中世、黄金期、ゴシックの大聖堂を響かせる... [2018]
今、改めて、ヨーロッパの中世を見つめ直すと、何だか訳が分からなくなってしまう。つまり、それは、これまで、如何に"中世"を軽く見てきたかの表れでございまして... 反省... ということで、中世が覚醒する頃、ロマネスクの時代(11世紀から12世紀... )の表現に迫る、金沢百枝著、『ロマネスク美術革命』を読んでみた。読んでみて、大いに腑に落ちた。もちろん、主題は、中世が折り返した頃を彩るロマネスクについてなのだけれど、ロマネスクというムーヴメントがどういうものであったかを知ることで、中世という大きな展開が掴めた気がする。じわじわと進む古代の崩壊の後、もはや遺跡となってしまった古代ローマを、見よう見真似で復興し始めたのがローマ風=ロマネスク... その延長線上にバブリーなゴシックが花開いて、バブル崩壊(災厄の14世紀!)の後、真に古典を取り戻そうとしたルネサンスが訪れる。そうルネサンスまでを含めて、古代/古典の崩壊と復興の長い道程が中世なのかなと... そう思うと、何だか、凄くドラマティックな気がしてくる。そんな中世に響いた音楽です。じっくりと修道院で育まれた音楽が、より開かれた大聖堂に舞台を移して大きく花開く頃に注目!
ドイツの古楽器奏者、ミヒャエル・ポップ率いる、女声ヴォーカル・アンサンブル、ヴォーカメの歌で、14世紀に編纂されたトゥルネーのミサを軸に、中世、黄金期の大聖堂を響かせる、"CATHEDRALS"(CHRISTOPHORUS/CHR77420)を聴く。