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ラモーからグルックへ... 奇怪、地獄巡りのミサ、"ENFERS"。 [2018]

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近頃、「ヴィンテージ」とか、「昭和」とか、そういったワードが、何かと視野に入って来る。もちろん、ポジティヴな意味合いで... 時代遅れを乗り越えた古さは、思い掛けなく新鮮に映ってしまう魔法!リヴァイヴァルって、おもしろいなとつくづく思う。そんなリヴァイヴァルは、音楽でも顕著で、また音楽史を紐解けば、いつの時代にもあった。で、興味深いのが、18世紀のフランス... 1750年代、ブフォン論争によって攻撃された、リュリに始まるトラジェディ・リリクの伝統。その矢面に立たされたラモーだったが、その死後、1770年代、ラモーのスタイルは、ウィーンからやって来た改革オペラの旗手、グルックによってリヴァイヴァルされ、疾風怒濤期、フランス・オペラに新たな勢いを生み出す。そして、その勢いは、やがてロマン主義の呼び水となり... 古いものが、新たな使命を与えられ、見事、蘇り、さらには、未来までもがそこに予兆されるというこの刺激的な展開!この価値観がひっくり返る様子は、どこかフランス革命を予感させるところもある。で、価値観がひっくり返ってぶちまけられたのが激情... その激情には、地獄が覗くから、ますます刺激的... いや、これだから音楽史はおもしろい。
ということで、バロックの復讐!ステファヌ・ドゥグー(バリトン)をフィーチャーした、ラファエル・ピション率いるピグマリオンの演奏と歌で、ラモーとグルックによるドラマティックなシーンをまとめた"ENFERS"(harmonia mundi/HMM 902288)を聴く。

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