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ヴィヴァルディ、ドレスデンのヴィルトゥオーゾために... [2013]

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えーっ、この夏の直木賞、大島真寿美著、『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』を、読書の秋に、読まさせていただきました。近松亡き後の大阪を舞台に、人形浄瑠璃やら、歌舞伎やら、舞台人たちが、魂削りながら、渦巻いて、ひとつ大きな芸術を拵えて行く話しでございます。いや、舞台いうんは、"渦"なんやなと... 過去の作品を引っ張り出して、ライヴァルの作品まで引っ張り込んで、掻き回して、新しいものをどうにかこうにか生み出して(つまり、純粋なるオリジナルは存在しない... )、次の時代へとつなげてく。何や、その大きい捉え方に、感動しつつ、せや、オペラも同じやで、と思い至る次第(古典、持ち出して、あっちの台本、こっちの台本、使い回して、あっちのアリア、こっちのアリア、混ぜ合わせたら、パスティッチョにもなって... )。ヴェネツィア楽派がやんやの賑わい作ったら、ヴィヴァルディが喧嘩売って、束の間、ナポリ楽派に呑み込まれて、バロックからその先へ、どんどん時代が紡がれて行く。バロック・オペラも渦や!ということに気付かされる(いや、もうね、単純なものだから、影響を受け過ぎて、勢い大阪弁になってしまいました。汗... )。ヴィヴァルディ、最後のオペラの、最後になってしまった切なさ、上げ潮、ナポリ楽派のスター、カッファレッリが歌ったアリアの、新しい時代を見せ付けて来る多彩さに触れ、もうひとつの"渦"を見出し、よりヴィヴィットな思いを掻き立てられる。で、ますます魅了される。そうか、時代、丸々が、ひとつのオペラだったのかもしれへんな... 凄い話しや... そして、今一度、その渦の中から、ヴィヴァルディのコンチェルトを引き上げる。オペラでは負けても、コンチェルトでは負けなかったヴィヴァルディ!
カウンターテナーとして見事な歌声も聴かせる異色のヴァイオリニスト、ドミトリー・シンコフスキーのソロ、イル・ポモ・ドーロの演奏で、ヴィヴァルディが、ドレスデンのコンサート・マスター、ピゼンデルのために書いたコンチェルトを集めたアルバム、"VIVALDI EDITION"から、ヴァイオリンのための協奏曲集、第5弾、"Per Pisendel"(naïve/OP 30538)を聴く。

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