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ベルリンを離れて、ラトル、ニュートラルな『ペレアスとメリザンド』。 [2017]

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うわーっ、12月20日です!2018年が、本当にもう凄く終わってしまう!大掃除が完了していない、年賀状が書き終わっていない、で、他にもやること山積みだよ... という事態になりました。通常運転です。はぁ~ ため息... は、ともかく、2018年はドビュッシー・イヤー!没後100年のメモリアル... 当blogでは、未完のオペラ、『ロドリーグとシメーヌ』『アッシャー家の崩壊』と『鐘楼の悪魔』、それから、エラールのピアノで聴く前奏曲集に、ドビュッシーに始まるフランス印象主義の系譜を追う弦楽四重奏曲集と、マニアックかつ魅惑的な4タイトルを取り上げました。が、ドビッュシーの代表作を取り上げていないのが心残り... ということで、これぞ、ドビュッシー!という代表作を取り上げようと思うのだけれど、これぞ、ドビュッシーと言える作品は何だろう?『海』?「月の光」?牧神の午後への前奏曲?どれもドビュッシーらしさを象徴する代表作なのだけれど、当blog的には、『ペレアスとメリザンド』を選んでみる。それは、ドビュッシーの芸術の全てをひとつにまとめたような音楽...
サイモン・ラトル率いるロンドン交響楽団の演奏、マグダレーナ・コジェナー(メッゾ・ソプラノ)、クリスティアン・ゲルハーへル(バリトン)、ジェラルド・フィンリー(バス)ら、手堅く実力派を揃えての、ドビッュシーのオペラ『ペレアスとメリザンド』(LSO live/LSO 0790)を聴く。

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テレマンのファンタジア。 [2017]

秋バテ?2018年バテ?なんて言っていたら、そもそも21世紀にバテてないか?と思えて来た。高度情報化社会の、あらゆるものがつながるプレッシャー... 便利になった一方で、そこはかとなしに我々を縛り上げているものがあるような... なんて言い出したら、20世紀後半、高度産業化社会の即物的なスピード感にも、すでに追い立てられていたなと... 失われた云十年というもの自体が「バテ」だったような気がして来る。そういう「バテ」の歴史を振り返れば、「癒し系」クラシックへの注目や、ヒーリング・ミューシックの登場が、もの凄く腑に落ちる。20世紀末に始まる「癒し系」としてのクラシックの再ブレイク、その前にはグレゴリオ聖歌ブームがあったことを忘れるわけには行かない。その準備を果たしたのが、1970年代に遡るニュー・エイジ、アンビエント・ミュージック... 音楽に癒しを求めた道程には、近代社会、現代社会が歪んで行く様が反映されていたのだろう。そして、癒しを過去の音楽、古典=クラシックに求めるに至ったわけだ。「癒し系」クラシックは、実は、実に、意義深い。
ということで、10月は、「癒し系」で癒される... マジカルな中世から、バロック、テレマンのファンタジアへ!フランソワ・ラザレヴィチのフルートで、無伴奏フルートのための12のファンタジア(Alpha/Alpha 267)と、ルイジ・デ・フィリッピのヴァイオリンで、無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア(CHALLENGE CLASSICS/CC 72679)の2タイトルを聴く。

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ノイコム、ルイ16世を追悼するレクイエム。 [2017]

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さて、ワールド・カップが佳境です。明日は、フランスとクロアチアの決勝!でもって、本日は、フランス革命記念日、パリ祭!となると、フランスは、いつも以上にお祭り騒ぎなんだろうなァ。なんてことを思い浮かべつつ、革命後のフランスの歩みをおさらい... 現在のフランス共和国は、1789年のフランス革命に始まる。そんな風に思いがちなのだけれど、世界史を勉強すると、そうでないことが露わになります。第1共和政が成立するのは、フランス革命の3年後、1792年。翌年、王様をギロチンに掛けてみれば、絶対王政もドン引きするほどの独裁、恐怖政治に陥って、けど、そんなものは長続きせず、王制よりも威圧的な帝政となって、ヨーロッパ全体を戦争の渦に引き摺りこむ!けど、そんな無謀なことは長続きせず、王家が帰って来ての元の木阿弥。で、再び革命。株屋(つまりブルジョワたちに... )の王が乗っ取って、株価が下がれば、今度こそ共和政!のはずが、大統領は皇帝に変身、戦争やって、捕虜になって、パリは大混乱!の果てに、選挙やったら王党派圧勝!王政復古のはずが、本家と分家が喧嘩して、仕方なしに共和政という、トホホ... その後も、ナチスにあっさりと占領され、戦後、新たな共和政が成立するも、軍部に脅され、1958年、大統領の権限が強化された第5共和政が誕生し今に至る。フランスの長い歴史を振り返った時、フランス革命というのは、何だか混乱の種を蒔いただけのようにも思えて来る。もちろん、人権、平等、そして三権分立など、得られた高い理念も多いのだけれど... 革命後のフランスをつぶさに見つめれば、フランス革命記念日を祝うのが少し憚れる?ということで、本日、あえて、ルイ16世を追悼。
ジャン・クロード・マルゴワール率いる、ラ・グラン・エキュリ・エ・ラ・シャンブル・デュ・ロワの演奏、クレメンス・ティルカン(ソプラノ)、ヤスミナ・ファーヴル(メッゾ・ソプラノ)、ロバート・ゲッチェル(テノール)、アラン・ビュエ(バス)、ナミュール室内合唱団の歌で、1815年、ウィーンでのルイ16世追悼のミサのために書かれた、ノイコムのレクイエム(Alpha/Alpha 966)を聴く。

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没後500年、イザークから見つめる、ルネサンスのパノラマ... [2017]

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2017年にメモリアルを迎えた作曲家たちを、ざっとおさらい。
まず、何と言ってもモンテヴェルディの生誕450年!音楽史上最大の大変革を、見事に乗り切った巨匠の柔軟さに、今、改めて驚かされる。一方で、時代そのもののダイナミズムさにも驚かされた。というより、慄いた... ポリフォニーからモノディへ、音楽の在り方が根底から覆される時代というのは、作曲家たちにとって、恐ろしく過酷だったはず... それから、テレマンの没後250年!テレマンを改めて見つめて驚かされるのは、そのご長寿っぷり!で、その長い人生を追えば、バロックから古典主義へのうつろいが浮かび上がり... いや、そのスピード感にも驚かされた。しかし、テレマンは、そのスピード感に嬉々として乗ってしまうから、タダモノではない!という2人を大フィーチャーした今年だったのだけれど、他にも、生誕200年を迎えた、北欧音楽の端緒とも言える存在、デンマークの作曲家、ゲーゼ、生誕150年を迎えた、アメリカ発の作曲家としてヨーロッパで最初に成功した女性、ビーチなど、メモリアルなればこそ注目してみて、とても新鮮だったなと... いや、メモリアルに限らず、注目されるべき逸材!普段、あまり注目されないのが、実に惜しいなと、つくづく感じる。
そして、もうひとり、そんな作曲家に注目... 今年、没後500年のメモリアルを迎えた、イザーク。ルネサンス・ポリフォニー全盛期に、一味違うテイストを聴かせる?からか、大家たち間で埋もれ気味?ということで、ジョルディ・サヴァール率いるエスペリオンXXIの演奏、ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャの歌で、イザークの作品集(ALIA VOX/AVSA 9922)を聴く。

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ハノーファーからやって来たエージェント、ヘンデル、水上のミッション。 [2017]

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8月、夏休みということもあって、こどもたちの姿をあちこちで目にする。だからだろうか、何となく街の表情も、いつもより楽しげに映るような... そして、夕闇が迫る頃、どこからともなく太鼓の音が聴こえて来て、浴衣姿の人を見掛ければ、ああ、盆踊りがあるんだなと... 遠くで、ドォンっ!と音が響けば、夜空に花火をつい探してしまう... こういう夏の楽しみの気配に、何だかワクワクさせられる。改めて、見渡せば、夏には、いつもとは違う、非日常が、そこかしこに仕掛けられているようで、おもしろい。そんな非日常に出くわすと、異界に迷い込んだようで、ちょっと眩惑される。さて、音楽であります。盆踊りに、花火と、夏は、やっぱり祭りかなと... ならば、祝祭の音楽に注目してみよう!ということで、今からちょうど300年前の夏へと遡ってみることに...
1717年、ロンドン、テムズ川でのページェント!アルフレード・ベルナルディーニが率いる、ピリオド・オーケストラ、ゼフィロの演奏で、今年、初演、300年を迎えるバロックの定番、ヘンデルの『水上の音楽』(ARCANA/A 432)。改めて、この人気作を見つめる。

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生誕150年、エイミー・ビーチ、堂々たるロマン主義、ピアノ協奏曲。 [2017]

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音楽、musicの語源は、ギリシア神話の文芸(音楽を含む... )を司る女神、musa(英語で、ミューズ... )に因む。古代、音楽は、実に女性に因るものだったか?で、その後、どうだろう... 音楽史を振り返れば、女性の存在は希薄。長い間、教会で女性が歌うことは忌避されていたし、バロック期のオペラでは、女性が舞台に立つことが禁じられていたこともあった。が、音楽史を丁寧に見つめると、興味深い女性たちの存在がちらほら浮かび上がって来る。中世のマルチ・クリエイター、修道女で、神秘家で、作曲家のヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)... ルネサンス期のフェッラーラの宮廷で活動し、ジェズアルドらに大いに刺激を与えた女声ヴォーカル・アンサンブル、コンチェルト・デッレ・ドンネ... 17世紀、ヴェネツィアで活躍したシンガー・ソングライター、バルバラ・ストロッツィ(1619-77)... 同じくヴェネツィアで人気を博した、孤児院付属音楽学校の女子オーケストラの数々... ヴェルサイユを彩ったマエストラ、エリザベト・ジャケ・ド・ラ・ゲール(1665-1729)... そして、お馴染み、ピアノのヴィルトゥオーザ、クララ・シューマン(1819-96)... でもって、今回、取り上げるのが、アメリカの女性作曲家の草分け、エイミー・ビーチ(1867-1944)。今年、生誕150年のメモリアルを迎える。
ということで、hyperionの"The Romantic Piano Concerto"のシリーズから、ダニー・ドライヴァーのピアノ、レベッカ・ミラーの指揮、BBCスコティッシュ交響楽団の演奏で、エイミー・ビーチのピアノ協奏曲に、イギリスの作曲家、ドロシー・ハウエル、フランスの作曲家、セシル・シャミナードの作品も取り上げる女流ピアノ協奏曲集(hyperion/CDA 68130)を聴く。

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