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バーンスタイン、ミサ。 [2009]

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さて、8月になりました。いや、7月でした。とか、言いたくなってしまうほど、梅雨明けちゃって、夏です。この先、どーなってしまうのだろう。と、心配になるものの、夏らしい夏に、魅了されるところも... ということで、夏っぽい音楽!今年、生誕100年のメモリアルを迎えるバーンスタインのミサ。ミサと言っても教会音楽ではなく、典礼音楽をベースにしながら、シアター・ピースに仕上げてしまった異色の作品。ある意味、バーンスタインにとっての『ジーザス・クライスト・スーパースター』なのかもしれない(奇しくも同じ1971年に初演された両作品... )。教会音楽で、近代音楽で、ロックに、ジャズに、全てをごちゃ混ぜにして、ミュージカルっぽく仕上げながら、ラヴ&ピースの時代の気分を反映して、新たな祭祀を創出するような、フェスっぽいような、奇天烈な作品!
悪魔悪魔悪魔と来てのミサなのだけれど、これも、ある意味、悪魔的?マリン・オルソップ率いるボルティモア交響楽団の演奏、ジュビランド・サイクス(バリトン)、モーガン州立大学合唱団らの歌で、バーンスタインの『ミサ』(NAXOS/8.559622)を聴く。

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アイヴズ、ホリデイ・シンフォニー。 [2015]

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7月4日、アメリカ合衆国、建国242年、おめでとうございます。
一日遅れではありますが、同盟国から、ご挨拶を... って、近頃、アメリカでは、「同盟国」なんて、どうでもいいような感じ... てか、同盟国が、なぜ同盟国となったか、その歴史を知らなさそうなのだよね、白いおウチにお住まいの、たたみイワシ・ヘアーの閣下... いや、アメリカに限らず、今、世界は、歴史を捉える力が弱まっている気がする(「歴史認識」という言葉を、まるで呪文のように唱える方々も、大きな流れである歴史そのものに関しては、極めて意識が低かったり... )。もし、歴史を人生に例えるならば、今の世界は、両親の顔はおぼろげで、どんな風に育ったかを思い出せず、思春期のトラウマに囚われ、辛かった記憶も、幸せだった記憶も封印し、迷子になっている状態(場合によっては、認知症の症状も出ていて、変に暴力的になったり、コミュニケーションを取ることが難しいこと多々あり... )だろうか?自らが歩んで来た道が見えなくなっている中で、未来へと踏み出さなければいけない21世紀、この先が、かなり恐く感じてしまう。なんて、悲観しても始まらないので、とりあえず、アメリカ独立記念日を音楽で祝うよ!バーンスタインの奇作に続いての、鬼才、アイヴズ...
アンドルー・デイヴィス率いるメルボルン交響楽団の、アイヴズのオーケストラ作品を取り上げるシリーズから、第2弾、独立記念日ばかりでなく、ワシントン誕生日、戦没将兵記念日、感謝祭も祝ってしまう、4つの祭日、4曲からなる、アイヴズのホリデイ・シンフォニーと、「ニュー・イングランドの3つの場所」など、定番の作品(CHANDOS/CHSA 5163)を聴く。

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クロノス・クァルテット、吠える! [before 2005]

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アメリカの音楽の歴史は、17世紀、入植とともに始まる。が、アメリカの音楽が花開くには、かなりの時間を要した。華美な音楽を嫌った入植者たち、ピューリタンの性格が、その障壁に... カトリックのスペインが支配したラテン・アメリカでは、早くから豊かなバロック音楽が展開されていたこと(は、忘れられがちなのだけれど... )を思うと、極めて対照的。しかし、ヨーロッパの音楽の歴史と伝統から距離を取ったことで、他には無い、まっさらな土壌を創り出したか... そのまっさらな中で、やがて、アメリカの作曲家たちは、歴史や伝統から解き放たれて、様々な実験を繰り出すことに... 自宅で、いろいろと実験を繰り返していた日曜作曲家、アイヴズ(1874-1954)しかり、ジャズとオーケストラを融合させたラプソディー・イン・ブルー(1924)も実験だったと思うし、両大戦間、実験をエンターイメントにしたヴァレーズ(1883-1965)率いるウルトラ・モダニストたちがいて、戦後には実験音楽のシンボル、ケージ(1912-92)が登場、ヨーロッパのアカデミズムを揺るがすまでに!
ということで、アメリカのその後の実験に注目してみる。マイケル・ドアティ、ハリー・パーチ、スコット・ジョンソン、リー・ハイラと、ヴァラエティに富むアメリカの作曲家たちによる、スピーチ、落書き、ラジオ、ポエトリー・リーディング... 様々に言葉を織り込んだラディカルな作品集、クロノス・クァルテットの"HOWL, U.S.A."(NONESUCH/7559-79372-2)を聴く。

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アノニマス4、1865、南北戦争時代の希望と故郷の歌。 [2015]

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田畑を覆う一面の泥水、天井にまで届きそうな浸水の痕跡、道路に転がる巨大な岩、幾筋も山に刻まれる茶色い山崩れの傷跡... 日本は自然災害の多い国、ということは、重々承知しているものの、次々にそれが起こると、やはり言葉を失ってしまいます。それでも、全てを呑み込んで生きて来た日本人なのですよね... 困難に直面しても、前を向くしかない、もどかしさというか、切なさというか、何とも言えない感情が湧き上がる。で、そんな感情を癒してくれる歌かなと、聴いてみる、"Hard Times Come Again No More"、これ以上、厳しい時が来ませんように... 「すべては終わりぬ」として知られる、フォスターが1854年に発表した哀歌。奴隷制下、厳しい環境を生き抜いたアフリカから連れて来られた人々の心情を歌った詩は、アメリカ南北戦争(1861-65)において、南軍、北軍、両陣営でも歌われ、戦時下、厳しい状況にあった兵士たちの心を捉えたとのこと... そして、今、被災した土地、人々の姿が、そこに重なるようで... 亡くなられた方々のご冥福を祈りつつ、被災された方々が一日も早く日常を取り戻せますよう願い、聴いてみたいと思う、これ以上、厳しい時が来ませんように...
2015年、南北戦争終結150年を記念してリリースされた、南北戦争時の希望と故郷を歌ったナンバーを集めた1枚。アメリカの古楽ヴォーカル・アンサンブル、アノニマス4の"1865"(harmonia mundi/HMU 807549)。今でこそアメリカは音楽大国だけれど、そこに至る前は、実に素朴だった。そんな、普段、あまり触れられないアメリカの姿を捉える興味深いアルバム。

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ノイコム、ルイ16世を追悼するレクイエム。 [2017]

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さて、ワールド・カップが佳境です。明日は、フランスとクロアチアの決勝!でもって、本日は、フランス革命記念日、パリ祭!となると、フランスは、いつも以上にお祭り騒ぎなんだろうなァ。なんてことを思い浮かべつつ、革命後のフランスの歩みをおさらい... 現在のフランス共和国は、1789年のフランス革命に始まる。そんな風に思いがちなのだけれど、世界史を勉強すると、そうでないことが露わになります。第1共和政が成立するのは、フランス革命の3年後、1792年。翌年、王様をギロチンに掛けてみれば、絶対王政もドン引きするほどの独裁、恐怖政治に陥って、けど、そんなものは長続きせず、王制よりも威圧的な帝政となって、ヨーロッパ全体を戦争の渦に引き摺りこむ!けど、そんな無謀なことは長続きせず、王家が帰って来ての元の木阿弥。で、再び革命。株屋(つまりブルジョワたちに... )の王が乗っ取って、株価が下がれば、今度こそ共和政!のはずが、大統領は皇帝に変身、戦争やって、捕虜になって、パリは大混乱!の果てに、選挙やったら王党派圧勝!王政復古のはずが、本家と分家が喧嘩して、仕方なしに共和政という、トホホ... その後も、ナチスにあっさりと占領され、戦後、新たな共和政が成立するも、軍部に脅され、1958年、大統領の権限が強化された第5共和政が誕生し今に至る。フランスの長い歴史を振り返った時、フランス革命というのは、何だか混乱の種を蒔いただけのようにも思えて来る。もちろん、人権、平等、そして三権分立など、得られた高い理念も多いのだけれど... 革命後のフランスをつぶさに見つめれば、フランス革命記念日を祝うのが少し憚れる?ということで、本日、あえて、ルイ16世を追悼。
ジャン・クロード・マルゴワール率いる、ラ・グラン・エキュリ・エ・ラ・シャンブル・デュ・ロワの演奏、クレメンス・ティルカン(ソプラノ)、ヤスミナ・ファーヴル(メッゾ・ソプラノ)、ロバート・ゲッチェル(テノール)、アラン・ビュエ(バス)、ナミュール室内合唱団の歌で、1815年、ウィーンでのルイ16世追悼のミサのために書かれた、ノイコムのレクイエム(Alpha/Alpha 966)を聴く。

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メンデルスゾーン、真夏の夜の夢。 [2015]

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あぁぁぁ... あまりの暑さに身体も頭も停止気味です。みなさん、熱中症などになってはおられませんか?それにしても、連日、最高気温が、36度とか、37度とか、場所によっては、38度?39度?もうついていけません。いや、温暖化もギアが入って参りました(おい、小氷河期はいつ来るんだよ!?)。温室効果ガスの排出削減とか、もはやそういうレベルではなく、大気そのものを冷やす新たな技術を開発しなきゃいけないような気がして来る、今日この頃... で、こう暑いと、音楽を聴くのも、ちょっと億劫になってしまうようなところがあって... そんな時に聴く、さらりと楽しめる音楽。メンデルスゾーンがいいかなと... 18世紀の残り香を感じさせる瑞々しいサウンドと、19世紀ならではのキャッチーさによって織り成される、ロマン主義がまだ若々しさを失っていなかった頃の音楽。クラシック切っての優等生が織り成す卒の無さは、聴き手に負担を与えず、楽しませてくれる。
ということで、メンデルスゾーンの夏!トマス・ダウスゴー率いる、スウェーデン室内管弦楽団の演奏、スウェーデン放送合唱団、カミラ・ティリング(ソプラノ)、マグダレーナ・リスベリ(ソプラノ)の歌で、メンデルスゾーンの劇音楽『真夏の夜の夢』(BIS/BIS-2166)を聴く。

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ブリッジ、海、夏、 [before 2005]

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海の日は、ハッピー・マンデーでもって、7月、第3月曜に固定されているわけだけれど、そもそもは、本日、7月20日が海の日... ということで、海の音楽を聴く!海、行かないけど、海を聴く!で、改めてクラシックを見渡してみると、海の音楽、いろいろあるなと... ヴィヴァルディのコンチェルト、「海の嵐」に、シューベルトの歌曲「海の静けさ」(1815)、同じゲーテの詩によるベートーヴェンのカンタータ『静かな海と楽しい航海』(1815)、メンデルスゾーンの序曲「静かな海と楽しい航海」(1830)。フランスでは、ショーソンの歌曲集『愛と海の歌』(1893)があり、そして、何と言っても、この作品、ドビュッシーの交響詩『海』(1905)!ヨーロッパの周縁に目を向ければ、グラズノフの幻想曲「海」(1889)、シベリウスの交響詩「大洋の女神」(1914)、それから、エルガーの歌曲集『海の絵』(1899)に、ヴォーン・ウィリアムズの海の交響曲(1909)、ブリテンの4つの海の間奏曲(1945)などなど、海の広がりそのままに、様々な国で、ヴァラエティに富んだ作品が書かれている。一方で、イギリスは、特に海の作品が多いような... 7つの海を征した大英帝国だけに、海はより身近な題材だったか...
ということで、イギリスの海の音楽!イギリスのマエストロ、ジェイムズ・ジャッドが率いていた、ニュージーランド交響楽団の演奏で、ブリッジの交響組曲「海」(NAXOS/8.557167)。いや、ドビュッシーに負けてない!もうひとつの海、イギリスの海の魅力たるや!

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ワーグナー、さまよえるオランダ人/ディーチュ、幽霊船。 [2013]

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さて、夏と言えば、怪談ですよね。いや、恐い話し大好き!なぜって、怪異の在り様が、常識の斜め上を行って、創造性を刺激してくれるから... そんな恐い話しにワクワクしてしまう!ところで、クラシックなのだけれど、このジャンルに、どこか怪談めいたものを感じることがあるのです(とか言っていること自体が、もはや、怪談... 常識の斜め上を行っている自覚アリ... )。何しろ、100年も、200年も、300年も前に、場合によっては、それ以上前に作曲された作品が、現代を生きる音楽家たちの手によって、瑞々しく蘇るわけです。これって、幽霊に似ている気がする。ふわっと現れて、かつての時代の佇まいを現代の聴き手に示し、作品が終われば消えてしまう(となると、コンサートは、まさに降霊会... )。そんな作品の数々の集合体である、音楽史は、壮大なる因縁話にも思えて来る(ま、歴史とは因縁話そのものだけどね... )。そんな風にクラシックを捉えると、俄然、ワクワクして来ない?なんて、寝言(きっと、暑さのせいです... )は、さて置き、幽霊船のオペラを聴きます!
マルク・ミンコフスキ率いる、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの演奏で、同じ題材による因縁孕んだ2作品、ワーグナーのオペラ『さまよえるオランダ人』と、ディーチュのオペラ『幽霊船』を、大胆にも並べてしまうという驚くべき4枚組(naïve/V 5349)を聴く。

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ノイヴィルト、ロスト・ハイウェイ。 [2007]

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さて、夏と言えば、怪談ですよね(と、前回に引き続き... )。えーっと、幽霊は見たことないけれど、不思議な体験はチラホラ... そんな体験のひとつです。実話怪談で著名な、加門七海氏の本(何だったか忘れてしまった... )を、音楽を聴きながら読んでいた時のこと、加門さんの本を読んでいると、怪異を引き寄せることがあるらしい... と書いてある下りに来て、突然、CDプレイヤーが音飛びを始める。間もなく、音飛びは激しくなって、ドンッ、バンッ、みたいな、凄い音がスピーカーから溢れ出し、冷や汗。その後、CDを入れ直せば、何の問題もなく再生。あのドンッ、バンッは、何だったのか?偶然に起きた某かの電気信号の乱れ、と言ってしまえば、それまでだが、この世には、思いの外、不思議なことが多いように思う。というあたりを知らしめてくれるのが、実話怪談の数々... で、今や、実話怪談の平均律クラヴィーア曲集とも言えるシリーズ、木原浩勝氏と中山市郎氏による『新耳袋』、その第9夜には、クラシックにまつわる怪談(今や懐かしい朝比奈先生の逸話... )が収録されておりまして、実に興味深い!で、最も興味深かったのは、紀尾井ホールができるまでの話し... できるまでだから、クラシック以前なのだけれど、紀尾井ホールが建つ地には、深く入り組んだ歴史があるのだなと、感慨。いや、「恐い」の裏にある歴史のおもしろさ... 歴史が好き、というのと、古典音楽(=クラシック)が好き、というのは、過去に起因して成り立つ怪談が好き、と親和性があるように感じるのです。信じるか信じないかは、あなた次第です。
って、言ってみたかった... は、さて置きまして、19世紀の幽霊船から一転、現代的なホラーを... オーストリアの気鋭の作曲家、オルガ・ノイヴィルト(b.1968)が、デイヴィッド・リンチの映画『ロスト・ハイウェイ』(1997)をオペラ化した作品、ヨハネス・カリツケの指揮、クラングフォルム・ウィーンの演奏で、ムジークテアター『ロスト・ハイウェイ』(KAIROS/0012542 KAI)を聴く。

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ベートーヴェン、幽霊。 [2007]

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さて、夏と言えば、怪談ですよね。ということで、『さまよえるオランダ人』、『幽霊船』『ロスト・ハイウェイ』と、怪奇なオペラを聴いて来ての、ズバリ、幽霊を聴く!って、ベートーヴェンの5番のピアノ三重奏曲、「幽霊」なのだけれど、なぜに「幽霊」と呼ばれるのか?未完のオペラ『マクベス』の、魔女の集会のシーンのために書かれた音楽を転用したから、という説と、2楽章の始まりが、当時の聴衆にとって、幽霊が出て来る音を思わせたから... いわゆる、日本で言うところの"ひゅうどろ"的なイメージだった?という説があって、なかなか興味深い。ま、魔女と幽霊は明らかに違うから、後者の方により説得力があるように感じるのだけれど、てか、2楽章は、始まりに限らず、幽霊っぽい。で、この幽霊っぽさが、当時、新鮮だった気がする。音楽史における、ベートーヴェンの「幽霊」以前の怪異な表現は、バロック・オペラ、定番の魔女たちや、『ドン・ジョヴァンニ』の騎士長のように、実態がはっきりとあって(足がある!)、解り易く、コワモテ... の、一方で、ベートーヴェンの「幽霊」は、日本の幽霊に近く、気配から入って来る。いや、ベートーヴェンが表現しようとしていたものが幽霊であったかどうかは、正直、微妙なのだけれど、当時の人が、そこに幽霊を見たとしたなら、それこそが、まさに幽霊な気がして来る。
ということで、「幽霊」です。で、そればかりでなく、ベートーヴェンのライヴァルも... ダニエル・ゼペック(ヴァイオリン)、ジャン・ギアン・ケラス(チェロ)、アンドレアス・シュタイアー(ピアノ)という、豪華、名手が揃ってのピリオド・アプローチによるトリオで、ベートーヴェンの3番と5番、「幽霊」と、フンメルの4番のピアノ三重奏曲、3曲(harmonia mundi/HMC 901955)を聴く。

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