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太鼓でおしゃべり。 [2008]

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パーカッショニスト。どうも取っつき難いイメージがある。いや、エヴェリン・グレニーとか、大活躍なわけだけれど... オーケストラにとって、パーカッションは欠かせないセクション。の一方で、パーカッショニストが前面に立つとなると、ウーン... というのが、正直なところかもしれない。当然ながら、響きの上ではストイックなイメージがあって(だって、太鼓だよ?!マリンバとかもあるけれど... )、パーカッションだけで音楽を成立させるとなると、かなり特殊なものに感じてしまう。けれど、キワモノ(っていうのは、失礼だよな... )は、好き!という、しょうもないスタンスから、ついつい手に取ってしまったパーカッションのアルバム。
何でも、ブーレーズも注目しているという若き逸材、パーカッショニスト、ヨハネス・フィッシャーのデビュー・アルバム。パーカッショニストにとって欠かせないレパートリーにして難曲、クセナキスのルボンを始め、"ゲンダイオンガク"の作曲家たちによる、叩くばかりでない?個性的で多彩な作品を集めた1枚、"Gravity"(OEHMS CLASSICS/OC 716)を聴く。

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現代音楽の文化人類学者、ペクの不思議な世界。 [2008]

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戦後「前衛」の時代を知らない世代から見つめる、いわゆる"ゲンダイオンガク"というのは、かなり浮世離れしていて、戸惑いすら覚えるのだけれど、そのひとつひとつを丁寧に見つめると、音楽の新しい可能性に貪欲だった頃の熱気というか、過去をまったく意に介さないアグレッシヴさに、何か痛快なものを感じ、戸惑いつつも、もの凄く新鮮に感じられる。で、今の現代音楽はどうだろう?やたら尖がって、体制に反発するばかりが能ではないとは思うのだけれど、21世紀、過去(それこそ、戦後「前衛」の時代とか... )を振り切って、新しい音楽を打ち立てよう!という、思い切りのようなものが見当たらない気がする。現代音楽は、新しい音楽を生み出すのに、もう少し目立っていいように思うのだけれど... 何というか、少し世間をザワつかせるような、挑戦がなされてもいいように感じるのだけれど... 冷めてしまったか?今、現代音楽の温度感が気になる...
とはいうものの、よくよく見つめれば、おもしろい作品はいろいろある。で、見つけた!今、最も気になるピアニスト、タローが弾く、ということで、その存在を知った、フランスの作曲家、ティエリー・ペク(って、遅過ぎなのか?)。アレクサンドル・タローのピアノで、コンチェルトをメインとした興味深い鍵盤楽器のための作品集(harmonia mundi/HMC 901974)を聴く。

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"秘儀"バースデー。 [2008]

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2008年は、オリヴィエ・メシアン(1908-92)の生誕100年のメモリアルでもある。そして、12月10日(明日)こそ、100歳のバースデー!そうか、そうなのか... と、こちらとしましては、そんなスタンスなのだけど... CDの方は、とにかく盛り上がっている。メジャー/マイナー、こぞって、どこのレーベルも、もの凄い全集やら、シリーズやら、ボックスをリリース。改めてメシアンという作曲家の人気に、驚かされる。そんなに、人気があるの?いや、人気はある... 間違いなく... 録音が多いからこそ、全集やら、シリーズやら、ボックスに成り得るわけで、改めてフランス近代音楽の巨人の存在感に恐れ入る。
そうした中、"クラシック"アイコン、ウィーン・フィルが、近現代のスペシャリスト、インゴ・メッツマッハーを指揮者に、『彼方の閃光』(KAIROS/0012742KAI)をリリース。それが、現代音楽専門レーベル、KAIROSから... というから、メモリアルとはいえ、驚かされる。いや、これぞメモリアルの醍醐味!ということで、そんな1枚を聴いてみる。

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ドレスデン・エクスペリメント。 [2008]

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着実に"クラシック"の階段を昇って、ドレスデンのピッグ・ポストに就いたファビオ・ルイジ。これまで聴いてきた、この偉才が紡ぎ出すただならない音楽と、「シュターツカペレ・ドレスデン」というブランドが生み出すサウンドには、期待せずにはいられない... そして、これまで、リヒャルト・シュトラウスのアルバムが、2タイトル、リリースされたわけだが、最新盤はブルックナーの9番の交響曲(SONY CLASSICAL/88697299642)ということで、どんな響きがするのだろうと、ワクワクして待ち構えていたのだが... ウーン。

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Französisch ! [2008]

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デセイがバッハのカンタータを歌う... と聞いて、少し驚く。もちろん、バロックは彼女の得意とする範疇ではあるけれど、彼女のイメージはストイックなバッハよりも、グラマラスなヘンデルのイメージで... バッハのカンタータには、煌めくようなコロラトゥーラも無いし... となると、どういう風に仕上げていくのか、大いに気になり、手に取る、ナタリー・デセイ(ソプラノ)の最新盤。盟友、エマニュエル・アイム率いるル・コンセール・ダストレと組んでの、バッハ、ソプラノのためのソロ・カンータ集(Virgin CLASSICS/519314 2)。

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夢見るような... 目が覚めるような... [2008]

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リストラされたはず...
DECCAのピリオド・ライン、L'OISEAU-LYREから、バルトリが歌う『ラ・ソナンブラ』の全曲盤(L'OISEAU-LYRE/478 1087)がリリースされるという話しを聞いて、びっくりした。このレーベル、完全復活?で、『ラ・ソナンブラ』といえば、デセイの歌う全曲盤(Virgin CLASSICS/395138 2)が、昨年、リリースされたばかり。オペラの全曲盤の新録音が極端に減っている21世紀、ベッリーニのオペラが立て続け(といっても、ちょうど1年、空いたわけだど... )に登場するとは、なかなか興味深い事態... 何より、久々の、バルトリが歌う全曲盤の登場!これまで、気鋭のピリオド・アンサンブルと組んで、一匹狼的に、とんがったアリア集をリリースし続けてきたバルトリが、満を持して挑む全曲盤だけに、楽しみでないわけがない。また、フローレスがその相手役というから、ベルカント・オペラの全曲盤としては、望みうる最高のタッグ!そこにきて、バルトリならば当然?ピリオド・オーケストラによるベッリーニとなるわけだ...

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「前衛」の対岸にて、ブリテン... [2008]

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ブリテンの音楽というのは、20世紀、革新的な近代音楽、先鋭的な現代音楽に取り囲まれながら、保守的な姿勢を貫いて、独特な境地に至ったわけだけれど、そうしたあたりを、今、改めて見つめ直すと、とても現代的で、クールな印象を受ける。場合によっては、クラシック離れした雰囲気すら見せ、思い掛けず、ライトなセンスで魅了して来る。のだけれど、オペラはどうだろう?もちろん、喜劇的な作品もあるのだけれど、代表的な作品は、どれもヘヴィー... このあたりに、ブリテンという作曲家の一筋縄には行かない性格(セクシュアル・マイノリティであること... 現代と違って、それが犯罪であったこと... そういう理不尽な緊張感の中で育まれる音楽性もあったはず... )を感じる。一味違う視点、見る者の心を抉るような鋭さは、音楽における革新性だけでは実現し得ない、より高い次元に立ってオペラを捉える力があってこそのもの。だからこそ、より文学的な表現を可能とし、それ以前のオペラにはない、生々しいドラマを生み出すのだろう。そんなブリテンのオペラを聴いてみようと思う。
軍艦という閉鎖的な空間を舞台に、男声のみで歌われる異色作... ダニエル・ハーディングの指揮、ロンドン交響楽団の演奏、ネイサン・ガン(バリトン)のタイトル・ロールを筆頭に、イアン・ボストリッジ(テノール)ら、充実のキャストを擁しての、メルヴィルの同名の小説を原作とする、ブリテンのオペラ『ビリー・バッド』のライヴ盤(Virgin CLASSICS/5 19039 2)を聴く。

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クラシック、ディヴァージョンズ、ブリテン... [2008]

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ピアノ、弦楽四重奏と弦楽オーケストラのための「若きアポロ」、ピアノ協奏曲、左手ピアノとオーケストラのためのディヴァージョンズ... ブリテンがピアノのために書いた協奏曲、ないし協奏的作品が、この3作品。けして、よく取り上げられる作品とは言い難いのだけれど、録音に関しては無くはない?ただ、どれもアルバムのカップリング曲的な位置付けなのか、地味。しかし、どの作品も魅力的なものばかりで... ブリテンらしく、モダニズムが尖がるようなことはなく、伝統を踏まえ、それを現代(ブリテンが生きた時代としての... )に、如何にして瑞々しく響かせるかがセンス良く追及されていて、素敵なのだけれど... メインで扱われることがないもどかしさ...
というところに、注目のリリース!イラン・ヴォルコフ率いる、BBCスコティッシュ交響楽団の演奏、イギリスの俊英、スティーヴン・オズボーンのピアノで、ブリテンによるピアノとオーケストラのための3作品をまとめたアルバム(hyperion/CDA 67625)を聴く。

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ブルックナー、プリズム、ヤングの場合、パーヴォの場合、 [2008]

シューマンブラームスを聴いて、ブルックナーを聴いてみる。
今、改めて、ドイツ・ロマン主義の系譜を追ってみると、普段、当たり前のように認識している「ロマン主義」というイメージが、もの凄く狭く感じられる。クラシックというジャンルにおいて、圧倒的な存在感を誇るドイツ・ロマン主義... その圧倒的なあたりに囚われて、どうも大きな視野を持ち得ていないのかも... そんなことをふと思う。典型的にロマンティックだけれど、ロマン主義の先にあるものが呼び起こされるようなシューマン。ロマン主義に古典主義をリヴァイヴァルさせたブラームス。ワン・パターンに陥ることなく、見事なほどの成長を見せ、驚くほどヴァラエティに富んでいるのがドイツ・ロマン主義の凄いところのように思う。そして、ブルックナー... それはロマン主義なのだろうか?いや、誰よりもロマンを感じさせるサウンドだけれど... この人の存在は、極めて正統的なドイツ・ロマン主義において、どこか逸脱するようであり、慣れないところも...
そんなブルックナーと改めて向き合う。シモーネ・ヤング率いるハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の、初稿にこだわったブルックナーのツィクルスから、4番、「ロマンティック」(OEHMS CLASSICS/OC 629)、パーヴォ・ヤルヴィ率いるhr交響楽団の、新たなブルックナーのツィクルス、第1弾、7番の交響曲(RCA RED SEAL/88697389972)を聴く。

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ブラームスの青春の記録... ピアノ四重奏曲... [2008]

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実は、ブラームスが苦手... 何と言うか、如何にもクラシックって感じで...
けど、ブラームスは、如何にもクラシックなのである。この人こそ、ミスター・クラシック!というのは... クラシックの核となる19世紀の作曲家で、ドイツ・ロマン主義の巨匠たちが出揃った後に満を持して登場。その姿勢はアカデミックで、常に古典を意識し、古典の継承者であることも自負しており、ロマン主義という19世紀を象徴するモードに染まり切ってしまうことなく、自らの音楽(古典とロマンの良いとこ取り!)を確立。一方で、フォークロワに関心を示し、国民楽派に先鞭を付け、その後の世代に大きな影響を与えた。つまり、ブラームスは、古い音楽(長い時間を経て至った18世紀の音楽... )と、新しい音楽(古典に対する革新として登場した若い潮流、ロマン主義... )の集大成であり、その先の音楽(19世紀後半をリードするローカリゼーション、国民楽派... )へと至る、結節点となる。まさに、ミスター・クラシック!よって、如何にもクラシックなのである。
そんなブラームスを、素直に聴いてみる。いや、素直に聴きたくなるアルバムに出会う。ヴァイオリンのルノー、チェロのゴーティエの、カピュソン兄弟を軸に、ジェラール・コセ(ヴィオラ)、ニコラス・アンジェリック(ピアノ)が加わっての、ブラームスのピアノ四重奏曲全曲集(Virgin CLASSICS/519310 2)。フランスの弦と、フランス仕込みピアノによる、新鮮なブラームス。

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