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リスト、ノルマの回想。 [2009]

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何だか、世の中そのものが肺炎になってしまったような、そんな息苦しさを感じてしまう今日この頃... ニュースに登場する専門家たちの見解は、それぞれに違うようで、話しを聞けば聞くほど、現在の状況がクリアに見えて来ない(裏を返せば、"新型"に対して、みんな、憶測で語っているのだろう... )。だから、不安ばかりが掻き立てられる。そんな不安に煽られて、噂は蔓延し、疑心暗鬼に覆われる。それをチャンスとばかりに、煽り、炎上させるメディア、ネット... そして、まあ見事な足の引っ張り合いを始めた政治家たち... 我々が欲しているのは、説明と対処!新型コロナ・ウィルスは、まるで、社会そのものにも感染するかのよう。そして、現代社会の脆弱さを思い知らされる。なんて言っていると、免疫力が下がりそうなので、何か、キラキラとした音楽を聴いて、気分を上げる!陽気も春めいて来たし(温暖化の時代の春の訪れは、早い!てか、これも、問題... )、ふわふわふわっと、あえて、花々しいサウンドを!いや、暗くなってばかりでは、新型コロナ・ウィルスに負けそうなので...
その選曲にお洒落を感じさせるピアニスト、ヨーゼフ・モークの、音楽史を飾ったヴィルトゥオーゾたち、リスト、フリードマン、ゴドフスキー、ブゾーニ、モシュコフスキによるトランスクリプション集、"metamorphose(n)"(claves/50-2905)で、気分を変えるよ。

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キーボーディスト、ドメニコ・スカルラッティから、ヴァイオリニスト、パパヴラミへ、 [2009]

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いきなりですが、トランスクリプションものが好き!というのは、クラシックでは、ちょっと異端か... けど、トランスクリプション、編曲されることで気付かされる、発見、いろいろあるように思う。例えば、前回、聴いた、アコーディオンによる『クープランの墓』とクープランとか... オリジナルから離れることで得られる、新たな視点!当然、失われるものもあるけれど、浮かび上がって来るものもあって、そうした響きに触れると、よりその音楽に、作曲家に、近付けたような感覚を覚える。という、トランスクリプション、改めて俯瞰してみると、いろいろパターンがあって、興味深い。録音技術が発明される以前、劇場やコンサート・ホールで聴いた音楽を、自宅でも手軽に演奏するためのもの。その当時、人気を集めたナンバーを、ヴィルトゥオーゾたちが、超絶技巧で以って奏でたもの。そうした、実用的なトランスクリプションの一方で、時代が下って来ると、創造的トランスクリプションが目立って来る。例えば、古典に臆することなく魔改造を繰り広げたベリオとか、時折、マイクで歌ったり、歌わずに語ったり、様々な手法を用い大胆にヴィジュアライズ(?)された、ツェンダー版の『冬の旅』とか... それぞれにそれぞれのベクトルを持つトランスクリプションであって、一概に「編曲」と括れない多様性があるところがおもしろい。
ということで、にわかにトランスクリプションに注目... でもって、アコーディオンに続いての、ヴァイオリンによるトランスクリプション。異彩を放つヴィルトゥオーゾ、テディ・パパヴラミによる、ドメニコ・スカルラッティの鍵盤楽器のためのソナタを、ヴァイオリン独奏でやってしまおうという"Sonata Transcriptions"(æon/AECD 0644)。いや、これが、ストイックに、凄い!

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日本、ミニマル・ミュージックの日の出、溢れ出す佐藤聰明の世界... [2009]

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「ミニマル・ミュージック」という言葉を、至極当たり前のように使っているし、そこに手堅いイメージを持っているのだけれど、改めてミニマル・ミュージックの歩みを辿ってみると、そのイメージは揺らぎ、何より「ミニマル・ミュージック」という言葉に齟齬を感じてしまう。実験音楽として始まって、すぐさまサイケデリックな音楽へと変貌を遂げ、その後、時代が移ろえば、古典的なスタイルにも柔軟な姿勢を見せ、一方で、巧みにテクノロジーを取り入れ、時に映像とも結び付き、もはやマキシマム!今となっては、何を以ってミニマルだったのか、不思議な感じがする。いや、ひとつの潮流を捉える時、ひとつの言葉で説明付けることが、そもそも無理がある。例えば、「バロック」。圧倒的なステレオタイプが存在するわけだが、オペラ誕生に始まるバロックの音楽の歩みをつぶさに追ってみれば、とてもじゃないけれどひとつのイメージで括ることなどできないし、何より、びっくりするほどの広がりがある。これは、まさに、ミニマル・ミュージックにも言えること... そして、その広がりの先に、日本もあった!
ということで、日本、現代音楽の異才、佐藤聰明がブレイクを果たすピアノ作品、リタニア、鏡、太陽讃歌(ALM RECORDS/ALCD 11)を、作曲者の演奏による伝説的な録音で聴く。いや、そのミニマリズムに、そこはかとなしに日本性が窺えて、興味深い...

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没後50年、ピツェッティとカステルヌウォーヴォ・テデスコ。 [2009]

さて、11月も半ばになろうとしております。で、秋は、深まっているのでしょうか?ここのところ、変に気温の高い日があって、戸惑います。が、それでも、暦の上では、2018年の終わりが見えて参りました。そこで、今年、メモリアルを迎える作曲家を、改めて見つめてみようかなと... でもって、これまで取り上げて来た中(没後400年のカッチーニ、生誕350年のクープラン、生誕200年のグノー、没後150年のロッシーニ、没後100年のドビュッシーなどなど... )でも、最も新しいメモリアル、没後50年の作曲家に注目!20世紀、イタリア近代音楽を彩った2人の作曲家、ピツェッティとカステルヌウォーヴォ・テデスコ... 師弟関係にありながらも、1930年代、ファシズムが2人の運命を分かつ。師、ピツェッティは、体制に接近し、ユダヤ系のカステルヌウォーヴォ・テデスコは、アメリカへと亡命を余儀なくされる。が、奇しくも、同じ年、1968年に亡くなった2人...
クレイグ・ヘッラ・ジョンソンが率いるアメリカの合唱団、コンスピラーレの、ピツェッティのレクイエムを含む、近現代のレクイエムを集めたアルバム、"Requiem"(harmonia mundi/HMU 807518)と、アレッサンドロ・マランゴーニが弾く、ピアノでイエスの物語を綴る、カステルヌウォーヴォ・テデスコの『エヴァンゲリオン』(NAXOS/8.573316)の2タイトルを聴く。

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バーンスタイン、ミサ。 [2009]

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さて、8月になりました。いや、7月でした。とか、言いたくなってしまうほど、梅雨明けちゃって、夏です。この先、どーなってしまうのだろう。と、心配になるものの、夏らしい夏に、魅了されるところも... ということで、夏っぽい音楽!今年、生誕100年のメモリアルを迎えるバーンスタインのミサ。ミサと言っても教会音楽ではなく、典礼音楽をベースにしながら、シアター・ピースに仕上げてしまった異色の作品。ある意味、バーンスタインにとっての『ジーザス・クライスト・スーパースター』なのかもしれない(奇しくも同じ1971年に初演された両作品... )。教会音楽で、近代音楽で、ロックに、ジャズに、全てをごちゃ混ぜにして、ミュージカルっぽく仕上げながら、ラヴ&ピースの時代の気分を反映して、新たな祭祀を創出するような、フェスっぽいような、奇天烈な作品!
悪魔悪魔悪魔と来てのミサなのだけれど、これも、ある意味、悪魔的?マリン・オルソップ率いるボルティモア交響楽団の演奏、ジュビランド・サイクス(バリトン)、モーガン州立大学合唱団らの歌で、バーンスタインの『ミサ』(NAXOS/8.559622)を聴く。

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イザベッラ・コルブラン、ロッシーニのミューズ、そして... [2009]

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2018年は、ロッシーニ・イヤー!室内楽曲や、ピアノ曲宗教音楽に、機会音楽と、ベルカント・オペラの巨匠を、いつもとは違う視点から見つめて来たのだけれど、ウーン、ロッシーニの全体像は、オペラだけでは語れないなと... 何しろ、ロッシーニ、76年という長い人生において、オペラを作曲していたのは、たった19年。オペラを作曲していなかった方が、ずっと長いわけで... それでいて、密度に差こそあれ、それぞれの時代に、オペラとは一味違う作品を、様々に残していて、とても興味深い。のだけれど、そろそろ、オペラを聴きたくなる!ということで、ロッシーニのアリア集... それも、後にロッシーニ夫人となる、プリマ・ドンナ、イザベッラ・コルブランをフィーチャーした、なかなか興味深いアルバム!そして、コルブランからロッシーニを見つめれば?
ということで、エドアルド・ミュラー指揮、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団、同合唱団の演奏とコーラスで、ジョイス・ディドナート(メッゾ・ソプラノ)が歌う、ロッシーニのアリア集、"Colbran, the Muse"(Virgin CLASSICS/6945790)を聴く。

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アメリカ発、ヴェリズモ・オペラ、『ポーギーとベス』の本気... [2009]

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8月に入ってからというもの、どういうわけか夏らしさは遠ざかり、まるで梅雨空が戻って来てしまったような、そんなもどかしい日々が続いておりました。が、夏らしさが戻って来た!やっぱり、日差しは欠かせないよ、暑いけど... ということで、音楽で夏を味わう!サマー・タイム... って、あんまりにもダイレクトか?いや、夏の歌ではないのだよね、サマー・タイム。夏になれば、暮らしは楽になる(漁に出ることができて、綿花の収穫が近付くから... )と歌うのだけれど、この歌が持つ独特の気だるさ、ブルース調に、夏を感じて... で、このスタンダードの名作を生み出したガーシュウンのオペラ『ポーギーとベス』を聴いてみようかなと...
ニコラウス・アーノンクールの指揮、ヨーロッパ室内管弦楽団の演奏、ジョナサン・レマル(バス・バリトン)のポーギー、イザベル・カバトゥ(ソプラノ)のベスで、ガーシュウィンのオペラ『ポーギーとベス』(RCA RED SEAL/88697591762)を聴く。

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楽聖の弟子、リースによる、ドイツ・ロマン主義の青春の頃。 [2009]

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先日、ふらふら~っと散歩に出掛けて、新緑の瑞々しい緑に目が奪われてしまった。桜はすっかり終わってしまったけれど、何気に、桜に負けず目を楽しませてくれる新緑。まさに、新しい「緑」なわけだけれど、単にひとつの緑色ではない若葉の豊富なパレット!緑が濃くなる前の、淡さの中に見せる繊細な色を目にするにつけ、その多彩さに感心させられる。何より、綺麗!下手すると、花よりも綺麗かも?なんて思ってしまうほど...
さて、この新緑の季節にぴったりな音楽を聴いて行こうかなと考えております。ということで、ロマン主義がまだまだ新緑だった頃、ベートーヴェンの歌曲を聴いた前回に続いての、ベートーヴェンの弟子、フェルディナント・リース(1784-1838)。ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンス率いる、ピリオド・オーケストラ、ケルナー・アカデミーの演奏で、リースの2つコンチェルトと2つの序曲(cpo/777 353-2)を聴く。

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メンデルスゾーン、200年の感動。 [2009]

イル・ジャルディーノ・アルモニコによるヘンデルの合奏協奏曲(L'OISEAU-lYRE/478 0319)に始まり、とにかく、突っ走って来た2009年+今月。新譜を追って、追いきれなくて、振り返って数えてみれば、ここまで110タイトル... いろいろな意味で、クラクラしてくる。当然、感慨もあるが、もう、いい加減にしたくもあり... 何となしに複雑な心境。しかし、そんな110タイトルは、おもしろかった!そして、2009年分の最後は、2009年を象徴する作曲家のひとりを取り上げてみようかと...
生誕200年、メンデルスゾーンのメモリアル。とうとう完結した、トーマス・ファイ率いる、ハイデルベルク交響楽団による、メンデルスゾーンの交響曲のシリーズ。第5弾、3番、「スコットランド」(hänssler/98.552)と、完結編、2番、「賛歌」(hänssler/98.577)を聴く。

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火を吹く、18世紀。 [2009]

21世紀となって10年目、"クラシック"のゼロ年代を振り返って、ふと思うこと... 18世紀のオペラがおもしろくなってきたなと。そこには、定番の19世紀のオペラにはない特殊性をクリアできる、新たなオペラ歌手たちの存在があって... 今となってはあり得ない、"カストラート"のパートをカヴァーする、カウンターテナーやコントラルト(女声に関しては、コントラルトばかりでないが... )たち。ジェンダーを超越してくる声の持ち主であり、何より、18世紀、伝説のスターたちが歌ったという、驚くべき超絶技巧の数々を、軽々と歌いこなす。そして、18世紀、オペラとは、こんなにも刺激的だったのか!?と、驚かせてくれる。
そんな存在... の中でも、さらなる逸材の2人... ヴィヴィカ・ジュノー(メッゾ・ソプラノ)が歌う、ヴィヴァルディのアリア集、"Pyrotechnics"(Virgin CLASSICS/6945730)。フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー)が歌う、ヨハン・クリスティアン・バッハのアリア集、"La dolce Fiamma"(Virgin CLASSICS/6945640)。秋にリリースされた、2つのアルバムを聴く。で、驚かされる...

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