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"Love is Strange" [2008]

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七草粥... 正月、すっかり祝ってしまった胃を休める...
一度、食べてみたいと思うのだけれど、未だ食べたことがない。そして、今年も食べそびれました。残念。なので、「七草粥」とは如何なるものか?と、ちょっと調べてみたら、人日の節句の朝に食べられる行事食(例の如く、wikiにて... )とのこと。1月7日って、節句なんだ!?とか、ちょっと驚いてみる。しかし、正月の飲み過ぎ、食べ過ぎをいたわることまで行事にしてしまう日本文化の隙の無さというか、発想の転換というか、凄いなとつくづく思う。ところで、今年は、飲み過ぎず、食べ過ぎず正月を過ごせたことで、胃の方は至って快調!一方で、どうも気持ちの方がすっかり無気力状態でして、参ったァ。何だかんだで、テンション高い年末年始を乗り切ると、どっと虚脱感。で、何も手に着かない状態がもどかしく、そんなあたりに妙にストレスを感じたりして、空回り中。
そこで、音楽による七草粥の試み!当blog、昨秋あたりから、ちょっと有名どころを聴き過ぎたか?そういう疲労感もあったりで... 七草粥的なアルバムを聴いて、気持ちを整えようかなと... その最初の1枚、イギリスのルネサンス期の音楽を、リュート・コンソートで聴く、ヴァンサン・デュメストル率いる、ル・ポエム・アルモニークによるアルバム、"Love is Strange"(Alpha/Alpha 081)。

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フィレンツェ、熾烈な競争が生んだ風雅、 [2008]

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オペラは大好き。けれど、その始まりについては、今一、把握し切れない。
と、どこかでもどかしい思いをして来たのだけれど、近頃は、その始まりにもスポットが当てられて... 昨年、ル・ポエム・アルモニークがリリースした"FIRENZE 1616"(Alpha/ALPHA 120)や、フオコ・エ・チェネレによるガリアーノの『ダフネ』(ARION/ARN 68776)が、オペラ誕生の地、フィレンツェの、オペラ誕生の頃を垣間見せて、興味深く、とても印象的だった(『ダフネ』は、マントヴァの宮廷による委嘱... )。が、さらに、核心へと迫るアルバムが登場!それは、現存最古のオペラの一端を捉える貴重な資料!
バリトン歌手として活躍しながら、チェンバロもリュートも弾く、驚くべき逸材、ニコラ・アクテン率いる、若い才能が結集した古楽アンサンブル、スケルツィ・ムジカーリによる、カッチーニのオペラ『エウリディーチェ』(RICERCAR/RIC 269)を聴く。

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ドイツ音楽がローカルだった頃、愛しさと美しさ... [2008]

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クラシックといえば、ドイツ―オーストリアである。もちろん、それだけではないのだけれど、やっぱり核となるのはドイツ語圏... しかし、音楽史をつぶさに見つめると、ドイツ語圏は遅れてやって来た存在。ヨーロッパ中に影響を及ぼすようになるのは、19世紀になってから... それまでは、中世期のフランス、ルネサンス期のフランドル、バロック期のイタリアの隣りで、完全にローカルな位置付け。立て続けにやって来る東からの脅威、激烈な宗教戦争と、文化どころではなかったこともあって、なかなかメインストリームに躍り出ることが難しかった背景もあった。が、そうした中でも、ドイツ語圏の音楽は、静かに、じっくりと紡がれ、バロック期には、最新のイタリアの音楽を取り入れつつ、遅れを取り戻しながら、やがて大バッハ(1685-1750)の登場に至る。
というドイツ・バロックの歩みを、声楽作品から俯瞰する... ヨス・ファン・フェルトホーフェン率いる、オランダのピリオド・アンサンブル、ネザーランズ・バッハ・ソサエティの歌と演奏で、シュッツのモテット、ヨハン・クリストフ・バッハ、ベーム、大バッハのカンタータを取り上げる興味深い1枚、"Beloved & Beautiful"(CHANNEL CLASSICS/CCS SA 27308)を聴く。

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南アメリカの自由、北アメリカの洗練、 [2008]

ヨーロッパの非常にコアな近代音楽を聴いた前回から一転、海を渡り、南北アメリカ大陸における軽やかな近代音楽を聴いてみようかなと... で、思うのだけれど、何だろう?海を渡ると、憑き物が落ちたように軽くなるモダニズム!もちろん、一概に言えたものではないけれど、ヨーロッパのモダニズムには生みの苦しみが籠められており、改めて見つめると、そのインパクトは独特なのかもしれない。一方のアメリカは、「ナチュラル・ボーン・モダニスト」とでも言おうか、モダニズムを特別視していない?素っ気無いくらいに当たり前なことであって、モダニズムに対して、とてもドライに感じられる... いや、このドライな感覚こそ、モダニズムの真髄のように感じる。ヨーロッパからアメリカへ、モダニズムを追うことは、その成長、深化を追うことにもなる気がする。
ということで、アメリカにおけるモダニズム、諸相... まずは南から、注目の新鋭、ウィレム・ラチュウミアが弾く、南米のピアノ作品集、"impressões"(RCA RED SEAL/88697 373402)。そして、北へ、注目のマエストラ、マリン・オルソップと、昨シーズンまで彼女が率いていたボーンマス交響楽団の演奏による、コープランドの交響曲集(NAXOS/8.559359)を聴く。

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ノスタルジーの向こう側に、「近代音楽」。 [2008]

"クラシック"というカテゴリーから、ニューエイジ的なセンスを孕む、現代音楽、あるいは古楽のレパートリーで、異彩を放ってきたECM NEW SERIES... その一方で、硬派な「近代音楽」のレパートリーでも、実に興味深いアルバムを世に送り出している。それがまた、ど真ん中ではない、渋いチョイスが、憎い... のだけれど、2008年、そんなECMからの気になる「近代音楽」のアルバムを2つ。
ドイツ、孤高の作曲家、ベルント・アロイス・ツィンマーマンの、ヴァイオリン協奏曲を中心とした作品集(ECM NEW SERIES/476 6885)と、スイスの作曲家、フランク・マルタンによる、ヴァイオリンが活躍するオーケストラ作品集(ECM NEW SERIES/173 3930)を聴く。

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21世紀、ダニエル劇。 [2008]

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明日は大晦日、2008年も、間もなく終わります。そして、今年の締め括りです。
で、振り返ると、もう何が何だか... ダムラウのブラブーラに始まって、中世から、現代まで、モダンも、ピリオドも、交響曲に、パーカッションのソロにと、節操無く、とにかく、突っ走って来たかなと... いや、改めてクラシックの広がりを思い知らされて、そんな2008年の最後に何を聴こうかと迷う。やっぱり、第九?は、ちょっと能が無いので、中世ヨーロッパ、クリスマスから年明けての公現祭に掛けて行われたという、愚者の祭り(お坊さんたちの忘年会の無礼講?みたいな、下級僧侶の馬鹿騒ぎ... )で上演されたという典礼劇。
イギリスの古楽アンサンブル、デュファイ・コレクティヴによる歌と演奏で、フランス、ボーヴェ大聖堂で生まれたという典礼劇、旧約聖書のダニエル書から、預言者ダニエルの数奇な運命を描く、『ダニエル劇』(harmonia mundi/HMU 907479)を聴く。

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クラシックのイメージをすり抜けて、フランス... [2008]

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はぁ~ 今年も、もうすぐ、終わってしまいますね。気忙しくも、どこかセンチメンタルにもなって... そんな、師走、フランス音楽をいろいろ巡ってみたのだけれど... メシアンに、ペクといった、近現代の興味深い世界に、「清しこの夜」が聴こえて来るオネゲルのクリスマス・カンタータ、バロックからロココへとうつろう頃のロワイエ、古典主義からロマン主義へとうつろう頃のボエリ、そしてドビュッシーと聴いて来て、フランス音楽のただならぬ広がりを思い知らされつつ、やっぱり感じ取ることのできるフランスらしさに惹き込まれ... いや、その雰囲気あるサウンドの魔法たるや!クラシックというジャンルは、やっぱりアカデミックで、型枠というものからはみ出すことが難しい部分(これって、ドイツ由来かなと... )があるわけだけれど、そういう型枠をあまり意識させないのがフランス音楽なのかも... クラシックに在って、ある種の自由さが、フランスの音楽を特別なものにしている気がする。
そんなフランスらしさがキラキラと輝き、より香り出す音楽を聴いてみようかなと... ジャン・ギアン・ケラスのチェロに、アレクサンドル・タローのピアノという新鮮なコンビで、ドビュッシーとプーランクのチェロ・ソナタ(harmonia mundi/HMC 902012)を聴く。

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ドビュッシー... セーヌではなく、ローヌの清流で響かせて... [2008]

ジュン・メルクル... お母さんが日本人...
そんなこんなもあってか、妙に親しみを感じてしまう?人懐っこい雰囲気もある?いや、何より、その魅力的な音楽作りがあって... N響定期を足掛かりに、日本でのスター指揮者のポジションを獲得したジュン・メルクル。彼が音楽監督を務めるリヨン国立管を率いての、昨年の来日は、我らがマエストロの凱旋公演のようでもあって、印象深かった。そして、その予習用CD?として、NAXOSからリリースされた来日記念盤(NAXOS/8.570775)を再編集して、さらに新たな録音も加えて、2つのドビュッシーのアルバムがリリースされた。またこれが、NAXOSでの新たなドビュッシーのシリーズになるようで、今後が、大いに楽しみに!
ということで、ジュン・メルクル率いる、リヨン国立管弦楽団による、新たなドビュッシーのシリーズ、代表作、『海』をメインとした、第1集(NAXOS/8.570759)と、『ペレアスとメリザンド』、「月の光」など、ドビュッシーの名作を、様々な作曲家がオーケストレーションを施した版で聴く、第2集(NAXOS/8.570993)の2タイトル。新たなシリーズへの期待を込めて、聴いてみる。

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フランス、鍵盤楽器のための音楽、カプリース... [2008]

フランスにおける鍵盤楽器のための音楽の系譜というのは、クラシックの中でも際立って瑞々しい存在感を放っている。古くは、クープラン(1668-1733)、ラモー(1683-1764)というバロックの大家がいて、楽器がクラヴサンからピアノへと切り替わると、フォーレ(1845-1924)、ドビュッシー(1862-1918)、ラヴェル(1875-1937)らが、すばらしい作品を残して... が、ラモーとフォーレの間はどうなったのだろう?クラシックの定番レパートリーに満足してしまうと、見えないものも多くあるのかもしれない。そこで、定番レパートリーから一歩踏み込み、ラモーとフォーレの間を覗いてみる。すると、そこには、思い掛けなく息衝く音楽があった!
クリストフ・ルセのクラヴサンで、ラモーの次の世代、ロワイエのクラヴサンのための小品集、第1巻(ambroisie/AM 151)と、クリスティーネ・ショルンスハイムのピアノで、ベルリオーズの前の世代、ボエリのソナタとカプリース(PHOENIX Edition/PE 127)を聴く。

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クリスマスまで、あと... [2008]

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クリスマスまで、あと一週間... ということで、オネゲルのクリスマス・カンタータ...
けしてメジャーとは言えないし、バッハのクリスマス・オラトリオに匹敵する作品、なんても言えないけれど、実は、素敵な曲で... 後半部、クリスマス・キャロル("きよしこの夜"はもちろん... )がいろいろコラージュされて、そんな音楽を聴いてしまうと、否が応でも気分はクリスマスになってしまう。いや、別に、そういう気分になりたいわけでもないのだけれど、何か、こう、クリスマスのハッピー感が籠められた音楽には、ひねくれ気分のモノトーンな日常にも、彩色をほどこしてくれるような...
が、その録音となると、ありそうであまりない。こんなにもキャッチーで、これ以上ないほど「クリスマス」満載なのに... と思っていたところに、とうとう、新しい録音が登場した。名古屋フィルの常任指揮者に就任して、チャレンジングなプログラムを次々に繰り出し、俄然、注目のマエストロ、ティエリー・フィッシャーと、彼が首席指揮者を務める、BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団による、オネゲルの作品集(hyperion/CDA 67688)。

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