぶ。もちろん、ヨーロッパ随一の音楽マーケット、ロンドンでも... ロンドンっ子たちは、コレッリを切っ掛けに熱を上げ、18世紀前半、怪しげなものから、正統なものまで、様々な合奏協奏曲に沸いた!
という、合奏協奏曲ブームに注目... アンドルー・マンゼが指揮するエンシェント室内管弦楽団で、1740年出版、ヘンデルの合奏協奏曲集、Op.6(harmonia mundi FRANCE/HMU 907228)と、サイモン・スタンデイジが率いるコレギウム・ムジクム90で、1742年出版、スタンリーの弦楽のための協奏曲、Op.2(CHANDOS/CHAN 0638)の2タイトルを聴く。

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ウィンナー・オペレッタの夢。 [before 2005]

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突然ですが、ここのところ嫌な夢を続けて見ておりまして... 普段、変な夢(けど、ラヴリー!)は、よく見るのですが、嫌な夢は、ほとんど見ない。だから、自分、どーなってしまった?と、うっすら不安に... そおしたら、コロナ禍により、悪夢を見る人が増えているというニュース(ナショジオの記事!)を見つけて、自分だけじゃなかったんだと、ちょっと安心(何でも、ステイ・ホームで、外からのインスピレーションを得られなくなっているのが原因らしい... )。いや、今、世界中で、悪夢が見られていると考えると、結構、恐い。もちろん、今現在、コロナ禍こそが悪夢ではあるのだけれど、そうした現実から逃れた先の夢の中でも悪夢は広がっていたわけで、そういう悪夢が地球を覆っている図を想像してみると、ますます恐い。集合意識としての悪夢... 無くは無いような気がする。ならば、みんなが悪夢を断ち切ることができたなら、コロナ禍は過ぎ去るのかも。そんな気もして来た。
ということで、いい夢を見るための、とびっきりドリーミンな音楽... バーバラ・ボニー(ソプラノ)が歌う、ウィンナー・オペレッタ、"Im Chambre séparée"(DECCA/473 473-2)。別室へ行きましょう... 現実と悪夢から離れて、ウィーン、わが夢の街へ!

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ラッスス、レクイエム。 [before 2005]

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やれ、お肉だ、マスクだ、あーじゃない、こーじゃない、メディアやネットの喧々囂々の日々を見つめていると、日本は、まだまだ余裕綽々なんだなと思う(もちろん、皮肉っス... )。世界を見渡してください。イタリアで、スペインで、アメリカで、毎日、信じられない数の人たちが、忌々しいウィルスの犠牲となっています。大きな戦争があったわけでも、大津波に襲われたのでもないのに、毎日、毎日、世界中で... 今、我々は、かつてない状況を目の当たりにしています。ほんの少し前まで、想像だにできなかった状況です。そして、ほんの少し前まで、普通に暮らしていた人たちが、看取られることなく旅立ち、葬儀すらできないという厳しい状況下にあるわけです。私たちは、もう少し、そうした世界に寄り添っても良いのではないでしょうか?特効薬もワクチンも無い中で、やれることは限られています。3密避けての、手洗い、マスク... 限られてはいるものの、そのシンプルな行動こそが、ウィルスに対しての最大の攻撃!誰かに文句を言ったところで、何も始まらない。ならば、やれることをやるのみ。そして、今日は、全ての犠牲となった人たちを悼もう。音楽を聴いて、悼もう。世界に寄り添おう。
ということで、ヒリアード・アンサンブルが歌う、ラッススのレクイエム(ECM NEW SERIES/453 841-2)。美しく静かなア・カペラによるルネサンス期のレクイエムを聴いて、悼む。そして、清浄なるルネサンス・ポリフォニーを聴いて、心を落ち着かせる。

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バンキエーリ、マドリガル・コメディ。 [before 2005]

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さて、本日、謝肉祭=カーニヴァルの最終日(よって、明日から四旬節... )。本来ならば、お祭り騒ぎのはずが、ヴェネツィアのカーニヴァルは、すでに打ち切りになったとのこと、東アジアのみならず、ヨーロッパでも切迫した状況となって参りました。一方、こうした事態を前に、批判先行、どうもにも建設的な論議が始まらないことがもどかしい!今こそ、しっかりと連携して、対処する時だよね?いや、それらを待っているばかりでは埒が明かないので、とにもかくにも、手洗い、マスク、人が密集する場所は避ける。で、テレワーク、時差出勤、できることはどんどんやろう!結果、我々の社会は、よりスマートなものに脱却できるんじゃない?そう、ピンチをチャンスに!ウィルスにやられっぱなしじゃつまらない。そして、カーニヴァルは家の中で!楽しい音楽を聴いて、免疫力を上げるよ!ということで、カーニヴァルのドタバタを歌う、バンキエーリのマドリガル・コメディ!
リナルド・アレッサンドリーニ率いるコンチェルト・イタリアーノの歌で、バンキエーリの『肥沃な木曜日の晩餐前夕べの小宴』と、ストリッジョの『狩』、『洗濯女の井戸端会議』(Opus111/OPS 30137)も一緒に... 大いに笑って、ウィルスに対抗したる!

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ルーセル、生誕150年、フランスにて、硬派に交響曲と向き合う。 [before 2005]

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幻想交響曲(1830)、フランスの山人の歌による交響曲(1886)と聴いて来て、ふと思う。フランスの交響曲には、7番とか、8番とか、9番が無い... つまり、シンフォニストと呼べるほど、多くの交響曲を書いた人がいない(えーっと、12番まで書いた、ミヨーという多作家は、ちょっと別枠扱いとしまして... )。誇り高きフランス人にとって、ドイツ語圏が得意とする交響曲を書くのは、やっぱり、邪道?そもそも、フランス人は、ロジカルに交響曲を構築するより、ヴィジュアルを音楽に落とし込むことが得意な人々と言える(フランスの芸術性は絵画的?)。印象主義などは、フランス人の音楽性を示した最たるもの!それでも、交響曲と格闘したフランス人の交響曲は、かえって個性派揃いで、ドイツ語圏の交響曲よりおもしろいところも。幻想交響曲は、その最右翼だし... って、イロモノとして聴いている、フランスの交響曲?いやいやいや、なかなか硬派に、交響曲と向き合った作曲家もいます。そんなひとりが、今年、生誕150年を迎えたルーセル。前回、聴いた、ダンディ門下のひとり...
ということで、ドビュッシー、ラヴェルと同時代を生き、4つの交響曲を残した、フランス人にしてはシンフォニスト、ルーセルに注目!シャルル・デュトワの指揮、フランス国立管弦楽団の演奏で、ルーセルの交響曲全集(apex/2564-64349-2)を聴く。

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バルバラ・ストロッツィ、生誕400年、シンガー・ソングライター。 [before 2005]

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クラシックの世界は、何だかんだで男性中心の世界... いや、音楽史という観点から見つめれば、もはや男性のみで形作られていると言っても過言ではない。それぞれの時代を彩ったプリマドンナや、ヴィルトゥオーザたちがいたことを忘れるわけには行かないものの、彼女たちの活躍は、男性が生み出した音楽をベースとし、男性のみの世界にアクセントを加える花飾りであったことは否めない。それでも、音楽史を丁寧に見つめれば、難しい状況の中に在っても、自ら道を切り拓き、男性と肩を並べる音楽を生み出した女性作曲家たちが少なからずいた。というあたりを、興味深く紐解いてくれる小林緑編著、『女性作曲家列伝』を、ちょびちょび読んでおります。取り上げられるのは、シューマンの妻、クララに、メンデルズソーンの姉、ファニー、マーラー夫人、アルマ、フランス6人組の紅一点、タイユフェールなど、ヨーロッパの作曲家、15人と、著者との対談で登場の藤家渓子さんも含め、日本の作曲家、7人... 音楽史をざっと振り返って、22人とは... もちろん、1冊で取り上げるには限度があるわけで、22人が全てではない(ちなみに、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンや、中世の女性吟遊詩人、トロバイリッツは含まれていない... )。それでも、22人という数を目の当たりにすると、愕然とさせられる。一方で、取り上げられる、ひとりひとりのストーリーは、惹き込まれる。男性中心なればこそ、そこに如何にして割って入って行くか、それぞれに、それぞれの戦いがあって、またその戦いが、彼女たちの音楽性を鍛えたところもあり、おもしろい。なればこそ、女性作曲家の存在が、あと少し注目されたならと思う。ストーリーも含め、魅力的な彼女たちの音楽!
ということで、『女性作曲家列伝』の最初を飾る、前期バロック、ヴェネツィアで活躍した女性作曲家、今年、生誕400年のメモリアルを迎えたバルバラ・ストロツィに注目!ファビオ・ボニッツォーニ率いるラ・リゾナンサの演奏、エマヌエラ・ガッリ(ソプラノ)の歌で、1664年に出版されたバルバラ・ストロッツィのアリアとカンタータ集(GLOSSA/GCD 921503)を聴く。

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カリフォルニアのアダムズのドライヴ、ROAD MOVIES... [before 2005]

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wikiで、「ジョン・アダムズ」を調べると、曖昧さ回避というページが出て来る。つまり、wikiには、ジョン・アダムズという名前の人が、複数いる、ということ... 例えば、2人のアメリカ大統領、バウンティ号の反乱の生き残り、海王星を発見した天文学者、R&Bの歌手まで、実にヴァラエティに富んだジョン・アダムズたちが並んでいる。英語圏では、極めてポピュラーな名前なのだろう(英語のページでは、さらにさらに、驚くほどの数のジョン・アダムズが並ぶ!)。だから、紛らわしい事態を引き起こしてしまう。ちなみに、2人のアメリカ大統領とは、アメリカ建国の立役者のひとり、第2代、ジョン・アダムズ(任期 : 1797-1801)と、その息子、第6代、ジョン・"クインジー"・アダムズ(任期 : 1825-29)。へぇ~ 親子で大統領をやってたんだ。と、これを機に知る。というくらい、父の影に隠れてしまっている息子... 同じ名前であるがために、余計にすっぽりと隠れてしまう。けど、親子なら、まだね... これが、他人だったら、きっちりと"曖昧さ回避"されなくてはならないわけでして... というのが、アメリカの現代音楽の作曲家、ジョン・アダムズ!前回、聴いたのは、1953年生まれ、アラスカのジョン・"ルーサー"・アダムズ... で、今回、聴くのは、1947年生まれ、カリフォルニアのジョン・"クーリッジ"・アダムズ。
ということで、リーラ・ジョセフォヴィッツのヴァイオリン、ション・ノヴァーチェクのピアノで、ロード・ムーヴィーズ、ニコラス・ホッジズ、ロルフ・ハインドのピアノで、ハレルヤ・ジャンクションなど、ジョン・"クーリッジ"・アダムズによる室内楽、ピアノ作品を集めたアルバム、"ROAD MOVIES"(NONESUCH/7559-79699-2)を聴く。いや、爽快感をもたらしてくれる音楽!

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