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パリ、オペラ座からの視点、ワーグナー、リングという物語。 [2013]

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1976年、パトリス・シェロー(1944-2013)は、バイロイト音楽祭で『ニーベルングの指環』を演出するにあたり、ワーグナー自らが書いた台本にあるゲルマン神話の世界を、産業革命の時代に読み替え、舞台上にそれまでにない斬新な情景を創り出した(今となっては定番の、オペラの読み替え演出の草分け... )。それは、突飛なようで、実は、ワーグナーが生きた時代(産業革命により旧来の支配勢力がじわじわと没落... )を突くものであり、ゲルマン神話を借りて、ワーグナーが同時代をどう見つめていたかを炙り出す試みだったと言えるのかも... そして、今、時代は、ワーグナーが生きた時代と、どこか似通って来ているような気がする。だから、今、改めてリングの物語に向き合うと、ドキっとさせられる。グレート・アゲインをやたら叫び出した後ろ向きの人々、権力者たちの足掻きは、まさに神々のそれに似ていて、さらに、神々に挑戦する欲望を剥き出しにした新興勢力、よりスマートに、より狡猾に世界を手中に収めようとする新世代の登場... そして、決定打は、世界樹(アマゾンか?)が枯れ、ライン河は氾濫(海面上昇か?)し、やがて世界を呑み込むという... いや、これは、我々の物語か?
ということで、リング!四夜、丸々は、ちょっとキツイので、フィリップ・ジョルダン率いるパリ国立オペラ管弦楽団の、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』、オーケストラによる楽曲の数々を、2枚組で、余裕を以って取り上げるハイライト。最後、「ブリュンヒルデの自己犠牲」では、ニーナ・シュテンメ(ソプラノ)も歌うアルバム(ERATO/9999341422)を聴く。

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