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ベートーヴェン、1番、2番、3番の交響曲。 [2015]

何となーく、涼しくなって来たのかな?先日、8月23日が、処暑とのこと... 暑さが、一先ず、処(お)く=落ち着く、という意味らしいです。でもって、実際に、立秋(これが8月8日なんだわ... )を過ぎると、我々のいる北半球では、日照時間が短くなり始め、当然、太陽から受け取るパワーも落ち、気温も下がり始める。それを体感できるようになるのが、処暑か... 何となーく、涼しくなって来たのかな?には、きちんとした科学的裏付けがあるようだ。いや、暑いのも、寒いのも、地球と太陽の関係、地球の地軸の傾きが織り成すもの。我々の肌は、日々、壮大なる宇宙の配置を感知しているわけだ。と考えてみると、凄くない?は、ともかく、つまり、秋が近付いているわけです。そう、クラシックのシーズンの開幕は、まさに、すぐそこまで来ている!ということで、そろそろクラシックを聴く準備体操を始めなくては... 1、2、3。1、2、3。ベートーヴェンの1、2、3。で、準備体操始め!
マルティン・ハーゼルベック率いるウィーン・アカデミー管弦楽団の、録音場所にまでこだわりを見せる意欲的なベートーヴェンのシリーズ、"RESOUND BEETHOVEN"から、1番と2番の交響曲(Alpha/Alpha 470)、3番、「英雄」(Alpha/Alpha 474)を聴く。


リ-サウンド、ウィーンのベートーヴェンのリアル感、1番と2番。

Alpha470.jpg
録音場所も含め、初演時に可能な限り迫ろうとする"RESOUND BEETHOVEN"。その第1弾だった、1番(track.1-4)と2番(track.5-8)の交響曲... 「英雄」が初演された、ウィーンのロプコヴィッツ宮(ベートーヴェンの支援者のひとり、ロプコヴィッツ侯爵のウィーンの邸宅... )、エロイカ・ザールでの演奏のライヴ録音(1番と2番の初演は、ブルク劇場だったものの、当時のコンサート会場の音響を再現するため、エロイカ・ザールで録音... )。ピリオドならではのヴィンテージなトーンを活かしながら、ピリオドにしては重量感のあるサウンドを響かせる、ハーゼルベック+ウィーン・アカデミー管。ベートーヴェンの最初の2つの交響曲というのは、「英雄」を前にしての、ベートーヴェンにとっても準備体操であって、ウィーン古典派の伝統を踏襲し、その個性を大胆に打ち出すようなことはしない。その分、普段、取り上げられる時は、さらりと簡潔に演奏されてしまう印象がある。というより、「英雄」以降のベートーヴェンの交響曲に比べると、実にライト!そんなイメージを裏切ってくれるのが、ハーゼルベック+ウィーン・アカデミー管の演奏。どこか習作的な雰囲気すらなくもない、最初の2つの交響曲を、改めて、きっちりと交響曲として捉え直す。全ての音を鳴らし切り、4つの楽章を実直に繰り出せば、交響曲としての醍醐味である、構造のおもしろさも際立って、聴き応え十分!どっしりとしたその存在感に、最初の2つの交響曲のイメージは変わるよう。いや、西欧のピリオド・オーケストラの、クールだったり、スタイリッシュだったりするベートーヴェン像とは一味違う、ハーゼルベック+ウィーン・アカデミー管の濃さ... そこに、東欧の玄関口、ウィーンに漂う、東欧性が見出せるようで、スパイスを効かせる。ウィーン生まれのマエストロと、ウィーンのピリオド・オーケストラが紡ぎ出す生粋のウィーン・サウンドによる、ウィーンのベートーヴェンのリアル感(これが"RESOUND BEETHOVEN"なのだろうな... )が、実に興味深く、ベートーヴェンの最初の2つの交響曲の魅力を掻き立てる。
そんな、1番と2番に触れてみると、"交響曲の父"、ハイドンの晩年の充実を思わせて... モーツァルト(1756-91)が、世を去るのが、1791年。ベートーヴェン(1770-1827)が、ハイドンに見出され、ウィーンへと出るのが、1792年。で、ハイドン(1732-1809)が、最後の交響曲の仕事、ロンドン・セットを完成させるのが、1795年。ベートーヴェンが、最初の交響曲、1番を完成させるのが、1800年。続く2番を完成させるのが、1802年。この距離感が興味深い... 世代的に近いモーツァルトよりも、ハイドンに近いベートーヴェンの交響曲。ハイドンの弟子だったことを考えれば、当然とも言えるのだけれど、長らくハンガリーを本拠地としていたハイドンの交響曲に滲むフォークロワなテイスト、そこから生まれる19世紀を予感させるキャッチーさが、ベートーヴェンの1番と2番には受け継がれているように感じられる。ウィーン古典派の身近にあった東欧性がもたらすケミストリー?そうしたあたりを意識すると、俄然、1番と2番は刺激的なのかもしれない。習作的だなんて、絶対に言えなくなる。ハイドンからベートーヴェンへ、そして、シューベルトが続き、それをシューマンが見出して... 古典主義からロマン主義への、途切れることのなかったリレーを、ベートーヴェンの1番と2番は提示してくれる。それを知らしめる"RESOUND BEETHOVEN"。リ-サウンドが、明確に打ち出された第1弾だったのだなと、今さらながらに感心。何より、リ-サウンドされた1番と2番に、魅了されずにいられない!

RESOUND BEETHOVEN VOL. 1 SYMPHONIES NOS.1 & 2

ベートーヴェン : 交響曲 第1番 ハ長調 Op.21
ベートーヴェン : 交響曲 第2番 ニ長調 Op.36

マルティン・ハーゼルベック/ウィーン・アカデミー管弦楽団

Alpha/Alpha 470




リ-サウンド、ベートーヴェンの光と闇、七重奏曲と3番、「英雄」。

Alpha474
耳の聴こえは日に日に悪くなり、ハイリゲンシュタットの遺書を書くまでに追い込まれながらも、そうした危機を乗り越え、2番が初演された翌年、1804年に完成された3番、「英雄」(disc.1)。この「英雄」こそ、シンフォニストとしてのベートーヴェンの個性が確立された作品であり、最初の2つの交響曲からは大きな飛躍のあった作品として一般的に認識されているわけだけれど、"RESOUND BEETHOVEN"が示す「英雄」の姿は、またちょっと違って聴こえて来る。先に聴いた1番と2番が、思いの外、充実していたこともあるのだろう、意外と保守的?1楽章、冒頭の強烈な打撃や、2楽章の葬送行進曲(disc.1, track.2)の重々しさ、バレエ『プロメテウスの創造物』からのテーマをねちねちと変奏する終楽章(disc.1, track.4)。それまでの交響曲にはない大胆さが、ふんだんに盛り込まれている。けれど、リ-サウンドされた「英雄」は、どこか無理に大胆さを装っているようで、チグハグに聴こえるような... 初演されたロプコヴィッツ宮、エロイカ・ザールでの演奏は、どこか薄っぺらく響き、1番、2番の充実からは、何だか打って変った印象を受けてしまう。さて、これをどう解釈すべきか?ハイリゲンシュタットの遺書を書いた危機からの病み上がり?それまでの交響曲にはない大胆さは、自棄っぱちだろうか?あるいは、ある種の狂気?そんな風に考えると、ベートーヴェンの疲弊がそこに表れているようで、いつもとはまったく違った感覚で「英雄」と向き合わされる。そこにあるのは、その当時のベートーヴェンのリアルな心象なのかもしれない。
その「英雄」の後で、1番と同じ頃に作曲され、同じ年、1800年に完成された七重奏曲(disc.2)を聴くのだけれど... いやー、何という表情の豊かさ!交響曲とは違い、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ホルン、ファゴットの7つの楽器のみによる音楽は、実に軽やかで... この軽やかさは、18世紀の古き良き古典主義の時代のもの... 6楽章からなる七重奏曲は、モーツァルトのセレナードを思わせる。そんな七重奏曲は、ウィーンの有力貴族の子女たちのピアノ教師の職を得たことを切っ掛けに、ウィーンの貴族社会を彩るサロンでブレイクを果たした若きベートーヴェンの、貴族社会に向けた仕事のひとつで、当時、ウィーンのサロンで人気を博し、楽譜が出版される前に、海賊版が出回ったほど... いや、納得。その肩の力の抜けたナチュラルさは、「英雄」の対極にあって、若きベートーヴェンの創意がキラキラと輝いている!ハイリゲンシュタットの遺書を書く前の無邪気なベートーヴェンの姿がそこに... 得も言えず明るく、朗らかで... まさにサロン向けの聴き易さがありながらも、7つの楽器はそれぞれにのびのびと奏でられ、活き活きとアンサンブルを織り成す。奇を衒うことの無いその姿にこそ、ベートーヴェンの作曲家としての本領を見出せて、魅了されずにいられない。
そんな「英雄」(disc.1)と、七重奏曲(disc.2)による二枚組、"RESOUND BEETHOVEN"、VOL.4にあたる、このアルバム。ハイリゲンシュタットの遺書前(七重奏曲)と、その後(「英雄」)という組合せの大胆さたるや... ベートーヴェンの光と闇を際立たせるようで、実に刺激的な体験をもたらしてくれる。いや、"RESOUND BEETHOVEN"の真骨頂とも言える組み合わせ... そして、演奏においては、ウィーン・アカデミー管の名手たちによる七重奏曲(disc.2)が、聴き入るばかり!7人、それぞれに才気に溢れ、それぞれの楽器はよく歌い、この作品の真価を、改めて知らしめてくれる。

RESOUND BEETHOVEN VOL. 4 SYMPHONY 3 'EROICA' & SEPTET

ベートーヴェン : 交響曲 第3番 変ホ長調 「英雄」 Op.55
ベートーヴェン : 七重奏曲 変ホ長調 Op.20

マルティン・ハーゼルベック/ウィーン・アカデミー管弦楽団

Alpha/Alpha 474




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