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フランス、クラヴサンの国のピアノに負けない輝き、デュフリ、 [2013]

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我々は、今、おもいっきり過渡期を生きている。のだと思う。日々、古いものと新しいものがぶつかり合って、人が、社会が、国が、世界が、言いたい放題、怒声に塗れ、大気に大地までもが軋み、苦悶の声を上げている。その声、時に聞くに堪えないこともある。が、新しい時代を迎えるにあたっての健全な反応とも言えるのかもしれない。前に進むためには、必要なこと... そして、今、前に進む必要に迫られていることは、間違いない。ならば、この過渡期と、どう向き合うべきか?一緒になって怒声を放つか?苦悶の声に呑まれるか?普段、音楽史を辿っていると、多々ある過渡期に出くわす。もちろん、それは、音楽でのことであって、我々の現状と並べてしまうのは、どうかとも思う。が、それでも、音楽史の過渡期を見つめていると、何となく、その先へと希望が持てるような気がして来る。例えば、18世紀半ばのフランス... ブフォン論争に象徴されるように、新旧、内外、様々なベクトルで芸術思潮が衝突し、表現が不自由だ何だの次元では無く、国を二分(国王派vs王妃派)し、決闘(バロ・ド・ソヴォvsカッファレッリ)までする事態に至っても、そこから、より豊かな18世紀後半の音楽シーンが醸成され、やがて訪れる19世紀もまたそこで準備されていた。どちらかと言えばネガティヴに捉えられる過渡期、古いものと新しいものがぶつかり合う姿を目の当たりにすれば、逃げ出したくなる思いに駆られるのだけれど、次なる時代を耕していると考えれば、より冷静に状況を見つめることができるのかもしれない。そして、18世紀半ば、ブフォン論争の大騒ぎを横目に、淡々と過渡期を生きた先人を見つけた。フランス・クラヴサン楽派、デュフリ。
シャンボニエール(ca.1602-72)、ダングルベール(1635-91)、フランソワ・クープラン(1668-1733)、ラモー(1683-1764)と受け継がれて来たフランスのクラヴサンの伝統を、新しい時代を迎える中も息衝かせたデュフリに注目... クリストフ・ルセの弾くクラヴサンで、デュフリが出版した4つのクラヴサン曲集から、27曲(APARTÉ/AP 043)を2枚組で聴く。

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