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ベートーヴェン、幽霊。 [2007]

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さて、夏と言えば、怪談ですよね。ということで、『さまよえるオランダ人』、『幽霊船』『ロスト・ハイウェイ』と、怪奇なオペラを聴いて来ての、ズバリ、幽霊を聴く!って、ベートーヴェンの5番のピアノ三重奏曲、「幽霊」なのだけれど、なぜに「幽霊」と呼ばれるのか?未完のオペラ『マクベス』の、魔女の集会のシーンのために書かれた音楽を転用したから、という説と、2楽章の始まりが、当時の聴衆にとって、幽霊が出て来る音を思わせたから... いわゆる、日本で言うところの"ひゅうどろ"的なイメージだった?という説があって、なかなか興味深い。ま、魔女と幽霊は明らかに違うから、後者の方により説得力があるように感じるのだけれど、てか、2楽章は、始まりに限らず、幽霊っぽい。で、この幽霊っぽさが、当時、新鮮だった気がする。音楽史における、ベートーヴェンの「幽霊」以前の怪異な表現は、バロック・オペラ、定番の魔女たちや、『ドン・ジョヴァンニ』の騎士長のように、実態がはっきりとあって(足がある!)、解り易く、コワモテ... の、一方で、ベートーヴェンの「幽霊」は、日本の幽霊に近く、気配から入って来る。いや、ベートーヴェンが表現しようとしていたものが幽霊であったかどうかは、正直、微妙なのだけれど、当時の人が、そこに幽霊を見たとしたなら、それこそが、まさに幽霊な気がして来る。
ということで、「幽霊」です。で、そればかりでなく、ベートーヴェンのライヴァルも... ダニエル・ゼペック(ヴァイオリン)、ジャン・ギアン・ケラス(チェロ)、アンドレアス・シュタイアー(ピアノ)という、豪華、名手が揃ってのピリオド・アプローチによるトリオで、ベートーヴェンの3番と5番、「幽霊」と、フンメルの4番のピアノ三重奏曲、3曲(harmonia mundi/HMC 901955)を聴く。

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