SSブログ

やさしい音楽。 [2011]

2010年のマーラー生誕150年、2011年のマーラー没後100年、
前半、後半と、2年も続くマーラーのメモリアル... だったが、そろそろ、その終わりが見えて来て、何となく寂しい。とにかく、次から次へとマーラーの交響曲がリリースされて、ツィクルスは完成されて、これほど収穫の多いメモリアルになるとは想像もしていなかった(近頃、クラシックは元気が無かった分... )。
そうした中、印象に残る、ジョナサン・ノット率いる、バンベルク交響楽団のマーラーのツィクルス。メモリアルだからと浮足立つことなく、じっくりと時間を掛けて進められている彼らのツィクルスは、メモリアルの前半に2番、「復活」(TUDOR/TUDOR 7158)を、後半に3番(TUDOR/TUDOR 7170)をリリースして、ちょうど折り返しを過ぎたところ。そのペースに、多少、もどかしさを感じながらも、メモリアルに合わせてツィクルスを完成する... なんてことはしない、彼らならではのマイペースぶりが、他にはないマーラーを育みつつある(で、完成にはあと5年くらいは掛かる?)。ということで、2番、「復活」と、3番を聴く。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

プーランクの意外にも深く多様な音楽世界... [2011]

ZZT110403.jpg
1010.gif
1927年に作曲された、プーランクの田園コンセール。
音楽も近代へと深く踏み込んで行った時代、ピアノが普及する以前、西欧音楽の中心にあったチェンバロを、もう一度、舞台の真ん中に置いてみる。そのチェンバロに合わせて、18世紀風の軽やかで能天気なサウンドを仕立て、近代にあって個性を際立たせる擬古典主義を象徴する作品なわけだが。ふと考えてみると、この作品は、1920年代における、ある種のピリオド・アプローチだったのかもしれない。
という作品に手を出した、ピリオド界の最も危険なマエストロ、ジョス・ファン・インマゼール... この人が取り上げる作品というのは、常にピリオドの枠を大胆に押し広げて、ハラハラさせられるほどにラディカル。リリースごとに驚かせてくれたわけだが、このプーランクは、極めつけ。それは、ピリオドの、ピリオド?20世紀前半、18世紀へと立ち返ったプーランクに、21世紀の今、立ち返る。となると、インマゼールはどの時点へと立ち替えるのか?「擬古典主義」という舞台セットを前に、「ピリオド」というタイム・マシーンが時代を行き来して、聴く者を煙に巻くアルバム、ジョス・ファン・インマゼールと、彼が率いるピリオド・オーケストラ、アニマ・エテルナによるプーランクの作品集(Zig-Zag Territoires/ZZT 110403)を聴く!

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

ヴァシリー・ペトレンコ、研ぎ澄まされる世界... [2011]

この夏と言えば、世界のオザワの健康状態に一喜一憂...
連日、サイトウ・キネン・フェスティバルがニュースで取り上げられた。が、伝えられたのは音楽そのものではなくて、巨匠の健康状態。そうした報道を見ていると、まるでマエストロが、関係者やファンに引っ張り回されているように感じて、複雑な気持ちに。みんな大好き!みんなが聴きたい!のは、よくわかる。まったく以って替え難い存在に違わない... けれど、あまりに一辺倒にも思えて... どうなのだろう?
一方、ニュースで連日取り上げられるなんてことはけして無いが、近頃、若い世代の台頭が著しい。特に、旧ソヴィエト圏出身の指揮者が、シーンに存在感を示しており、とても気になるのだけれど。そうしたひとり、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、ヴァシリー・ペトレンコ(b.1976)。N響定期に客演したりと、日本においてもじわりじわりとその名が浸透しつつある?そんな、ヴァシリー+ロイヤル・リヴァプール・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲のシリーズから、第5弾となる最新盤、1番と3番(NAXOS/8.572396)。第4弾となる、10番(NAXOS/8.572461)。それから、昨年のリリースになるのだが、遅まきながら、第3弾、8番(NAXOS/8.572392)の3タイトルを一気に聴く。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

優雅なロココのオーケストラ。の、センチメンタル。 [2011]

AVSA9882.jpg11orc.gifAuS10.gif
9月に入り、季節もどことなしに秋めくのか...
まだまだ夏の陽気、高い太陽の下、蝉は元気に鳴いている。が、陽が落ちる頃にはコオロギも鳴き始めて。ふと振り返ると、猛暑と節電のせめぎ合いの日々からは、随分と経ってしまったようにも感じられる。そうした時の経つ感覚が、秋かな?なんて思いつつ、秋へのプレリュードとして聴く、ラモー。
ジョルディ・サヴァールと、彼が率いるピリオド・オーケストラ、ル・コンセール・ナシオン... 昨年に続いて、再びルイ15世を巡るアルバム。ラモーのオペラからの組曲で綴る"L'ORCHESTRE DE LOUIS XV"(Alia Vox/AVSA 9882)。ルイ15世のオーケストラ... ルイ15世の時代の、華麗で、粋で、それでいて、そこはかとなしにセンチメンタルが漂うサウンドに、一足先に秋を見つけてみる。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

ベートーヴェン、覚醒... [2011]

AM204.jpgSpC10.gif
1010.gif
Virgin CLASSICSからのモーツァルトの交響曲集(Virgin CLASSICS/234868 2)で、強烈なインパクトをお見舞いされたジェレミー・ローレル率いる、フランスの次世代ピリオド・オーケストラ、ル・セルクル・ドゥ・ラルモニ。その向こう見ずなモーツァルトに、クラシックもここまで来ましたか?!と、感慨やら、中てられるやら、どうリアクションを取るべきか、戸惑ってしまうほどだったのだけれど、今度はambroisieからベートーヴェンの交響曲をリリース。1番の交響曲をメインに、ベートーヴェンが「ベートーヴェン」へと覚醒する1800年代にスポットを当てる興味深い1枚、"BEETHOVEN the biarth of a master"(ambroisie/AM 204)。
フランスの次世代が、ピリオドのフィールドで、どんなベートーヴェンを聴かせてくれるのだろうか?やはり、強烈なインパクトで攻めて来るのか?興味津々で聴いてみる。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

グラミー賞受賞作曲家、ドアティの、いともアメリカンな世界。 [2011]

アメリカの作曲家、マイケル・ドアティ(b.1954)。
近頃、何となくその名前が視野に入ってきていて、どんな感じの音楽なのだろう?と、ぼんやり気になっていたのだけれど... 驚いた!今年のグラミー賞、クラシックのあらゆる部門に、ドアティの名前が... アメリカじゃあ、そんなにも注目される作曲家なの?!と、遅ればせながら、より具体的に注目してみることに。
NAXOSの"American Classics"のシリーズから、2タイトル。まずは、春にリリースされた、マリン・オルソップ指揮、ボーンマス交響楽団による「ルート66」(NAXOS/8.559613)。そして、今年、グラミー賞を受賞(リリースは一昨年で、新譜ではないのだけれど... )した、ジャンカルロ・ゲレーロ率いるナッシュヴィル交響楽団の「メトロポリス・シンフォニー」(NAXOS/8.559635)。アメコミの世界がオーケストラで奏でられたなら?そんな破天荒さが、現代音楽の堅苦しさをブった切る、ドアティの管弦楽作品をたっぷりと聴く。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

ギヨーム・テル! [2011]

0288262.jpg11op.gif
とにかく、序曲が有名な"ウィリアム・テル"... だけれど、その後は?
と、ずーっと思って参りました。もはや序曲は、クラシックというジャンルを越えて、誰もが知るわけだが、本編たるその後について知ることは、クラシック・ファンであっても、なかなか無かったり。録音も少な目だったり。ロッシーニ最後の大作(その上演時間はワーグナー級!)の、その規模に二の足が踏まれてしまうのか?イタリアならではの軽快なブッファではなく、仰々しくも感じてしまう、フランス流、グランド・オペラというあたりが、ロッシーニっぽくなかったか?ある意味、一筋縄ではいかないオペラなのかも... だからこそ、本編を聴いてみたい!
という欲求を満たしてくれたのが、アントニオ・パッパーノ。彼が率いるサンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団の演奏、ジェラルド・フィンリー(バリトン)のタイトル・ロールで、オリジナル、フランス語版による、オペラ『ギヨーム・テル』(EMI/0 28826 2)を聴く。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

死へのやさしげな眼差し、カンプラのレクイエム。 [2011]

K617224.jpg
1010.gif
フランス・バロックを彩る2大レクイエム... ジルのレクイエムと、カンプラのレクイエム。
美しい作品として知られる2つのレクイエムの内、ジルは聴いているのだけれど、カンプラを聴けておらず、ずっと気になっていて... カンプラと言うと、間違いなくマイナーな存在ではあるが、けして録音が無いわけではない、そのレクイエム。最近では、ヤンセンス+ラウダンテス・コンソートによる"a history of the requiem"(オケゲムからデュルフレまで、3つのアルバムで、レクイエムの歴史を追う好企画... )で取り上げられていたり。で、そのアルバム(cypres/CYP 1651)も気になりつつ、手に取るまでは至らず。そこに、フランス・バロックのエキスパート、オリヴィエ・シュネーベリ率いる、ヴェルサイユ・バロック音楽センター付きコーラス、レ・パージュ・エ・レ・シャントルによる、新たなアルバム(K617/K617224)が登場。とうとう、カンプラのレクイエムを聴いてしまった。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

オリジナルを求めて... 管弦楽組曲... [2011]

FUG580.jpg11orc.gif
G線上のアリアでお馴染みの、バッハの管弦楽組曲... あまりに定番過ぎて、あまり顧みることもなかったのだけれど、今、我々が耳にしている版とは違う、オリジナル版があった。と、知って、ちょっと興味を持つ。といっても、そのオリジナル自体はすでに存在しておらず、今ある版から、バッハが最初に完成させた管弦楽組曲を再現する... とのこと。で、そのオリジナルの再現に取り組んだのが、パウル・ドンブレヒト率いる、ベルギーのピリオド・オーケストラ、イル・フォンダメント。彼らの演奏を聴くのも久々で、ピリオド・アプローチによるバッハを聴くのも久々かも... と、オリジナル再現版、4つの管弦楽組曲(FUGA LIBERA/FUG 580)を聴いてみることに。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

ピアノ・エ・フォルテ。 [2011]

GCD922504.jpg
1010.gif
ピアノは、あまりに、当たり前のように、クラシックの真ん中に存在していて、ピアノそのものについて考えることは、あまり無いような気がする。特に、その始まりとか... ピリオドの世界をふらふらしていると、時折、ピアノの発明者として、クリストフォリという名前が、視界に入ってくる。けれど、作曲家ではなく、楽器製作者という存在は、やはり、意識が向き難い。というところに、興味深いアルバム...
かつてはharmonia mundiからリリースされていた、バーゼル音楽院の古楽、ピリオド部門、スコラ・カントルム・バジリエンシスによる学術的なシリーズ、GLOSSAに移り、新装なっての"GLOSSA Schola Cantorum Basiliensis"から、ピアノが生まれたフィレンツェの宮廷の音楽(1730年頃、クリストフォリのピアノによるメディチ家の宮廷における音楽)を再現するアルバム、"Piano e forte"(GLOSSA/GCD 922504)を聴く。のだけれど、学術的とはいえ、そこは音楽!エドアルド・トルビアネッリのピアノ(1726年製、クリストフォリのレプリカ)を中心に、ピリオド界で活躍する豪華な面々が、すばらしい演奏を繰り広げ... 何より、ピアノの黎明期の音楽の充実ぶりに驚かされ... そして、どこか物憂げなフィレンツェの宮廷の気分にも魅了される1枚。

続きを読む...


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。