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アルス・スブティリオルの時代を想う、"THINK SUBTILIOR"。 [2017]

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14世紀、中世末、ヨーロッパを一気に暗黒へと突き落とした、ペスト禍... 現代社会からすると、疫病の恐怖というのは、今一、ピンと来ない、なんて、書いておりました、6年前、2014年、アルス・スブティリオルの音楽を取り上げた時。そして、2020年、今、明確に、ピンと来ている。いや、まさか、ピンと来てしまう日が来るとは... 日本は、緊急事態宣言が出されるのか、出されないのか、ギリギリのラインをフラフラしている状態だけれど、世界を見渡せば、ミラノが、パリが、ニューヨークが... 伝えられるニュースは、とにかく衝撃的で、とても現代のこととは思えない。これが一年前だったなら、エイプリル・フールのネタに終わったのに... いや、そこに、現代社会の過信を見る。そして、14世紀も、21世紀も、そう変わらないということを思い知らされる。ならば、今こそ聴いてみよう、アルス・スブティリオルの音楽。ペスト禍を避けて、ひっそりと歌い奏でられた音楽を...
ソラージュ、コルディエ、チコーニア、マッテオ・ダ・ペルージャら、アルス・スブティリオルの作曲家の作品を、即興も挿みつつ取り上げる、ドイツの古楽アンサンブル、サントネーのアルバム、"THINK SUBTILIOR"(RICERCAR/RIC 386)を、ひっそりと聴く。

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ラッスス、レクイエム。 [before 2005]

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やれ、お肉だ、マスクだ、あーじゃない、こーじゃない、メディアやネットの喧々囂々の日々を見つめていると、日本は、まだまだ余裕綽々なんだなと思う(もちろん、皮肉っス... )。世界を見渡してください。イタリアで、スペインで、アメリカで、毎日、信じられない数の人たちが、忌々しいウィルスの犠牲となっています。大きな戦争があったわけでも、大津波に襲われたのでもないのに、毎日、毎日、世界中で... 今、我々は、かつてない状況を目の当たりにしています。ほんの少し前まで、想像だにできなかった状況です。そして、ほんの少し前まで、普通に暮らしていた人たちが、看取られることなく旅立ち、葬儀すらできないという厳しい状況下にあるわけです。私たちは、もう少し、そうした世界に寄り添っても良いのではないでしょうか?特効薬もワクチンも無い中で、やれることは限られています。3密避けての、手洗い、マスク... 限られてはいるものの、そのシンプルな行動こそが、ウィルスに対しての最大の攻撃!誰かに文句を言ったところで、何も始まらない。ならば、やれることをやるのみ。そして、今日は、全ての犠牲となった人たちを悼もう。音楽を聴いて、悼もう。世界に寄り添おう。
ということで、ヒリアード・アンサンブルが歌う、ラッススのレクイエム(ECM NEW SERIES/453 841-2)。美しく静かなア・カペラによるルネサンス期のレクイエムを聴いて、悼む。そして、清浄なるルネサンス・ポリフォニーを聴いて、心を落ち着かせる。

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テレマン、ルカ受難曲。 [2013]

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緊急事態宣言、出ました。が、出ようが、出まいが、我々がやるべきことは、何も変わりません。不要不急の外出を控え、3密避けての、手洗い、マスク... これらを淡々とやるのみ。で、やり切れば、やり切っただけ、早くこのトンネルから抜け出せるわけです。無駄に多いコメンテーターのコメントや、微妙なネットに漂う情報はシャットアウト。ただトンネルの先だけを目指して突き進むのみ。で、その歩みに集中するために今日も音楽を聴くわけです。さて現在、四旬節中... コロナですっかり吹っ飛んでいましたが、教会歴では、今、まさに、四旬節の山場、聖週間(キリストの受難を辿る週間... )を迎えております。ということは、まさに受難曲を聴くべき週間ということになります。いや、この受難の日々の最中、今こそじっくり聴いてみたい受難曲かも...
しかし、バッハではありません。マイケル・アレクサンダー・ヴィレンズ率いる、ケルン・アカデミーの演奏と合唱、ソリストにはドイツの歌手を手堅く揃えての、テレマンのルカ受難曲(cpo/777 754-2)を聴く。そう、テレマンも受難曲を書いておりました。

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グラウン、復活祭オラトリオ。 [2013]

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世界は、まさに受難の只中... そうした中で迎えた復活祭(昨日、日曜日が復活祭でした。からの、本日、嵐という展開... )。正直、ハッピー・イースターどころではない。ものの、窓の外には、穏やかな春が広がって、イエス様の復活ばかりでなく、自然の復活=春の到来を告げる復活祭でもあることを思い出させてくれる、この春の陽気(今日は寒いけれど... )。でもって、みんなが家に籠って生まれた静けさに漂う春の麗らかさは、いつもより際立つものがあるような気がして... 状況こそ最悪でも、窓を開けて感じられる(先日、我が家には、思い掛けなく、桜の花びらが舞い込んできました!)、その麗らかさに癒される。癒されて、再確認する。必ず春はやって来る、と... そう、籠っていれば、必ず復活の日がやって来る。籠れば、籠った分、早くやって来る。
そんな期待を籠めて... マイケル・アレクサンダー・ヴィレンズ率いるケルン・アカデミーの歌と演奏で、グラウンの復活祭オラトリオ(cpo/777 794-2)です。バロックを脱し、麗らかな古典主義の到来を告げるその音楽は、今の我々を勇気付けてくれる!

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モーツァルト、春、 [2019]

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この間、買い物の帰りに、桜の木の下を通ったのだけれど、足元には、まだたくさんのガクが残っていて... それが、とても寂しげで... 毎年、みんなから、綺麗だねぇ~ っと、見上げられる桜が、今年は、愛でられることなく、散ってしまった。桜の木は、いつもと違う、この状況を、どんな風に感じているのだろう?朝からの花見の陣取りに、無粋なブルーシート、アルコール臭漂う夜桜と、例年の騒々しさが、パっと消えてしまった春。何だか、狐に抓まれたかのようで、ウイルスのニュースを知らなければ、薄気味悪いかもしれない。もちろん、これまでにない穏やかな春にもなったのだけれど、賑わいのない春が、思いの外、寂しいことに気付かされる春だったなと... 足元の桜のガクを目にして、そんなことを思う。一方で、桜の木を見上げると、もうすっかりと青々とした葉に覆われていて、すでに前に進んでいる!いや、当たり前なのだけれど、その青々とした姿を見上げて、くよくよしない春のパワフルさに感動を覚える。勇気付けられる。ということで、パワフルな春を聴く。
フランスの新鋭、ヴァン・カイック四重奏団の演奏による、モーツァルトの弦楽四重奏曲、14番、「春」と、15番、それから、K.138のディヴェルティメント(Alpha/Alpha 551)。春の陽気を思わせる、モーツァルトの無邪気なサウンドに触れて、前を向こう!

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ウィンナー・オペレッタの夢。 [before 2005]

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突然ですが、ここのところ嫌な夢を続けて見ておりまして... 普段、変な夢(けど、ラヴリー!)は、よく見るのですが、嫌な夢は、ほとんど見ない。だから、自分、どーなってしまった?と、うっすら不安に... そおしたら、コロナ禍により、悪夢を見る人が増えているというニュース(ナショジオの記事!)を見つけて、自分だけじゃなかったんだと、ちょっと安心(何でも、ステイ・ホームで、外からのインスピレーションを得られなくなっているのが原因らしい... )。いや、今、世界中で、悪夢が見られていると考えると、結構、恐い。もちろん、今現在、コロナ禍こそが悪夢ではあるのだけれど、そうした現実から逃れた先の夢の中でも悪夢は広がっていたわけで、そういう悪夢が地球を覆っている図を想像してみると、ますます恐い。集合意識としての悪夢... 無くは無いような気がする。ならば、みんなが悪夢を断ち切ることができたなら、コロナ禍は過ぎ去るのかも。そんな気もして来た。
ということで、いい夢を見るための、とびっきりドリーミンな音楽... バーバラ・ボニー(ソプラノ)が歌う、ウィンナー・オペレッタ、"Im Chambre séparée"(DECCA/473 473-2)。別室へ行きましょう... 現実と悪夢から離れて、ウィーン、わが夢の街へ!

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クラヴサンで弾く、ウィンナー・ワルツ、 [2010]

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ワルツというと、新春というイメージがある。それは、お正月の、ウィンナー・ワルツ尽くし、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートによるわけだけれど、冷静に考えれば、ワルツは、特別、お正月のものではない。いつだって踊られていたのだから... それが、ウィーン・フィルというクラシック屈指のブランド力と、それによる、毎年、欠かさない世界中継によって、見事、ウィンナー・ワルツはお正月の風物詩に... クラシックの世界も、ビジネス感覚、極めて大切なわけです。とはいえ、ウィンナー・ワルツの朗らかさは、まったりお正月気分にドンピシャでもある事実。年末に第九をやろう!と言い出した人くらいに、お正月にウィンナー・ワルツをやろう!と言い出した人、凄いと思う。けど、ワルツがお正月に限定されてしまうのは、少し惜しい。その朗らかさ、春が勢い付く、まさに今の季節にもぴったりな気がするから... いや、新春ばかりでなく、春真っ盛りもまたワルツ!何より、今こそ、楽しい音楽を聴こう!みんなで踊ることはできないけれど、みんなで踊れるような楽しい音楽を!
ということで、浜松市楽器博物館、コレクション・シリーズから、24... 中野振一郎が、1765年製、フランソワ・エティエンヌ・ブランシェ2世のクラヴサンで弾く、オペレッタに、ワルツに、『ウィーン、わが夢の街』(浜松市楽器博物館/LMCD-1917)を聴く。

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ベートーヴェン、月光、ヴァルトシュタイン、テンペスト。 [2013]

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ステイ・ホーム、春と触れ合えない今年の春... ならば、春っぽい音楽を聴いて、元気出そう!ということで、モーツァルトの「春」に始まり、ウィンナー・オペレッタに、ウィンナー・ワルツと、春っぽい音楽、聴いて来ました。で、それら、ウィーンの音楽でありまして... 改めて、思う、ウィーンのサウンドというのは、どこか春っぽい?ウィーン古典派の音楽は、春のそよ風のようだし、シュトラウス・ファミリーの音楽は、春の野原へとピクニックに行くみたいだし、アカデミックなブラームスにも、春の陽気さ(大学祝典序曲ハンガリー舞曲のアゲアゲ・チューンとかね... )は窺えて、マーラー(花の章、とか、まさに... )や、ツェムリンスキー(『春の葬送』なんて作品も書いてます... 葬送なのがウィーン世紀末なのだけれど... )の濃密さには、春の爛熟を思わせる。何だろう?この春っぽさ、ウィーンの東の玄関口(ちなみに、オーストリアの正式名称は"エスターライヒ"、和訳すれば、東の王国... )としてのローカル性が、その音楽に、ある種の長閑さを生む?なんて考えてみるのだけれど... そう言えば、陰陽五行説、東を示す季節は、春なのだよね... 東の都は、春の都?なんてウィーンを見つめると、新鮮かも...
ということで、ウィーン古典派、最後の巨匠、ベートーヴェンに続きます。アレクセイ・リュビモフが、1802年製のエラールのピアノの復刻で弾く、ベートーヴェンの「月光」、「ヴァルトシュタイン」、「テンペスト」(Alpha/Alpha 194)。ここにも春はあるかな?

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ベートーヴェン、運命と田園。 [2020]

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つくづく、思うのです。2020年、まさか、こんなことになるとは... 一方で、某スピリチュアリストの先生は、昨年末に、2020年について、破綻と崩壊の年と語っておられたとのこと... でもって、占星術の世界から2020年を見つめれば、パンデミック(星には、昨年末、と出ていたらしい... って、武漢での真実を当てているのだよね... )があって、さらに2020年末、まったく新しい時代が始まるのだとか... それから、お馴染みGマークの占い師さんは、2020年を、フランス革命、あるいは明治維新級の大変革が始まる年と話しておりました。信じるか信じないかは、あなた次第、ではなくて、すでにそうなっていて、恐い。いや、凄い。そう、世界は、今、運命の只中にある!そんな2020年にメモリアルを迎えるのが、ベートーヴェンというのがまた象徴的。何しろ、この人も、大変革の時代(革命からの戦争を経ての反動... )をサヴァイヴした人だから... つまり、あの音楽の革新性は、激動の時代の反映だった?ならば、今こそ、ベートーヴェンの音楽は、より響いて来る気がする。
ということで、マルティン・ハーゼルベック率いるウィーン・アカデミー管弦楽団による、ベートーヴェンの作品の初演の響きを蘇らせようという野心的なシリーズ、"RESOUND BEETHOVEN"から、最新盤、vol.8、「運命」と「田園」(Alpha/Alpha 479)を聴く。

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