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ルトスワフスキ、ポーランドのモダニズムにおけるダンディズム... [2016]

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さて、今年、日本とポーランドは、国交樹立100周年を迎えました。というわけで、モニューシュコショパンと、ポーランドの作曲家を聴いて来て... いや、正直に申しますと、先ほど知りました、100周年(小声... )。いやいや、100周年云々に関わらず、実に興味深い、ポーランドの音楽!ポロネーズやマズルカなど、豊かな民俗音楽の伝統(バロック期、かのテレマンも魅了されていた!)があって... そうした伝統をベースに、地道な展開を見せた、19世紀、ポーランドにおける国民楽派... その顔、モニューシュコのオペラと向き合ってみれば、他の東欧の音楽とは一味違う緻密さが感じられ、そのあたりに、次なる時代、20世紀、近現代音楽において、多くの異才を輩出したポテンシャルを見出せるような気がする。チェコやロシアに比べると、いささか地味な印象も否めないけれど、いやいやいや、見つめれば見つめるほどヴァラエティに富み、おもしろいんです!
そんなポーランドの20世紀に注目... ポーランドの俊英、クシシュトフ・ウルバンスキの指揮、彼が首席客演指揮者を務めるNDR交響楽団の演奏で、戦後、ポーランド楽派の草分け、ルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲(Alpha/Alpha 232)を聴く。

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シベリウス、1番、未純化な状態が生む情念の交響曲。 [2019]

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この間、『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(花田菜々子著)という本を読む。「出会い系」という響きが、なかなかスパイシーなのだけれど、そういうスパイシーさとは裏腹に、斜陽産業、"本"業界で、苦闘し、疲弊して行く、ヴィレヴァン店長、菜々子さんが、出会い系サイトで、70人と実際に会って、その人に合いそうな本をすすめまくって、再び"本"への愛を再確認して行くという、思いの外、実道な物語(いや、実録モノ... )。いや、"本"の話しのようで、実は、現代社会に横たわる断絶を、勇気を持って乗り越えて、人と人とのつながりを再構築していくことこそがテーマなのかも... でもって、菜々子さんの人とのつながりが再構築されて、再び、"本"の存在は輝き出し、何か未来に明るさが見えて来るのだよね。そして、いろいろ考えさせられました。これが、"本"ではなく、"クラシック"だったら... 何ができるだろう?
とりあえずは、目の前の事をやる!ということで、前回に続き、若きマエストロを取り上げます。フィンランドの俊英、サントゥ・マティアス・ロウヴァリ(b.1985)率いる、イェーテボリ交響楽団の演奏で、シベリウスの1番の交響曲(Alpha/Alpha 440)を聴く。

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チャイコフスキー、4番、激情の果てのドラマとしての交響曲。 [2019]

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先日、『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』(ドニー・アイカー著)という本を読む。表紙に躍る「死に山」の文字のインパクトが、怪談の季節にぴったり?で、ホラー映画(『ディアトロフ・インシデント』は、後日談として描かれるのだけれど... )にもなりました、20世紀、ソヴィエトにおける都市伝説(?)、冬のロシア、ウラル山脈、ディアトロフ峠で起こった、大学生トレッカーたちの謎の死を追うルポ... ちなみに、信じるか信じないかは、あなた次第です!的な結論(つまりホラー的な... )には至らないのだけれど、厳寒のシベリアの恐るべき姿を最後に見せつけられ、その自然の脅威を前に、なすすべなく命を落してしまう学生たちの姿に、切なくなってしまった。一方で、ロシアの、ウラルの、人知を越えた底知れなさに、奇妙な新鮮さを覚えてしまう。いや、ロシアの音楽を俯瞰した時、感じる、西欧の音楽には無いただならなさには、こうした背景もあるのかもしれない。また、そうした中で育まれる表現もあるのだろう... ということで、ウラル・フィルを率いブレイクした指揮者、リスに注目(って、こじつけ!なのだけれど、リスの音楽性には"ウラル"があるような気がして... )。
というドミトリー・リスが、ウラルから飛び出して、新たに率いるオーケストラ、南ネーデルラント・フィルハーモニーの演奏で、ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』、前奏曲と愛の死と、チャイコフスキーの4番の交響曲(FUGA LIBERA/FUG 754)を聴く。

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ベルリオーズ、イタリアのハロルド、私小説としての交響曲。 [2019]

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暑いですね。もうすぐ人体自然発火が報告されそうなくらい... だからでしょうか?近頃、あっちでもこっちでも炎上していて... というより、もはや炎上上等!対馬海峡のあちら側など、戦中の日本かと思うような国策民族主義で焚きつけて、本当に21世紀?と耳目を疑い... 名古屋城のお膝元では、「表現の自由」が、今や炎上主義を手段とするチャラさ... いや、そればかりでなく、アメリカで、ペルシャ湾で、世界各地で、次から次へと、これは花火大会なのかな?というくらいに炎が上がる。てか、炎上で、問題は解決する?世の中は前進する?冷静に考えれば解ることのはずが、そんなことはお構い無し、メディアはせっせとガソリンを注ぐことに余念無し... いや、いろいろな意味で酷暑です。そして、世界中で人々は熱中症です。もう、ぐったり... ではありますが、あるクラシックにおける炎上に注目。今年、没後150年を迎えるベルリオーズ。ローマ賞を受賞して、晴れて婚約!意気揚々とローマ留学へと向かったところに、婚約者の家から破談の手紙が届いて、炎上!
そんな記憶が籠められた作品?フランソワ・グザヴィエ・ロト率いる、レ・シエクルの演奏、タベア・ツィンマーマンのヴィオラで、ベルリオーズ、ヴィオラの独奏付きという異色作、交響曲「イタリアのハロルド」(harmonia mundi/HMM 902634)を聴く。

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我らに平和を与えたまえ、三十年戦争の音楽。 [2018]

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明日、8月15日は、終戦の日。ということで、改めて、平和について見つめてみたい。というのも、今、世界は、不穏過ぎるほど不穏だから... 戦争への緊張感は各地で高まり、紛争ならばすでに常態化し、国と国の対立が驚くほど安易に煽られ、21世紀、「平和」があまりに軽んじられていることに衝撃を受ける。そういうリアルに対し、日本では、あの戦争を忘れないと、様々に戦争が語られ、平和を喚起することに余念が無いものの、夏だけに語られる戦争、戦争=太平洋戦争という形に、どこか安堵してしまっているようで、何だかもどかしい。近代戦争は、季節を選ばない。そして、1945年の終戦から後、世界は平和だったか?いや、多くの戦争が起こり、戦争はけして過去のものになってはいない。未だ、多くの人々が命を落とし、あるいは家を失い、難民となっている21世紀のリアル。過去を忘れるわけには行かない。が、今、現在の平和が軽んじられている事態にも、あともう少し関心が向かったなら... 何か変わるものもあるような気がするのだけれど... いや、あえて、終戦の日を前に、今から、終戦から、もっともっと遡って、遠い昔の戦争に注目して、そこから、某かの普遍を見出してみたくなる。
アルノ・パドゥハ率いる、ドイツの古楽アンサンブル、ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブルの歌と演奏で、シュッツら、三十年戦争に翻弄された作曲家たちによる作品を集めたアルバム、我らに平和を与えたまえ、"Verleih uns Frieden"(Christophorus/CHR 77424)。そこに響く、戦争と平和は、実にシンプルなものだけれど、なればこその普遍が21世紀に沁みる!

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アラスカのアダムズ、砂漠へ、BECOME DESERT... [2019]

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我々にとっての暑さの問題は、やっぱり湿度だと思う。目には見えない空気中に漂う微細な"水"が、夏の暑い日差しに熱せられて、じっとりと纏わり付いて来る日本の夏... サウナの中にいるようだ、とはよく言ったものだ。けれど、実際は、人間が、目に見えない蒸籠に入れられて、蒸し上げられているようなもの。21世紀、温暖化本格化で、ますます蒸し鍋の温度は上がる一方... だから、つい夢想してしまう。湿度が極めて低い砂漠って、どんな感じなのだろう?もちろん、けして快適な場所ではない。何しろ、草木も生えない乾燥し切った場所... そうした中に無防備に佇んでいれば、身体の水分はどんどん失われてしまうのだろう。また、湿度の低さによって、昼夜の寒暖差は激しくなり、暑いばかりでなく、寒くもなるのが砂漠の特徴。何とも極端な世界である。それでも、さっぱりとした空気を味わってみたい欲求に駆られてしまう今日この頃... そこで、音楽で砂漠になる!
えーっと、これって、まだ日本ではリリースされていない?で、ナクソス・ミュージック・ライブラリーで見つけてしまいました。ルドヴィク・モルロー率いる、シアトル交響楽団、ジョン・ルーサー・アダムズのビカム・デザート(cantaloupe/CA 21148)を聴く。

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カリフォルニアのアダムズのドライヴ、ROAD MOVIES... [before 2005]

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wikiで、「ジョン・アダムズ」を調べると、曖昧さ回避というページが出て来る。つまり、wikiには、ジョン・アダムズという名前の人が、複数いる、ということ... 例えば、2人のアメリカ大統領、バウンティ号の反乱の生き残り、海王星を発見した天文学者、R&Bの歌手まで、実にヴァラエティに富んだジョン・アダムズたちが並んでいる。英語圏では、極めてポピュラーな名前なのだろう(英語のページでは、さらにさらに、驚くほどの数のジョン・アダムズが並ぶ!)。だから、紛らわしい事態を引き起こしてしまう。ちなみに、2人のアメリカ大統領とは、アメリカ建国の立役者のひとり、第2代、ジョン・アダムズ(任期 : 1797-1801)と、その息子、第6代、ジョン・"クインジー"・アダムズ(任期 : 1825-29)。へぇ~ 親子で大統領をやってたんだ。と、これを機に知る。というくらい、父の影に隠れてしまっている息子... 同じ名前であるがために、余計にすっぽりと隠れてしまう。けど、親子なら、まだね... これが、他人だったら、きっちりと"曖昧さ回避"されなくてはならないわけでして... というのが、アメリカの現代音楽の作曲家、ジョン・アダムズ!前回、聴いたのは、1953年生まれ、アラスカのジョン・"ルーサー"・アダムズ... で、今回、聴くのは、1947年生まれ、カリフォルニアのジョン・"クーリッジ"・アダムズ。
ということで、リーラ・ジョセフォヴィッツのヴァイオリン、ション・ノヴァーチェクのピアノで、ロード・ムーヴィーズ、ニコラス・ホッジズ、ロルフ・ハインドのピアノで、ハレルヤ・ジャンクションなど、ジョン・"クーリッジ"・アダムズによる室内楽、ピアノ作品を集めたアルバム、"ROAD MOVIES"(NONESUCH/7559-79699-2)を聴く。いや、爽快感をもたらしてくれる音楽!

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ニューヨーク、ライク、RADIO REWRITE...。 [2016]

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暑いと、つい、さっぱりしたものを選びがちに... ということで、ここのところよくそばを食べております。お気に入りは、家で、簡単、冷やしたぬき!どんぶりに、だしの素、1袋、砂糖、小さじ1、こぶ茶、小さじ1に、お湯を注ぎ、蓋をして、少し置いたら、麺つゆ、大さじ1を加えて、氷を浮かべて、冷ましたところに、茹でたそばを投入、ねぎに、揚げ玉をトッピング、わさびをチョロっと添えて、はい出来上がりぃ。いや、ほとんどインスタントっぽいよな... けど、そういうのが、夏にはしっくり来る。でもって、夏の楽しみ!暑いからさっぱり、は、逃げでは無くて、楽しみだと思う。そして、音楽もまたしかり(って、ちょっとこじ付け?)。ポスト・ミニマル世代、アラスカのアダムズ、カリフォルニアのアダムズの音楽を続けて聴いて、耳からもさっぱりしております、今日この頃... シンプルなフレーズ、クリアなハーモニー、小気味良く刻まれるリズムは、いわゆるクラシックの音楽のヘヴィーさの対極に在って、ライト。そのライトさに救われすらする。それでいて、ちょっとエナジー・ドリンクっぽさもあったり?
さてさて、ポスト・ミニマル世代を聴いたら、ミニマルの核心世代も聴きたくなるというものでして... ブラッド・ラブマン率いる、アンサンブル・シグナルの演奏で、ライヒのダブル・セクステッドとレディオ・リライト(harmonia mundi/HMU 907671)を聴く。

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"RESOUND BEETHOVEN"、若きベートーヴェンのリアルを見つめて、 [2015]

何となーく、涼しくなって来たのかな?先日、8月23日が、処暑とのこと... 暑さが、一先ず、処(お)く=落ち着く、という意味らしいです。でもって、実際に、立秋(これが8月8日なんだわ... )を過ぎると、我々のいる北半球では、日照時間が短くなり始め、当然、太陽から受け取るパワーも落ち、気温も下がり始める。それを体感できるようになるのが、処暑か... 何となーく、涼しくなって来たのかな?には、きちんとした科学的裏付けがあるようだ。いや、暑いのも、寒いのも、地球と太陽の関係、地球の地軸の傾きが織り成すもの。我々の肌は、日々、壮大なる宇宙の配置を感知しているわけだ。と考えてみると、凄くない?は、ともかく、つまり、秋が近付いているわけです。そう、クラシックのシーズンの開幕は、まさに、すぐそこまで来ている!ということで、そろそろクラシックを聴く準備体操を始めなくては... 1、2、3。1、2、3。ベートーヴェンの1、2、3。で、準備体操始め!
マルティン・ハーゼルベック率いるウィーン・アカデミー管弦楽団の、録音場所にまでこだわりを見せる意欲的なベートーヴェンのシリーズ、"RESOUND BEETHOVEN"から、1番と2番の交響曲(Alpha/Alpha 470)、3番、「英雄」(Alpha/Alpha 474)を聴く。

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"RESOUND BEETHOVEN"、戦時下のベートーヴェンを追って、 [2019]

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間もなく8月が終わります。いやはや、温暖化の夏の強烈さが身に沁みる日々でありました。それでいて、大気ばかりでなく、世界も、日本も、やたら熱くなって、炎上しまくった日々でありました。身体ばかりでなく、精神的にも夏バテを起こしてしまいそうな惨憺たる8月... こんな8月、早く終わっちまえ!の一方で、終わるとなると、何だか寂しさを覚えてしまうのが8月でもあって... 遠い夏休みの記憶は、未だに意識下で息衝いているのか、夕暮れ、たなびく雲に秋の気配なんかを見つけたりすると、センチメンタルが滲むような、滲まないような、8月末。このセンチメンタルが、いろいろな温度を下げてくれれば、いいなァ。そうして、落ち着いて、秋を迎えたい。いやいや、クラシックからすると、秋は落ち着いてなどいられない。9月はシーズン開幕!ということで、前回、シーズン・インに向けての準備体操として、ベートーヴェンの1番、2番3番の交響曲を聴いたので、勢い4番も!でもって、"RESOUND BEETHOVEN"の4番... この意欲的なシリーズの最新盤を聴く。
マルティン・ハーゼルベック率いるウィーン・アカデミー管弦楽団の演奏、ゴットリープ・ヴァリッシュが弾くピリオドのピアノで、ベートーヴェンの4番のピアノ協奏曲と、4番の交響曲(Alpha/Alpha 478)。ウィーンのベートーヴェンで、8月を締め括ります。

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