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ロマン主義がバッハと出会う、メンデルスゾーン、『パウルス』。 [before 2005]

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17世紀半ば、対抗宗教改革の波に乗って、ローマで誕生したオラトリオ... 瞬く間に多くの作品が作曲されるようになり、18世紀に入ると、オペラと伍して華麗に大変身を遂げる。のだけれど、オラトリオが、オラトリオらしく大成するのは、フランス革命後、教会の権威が大いに揺らいだ後、19世紀だったように思う。下手なことは言えないけれど、オラトリオが題材とする聖書の世界は、実はロマンティック?19世紀のロマン主義と、相性が良いような気がして... それと、ナポレオン戦争(1803-15)がヨーロッパ中を覆い、フランス流の世俗主義が各地に影響を及ぼすと、作曲家たちは、それまでの教会における実用音楽とは異なる、芸術音楽としてのオラトリオを生み出す。ロマン主義との共鳴と、教会から解き放たれたことで、オラトリオは、より普遍的な宗教性を放ったか... いや、ある意味、真っ直ぐな時代、19世紀だったからこそ、オラトリオは、より真摯に表現され、オラトリオらしく大成したように感じる。アイブラーシュポーアのオラトリオを聴いて来て、そんなことを考えた。
ということで、フィリップ・ヘレヴェッヘ率いるシャンゼリゼ管弦楽団の演奏、メラニー・ディーナー(ソプラノ)、アネッテ・マルケルト(アルト)、ジェイムズ・テイラー(テノール)、マティアス・ゲルネ(バス)のソロ、コレギウム・ヴォカーレ、ラ・シャペル・ロワイアルの合唱で、メンデルスゾーンのオラトリオ『パウルス』(harmonia mundi FRANCE/HMC 901584)を聴く。

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