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戴冠式。 [2012]

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ラグビーのワールドカップで、沸きに沸いたのも束の間、スーパー台風に戦慄し、その被害に衝撃を受け、それでもブレイヴ・ブロッサムズは戦い、勝ち、決勝トーナメントへの扉は開かれた!扉を開くための、魔法のような数々のトライ("にわか"もすっかりエキサイト!)と、その裏にあるだろうたゆまぬ努力が透けて見えて来るワン・チームの逞しさ... その姿は、応援する我々に、元気と、新たな時代への示唆を与えてくれたような気がする。そして、本日、即位の礼。源氏物語でも見るような雅やかな装束に息を呑み、ライヴを見つめれば、降っていた雨は次第に上がり、晴れ間が顔を出すという... 何でも、東京には、その瞬間、虹が掛かったというではありませんか!令和となって6ヶ月が経とうとする中、振り返ってみれば、良いことも、悪いことも、際立って、戸惑いすら覚える日々... なればこそ、この先に、良いことがありますように、いや、良くして行かねば!しっかりスクラム組んで、オフロードだってなんだって、トライを目指そう!そんな風に願わずにいられない、10月22日。
ということで、5月1日の戴冠ミサに続いての「戴冠式」!ロナルド・ブラウティハムが弾くピリオドのピアノ、マイケル・アレクサンダー・ヴィレンズ率いるケルン・アカデミーの演奏で、モーツァルトのピアノ協奏曲、17番と26番、「戴冠式」(BIS/BIS-1944)を聴く。

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モニューシュコ、生誕200年、ポーランドの魂を籠めて、幽霊屋敷。 [2012]

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昨日、7月26日は、幽霊の日でした。何でだろ?と、調べてみたら、歌舞伎の『四谷怪談』が初演(1825)された日なんだって... 普段、オペラとかでワイワイしている身からしますと、ちょっとテンションの上がる由来じゃないですか。そうか、劇場に因むのですか、幽霊の日... ということで、一日遅れ、幽霊の日に捧ぐ、本当に怖い幽霊の出て来るオペラ、ベスト3... 第3位、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』!悪いヤツを懲らしめる騎士長の幽霊は、ちょっとお岩さんに通じるものがあるような... 第2位、ブリテンの『ねじの回転』!ウーン、さすがはスピリチュアル大国、イギリスだけに、幽霊の描き方がリアル... そして、第1位、プロコフィエフの『炎の天使』!わけがわからんこその不気味さ、でもって、ラップ現象を楽譜に書き込んだプロコフィエフの本気度たるや!なんて、選んでみたのですが、オペラに幽霊ってあんま出て来ないのですよね。悪魔とか魔女ならわんさか出て来るのに... このヨーロッパにおける幽霊への態度って、ちょっと興味深いなと思う。というあたりは、さて置きまして、今年、生誕200年を迎えるポーランドの作曲家、モニューシュコのオペラ『幽霊屋敷』を聴く。
ヤツェク・カプシスクの指揮、ポーランド国立歌劇場、本場、ポーランドの実力派歌手を揃えての、モニユーシュコのオペラ『幽霊屋敷』(EMI/5 57489 2)。えーっと、それで、ですね、幽霊屋敷なのですが、幽霊、出て来ません。けど、出て来ない分、楽しい!

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苦しみとエクスタシーの17世紀、ローマ、オラトリオの誕生。 [2012]

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クラシックという音楽ジャンルは、他の音楽ジャンルに比べると、ひとつのジャンルとは言い難いほど、実に、実にヴァラエティに富んでいる!のだけれど、ちょっと視点を変えてみて、西洋音楽史の全景から見つめると、また違ったイメージが浮かび上がる。西洋音楽の生みの母は教会であり、育ての父も教会であり、教会は家であり、学校であり、グレゴリオ聖歌が整備されてから千年、フランス革命(1789)により教会の地位が大きく揺らぐまで、教会音楽の歴史こそ、音楽史であり、教会は、西洋音楽史のメイン・ステージだった。というあたりを、少し、じっくり向き合ってみようかなと思いまして... というのは、一昨日から四旬節に入っておりまして... 別にキリスト教徒ではないけれど、華美な音楽は控えてみる?てか、教会を彩った音楽を聴くには最適な時節かなと... そして、西洋音楽史のメイン・ステージ、教会が、最も刺激的だった頃、対抗宗教改革の時代に注目!
17世紀、ローマ、ロッシのカンタータから、カリッシミのオラトリオへ... ルイス・アントニオ・ゴンサレス率いる、スペインの古楽アンサンブル、ロス・ムシコス・デ・ス・アルテーサによる興味深い1枚、"Il tormento e l'estasi"(Alpha/Alpha 183)を聴く。

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生誕150年、プフィッツナーによるマニフェスト、『パレストリーナ』。 [2012]

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ロマン主義も、かつては、前衛だった... 1850年代、ヴァイマルの楽長を務めていたリストは、ロマン主義をより深化させようと奮闘するも、保守勢力の抵抗に遭い、道半ばでヴァイマルを離れてしまう。1860年、パリ、ワーグナーは、楽劇『トリスタンとイゾルデ』を上演するためのプロモーションを行い、第1幕への前奏曲を演奏するも、かのベルリオーズでさえ、その斬新さに理解を示すことは無かった... 今でこそ、クラシックの中心で、ドンと構えているロマン主義だけれど、その音楽が生まれた当時は、切っ先鋭く、音楽シーンと対峙していた事実。ロマン主義が生々しかった頃の視点を持つと、ロマン主義の名曲も、また違った新鮮さで以って聴くことができるように感じる。が、そんなロマン主義も、20世紀が迫って来れば、当然、「前衛」というポジションを譲る時がやって来る。そして、どうなったか?切っ先の鋭さを失いながらも、円熟し、場合によっては発酵し、新たな時代と葛藤しつつも、独特な深化を遂げ、20世紀に入ってからも命脈を保った。そんな時代を生きた作曲家、最後のロマン主義者とも言われる存在に注目してみたいと思う。今年、生誕150年を迎える、プフィッツナー...
ということで、前衛と対峙することになったロマン主義の立場を赤裸々に描く、プフィッツナーの代表作。キリル・ペトレンコの指揮、フランクフルト歌劇場、ペーター・ブロンダー(テノール)のタイトルロールで、オペラ『パレストリーナ』(OEHMS/OC 930)を聴く。

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生誕200年、グヴィ、フランス発、シンフォニストへの道... [2012]

今、ヨーロッパを悩ませているのが、イギリスのEU離脱問題。何だか、もう、じれったくなるばかりなのだけれど... 時代を遡って、ヨーロッパを見つめてみると、常に問題を抱えていたのが、フランスとドイツの国境線。いや、現在の西欧の枠組みができた時(フランク王国三分割!にーちゃん、真ん中。弟、東。後妻の子、西... で、にーちゃん、先に死ぬんだもの... )から始まる、イギリスのEU離脱なんて、屁って思えるくらい、延々と繰り返された真ん中帰属問題(解決の鍵が、EUだったり... )。ある時はフランスが東へ張り出し、ある時はドイツが西へ張り出し、時には、ドイツでもフランスでも無い空白地帯(その名残とも言えるのが、ベネルクスであり、スイス... )が出現したり... 一方で、この安定しない国境地帯こそ、西洋音楽の揺籃の地とも言えるから、おもしろい!中世音楽のコンセルヴァトワール、リエージュがあり、最古のミサ曲を伝えるトゥルネーがあり、ルネサンス音楽を牽引したブルゴーニュ楽派フランドル楽派を誕生させている。分断の国境地帯は、創造の結節地帯でもある事実。そして、この両面を体現し作曲家が、今年、生誕200年を迎える。フランスとドイツのハーフ、グヴィ...
フランスのマエストロ、ジャック・メルシエの指揮、グヴィの故郷、ザールブリュッケンのオーケストラ、ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、4枚に及ぶグヴィの交響曲全曲録音(6番までと、シンフォニエッタなど+3曲... )を、2回に分けて取り上げようと思うのだけれど、まずは、その前半、1番と2番(cpo/777 381-2)、3番と5番(cpo/777 379-2)を聴く。

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生誕200年、スッペで、おめでとうございます! [2012]

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明けまして、おめでとうございます。本年も、どうぞ、よろしくお願いいたします。
さて、例年ですと、今年のクラシックの顔は、こんな人たち... と、メモリアルを迎える作曲家たちを紹介するのですが、今年は、正月一日から、早速、聴くよ!というのは、"ウィンナー・オペレッタの父"、スッペの、生誕200年のメモリアルだから!もね、あの景気の良いマーチやら序曲は、正月一日を飾るのに相応しい!やっぱ、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートは、スッペ盛りになるのだろうなァ。なんて、思っていたら、鮮やかにスルー!何でだろう?と、改めてスッペについて見てみると、どうもその出自に対して、疑義が出ているようで、1819年に生まれたというのも、今ははっきりしていないらしい。ウーン、肩透かし... だけれど、ま、1819年でもいいじゃないか!何しろ、スッペの音楽を聴くと、ぱぁっと花やぐ!まさに初春って感じ。とにかく、楽しい!ワクワクしちゃいます。そんな一年になりますよう、願いを籠めて、2019年はスッペで聴き初め!
ということで、ネーメ・ヤルヴィの指揮、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の演奏で、スッペの序曲と行進曲集(CHANDOS/CHSA 5110)。いやー、新年の乾杯のシャンパンのようにスパークリング!そんな演奏に乗って、2019年を始めます。

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没後200年、コジェルフ。 [2012]

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クラシックで、チェコというと、スメタナ(1824-84)の『我が祖国』に始まる国民楽派のイメージが強い... そして、ドヴォルザーク(1841-1904)の「新世界」に、ヤナーチェク(1854-1928)のシンフォニエッタ... 定番の人気作品が並ぶわけだけれど、それ以前については、あまり触れられることは無い。が、音楽史を丁寧に見つめたならば、チェコの音楽のピークは、国民楽派の面々が生まれる前、18世紀だったのではないか?と思わせる情景が浮かび上がって来る。18世紀、古典主義の時代、ハイドン、モーツァルトのすぐ傍で、ハイドン、モーツァルトと肩を並べて活躍したチェコ出身の作曲家たち。ナポリ楽派の華麗さは無いにしても、ナポリ楽派を凌ぐほどの作曲家をヨーロッパ中に送り出した、驚くべき地、チェコ。18世紀のイギリスの音楽学者、チャールズ・バーニー(1726-1814)は、チェコを「ヨーロッパのコンセルヴァトワール」と評したほど... この史実、今、あまり伝えられていないことが、もどかしい... ということで、国民楽派以前のチェコ出身の作曲家に注目してみる!
ヤロスラフ・ティエル率いる、ヴロツワフ・バロック管弦楽団の演奏で、今年、没後200年を迎えたコジェルフから、レイハ、ヴォジーシェクと、古典主義からロマン主義へとうつろう時代の、チェコ出身の作曲家による交響曲(CD accord/ACD 148)を聴く。

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苦悩するナショナリスト、サン・サーンス、アルス・ガリカの行方... [2012]

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さて、アルス・ノヴァのマショーに始まり、時代を遡ってゴシック期のノートルダム楽派、そして、トルバドゥール/トルヴェールの音楽を聴いて来た7月下旬、いやー、フランスの中世は、おもしろい!シンプルな中世の音楽だけれど、その背景を見つめると、一筋縄には行かなくて... で、その一筋縄には行かない複雑さが、豊かな文化を生み出し、フランスは中世文化のリーダーとなった。もちろん、音楽においても... しかし、中世末、百年戦争(1337-1453)が、全てを変えてしまう。音楽家たちは、戦火を逃れ、各地に散って行き、以後、フランス音楽は、ローカルな立場に甘んじることに... そうして、4世紀を経た頃、フランス音楽はローカルな位置から脱しようと動き出す。その切っ掛けとなったのが、普仏戦争(1870-71)での敗戦。敗戦が、フランス音楽の覚醒を促す。
ということで、中世から一気に時代を下り、19世紀へ!グザヴィエ・ロト率いる、ピリオド・オーケストラ、レ・シエクルの演奏で、フランス音楽の覚醒を象徴する、サン・サーンスの3番の交響曲、「オルガン付き」(MUSICALES ACTES SUD/ASM 04)を聴く。

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23番から25番へ... モーツァルト、19世紀の扉を開けるコンチェルト... [2012]

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アマデウス、神に愛されし者... なればこその天才性を、遺憾なく発揮し、誰もが知る名曲を次々に生み出した、わずか35年という短い人生は、もはや伝説である。というのが、モーツァルトの一般的なイメージかなと... が、丁寧に見つめるモーツァルト像は、そうカッコいいばかりではない。父の英才教育によって築かれる音楽的素地。やがてヨーロッパ中を旅し、最新の音楽を貪欲に吸収して形成される音楽性。もちろん、抜き出た才能があったことは間違いないのだけれど、モーツァルトの音楽は、モーツァルト自身の努力の賜物だと感じる。そして、今でこそ無敵なモーツァルトも、その当時は様々な外的要因に翻弄され、そういうままならなさから紡ぎ出された音楽というのは、思いの外、人間味に溢れるものなのかなと... それはまた、古典美が尊ばれる古典主義の時代に在って、一味違うものなのかなと... で、そこが、この作曲家の魅力であり、次なる時代の予兆?
ということで、3月はモーツァルト!ルドルフ・ブッフビンダーのフォルテピアノ、ニコラウス・アーノンクールが率いたウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの演奏で、モーツァルトの23番と25番のピアノ協奏曲(SONY CLASSICAL/88765409042)を聴く。

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ロマン主義の結実、交響詩。ヴァイマル、リストの試み... [2012]

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クラシックの顔とも言える、多くの交響曲の名作を生み出した19世紀は、「交響曲」の世紀に思えて来る。が、19世紀、ロマン主義の時代の性格を考えると、絶対音楽を追求した「交響曲」とは相容れないところもあり、もどかしい。そのもどかしさを呑み込んで、大胆に、ロマン主義と「交響曲」を結んだのが、ベルリオーズの幻想交響曲。物語を孕み、表題を持つ交響曲は、絶対音楽の概念を突破した交響曲として、もはや存在そのものがロマンティックなのかもしれない。そして、標題交響曲から、さらに踏み込んだのが、「交響詩」... シンフォニックでありながら、交響曲のような形に囚われることなく、自由に音楽を展開する。まさにロマン主義に合致した交響楽の在り方... というより、19世紀、ロマン主義の時代を象徴する形と言えるのではないだろうか?
ということで、「交響詩」を生み出したリストに注目!マルティン・ハーゼルベック率いる、ピリオド・オーケストラ、ウィーン・アカデミー管弦楽団による、初めて「交響詩」という言葉が用いられた作品、リストの交響詩「タッソ、悲哀と勝利」(NCA/NCA 60260)を聴く。

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