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アラスカのアダムズ、砂漠へ、BECOME DESERT... [2019]

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我々にとっての暑さの問題は、やっぱり湿度だと思う。目には見えない空気中に漂う微細な"水"が、夏の暑い日差しに熱せられて、じっとりと纏わり付いて来る日本の夏... サウナの中にいるようだ、とはよく言ったものだ。けれど、実際は、人間が、目に見えない蒸籠に入れられて、蒸し上げられているようなもの。21世紀、温暖化本格化で、ますます蒸し鍋の温度は上がる一方... だから、つい夢想してしまう。湿度が極めて低い砂漠って、どんな感じなのだろう?もちろん、けして快適な場所ではない。何しろ、草木も生えない乾燥し切った場所... そうした中に無防備に佇んでいれば、身体の水分はどんどん失われてしまうのだろう。また、湿度の低さによって、昼夜の寒暖差は激しくなり、暑いばかりでなく、寒くもなるのが砂漠の特徴。何とも極端な世界である。それでも、さっぱりとした空気を味わってみたい欲求に駆られてしまう今日この頃... そこで、音楽で砂漠になる!
えーっと、これって、まだ日本ではリリースされていない?で、ナクソス・ミュージック・ライブラリーで見つけてしまいました。ルドヴィク・モルロー率いる、シアトル交響楽団、ジョン・ルーサー・アダムズのビカム・デザート(cantaloupe/CA 21148)を聴く。

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ベルリオーズ、イタリアのハロルド、私小説としての交響曲。 [2019]

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暑いですね。もうすぐ人体自然発火が報告されそうなくらい... だからでしょうか?近頃、あっちでもこっちでも炎上していて... というより、もはや炎上上等!対馬海峡のあちら側など、戦中の日本かと思うような国策民族主義で焚きつけて、本当に21世紀?と耳目を疑い... 名古屋城のお膝元では、「表現の自由」が、今や炎上主義を手段とするチャラさ... いや、そればかりでなく、アメリカで、ペルシャ湾で、世界各地で、次から次へと、これは花火大会なのかな?というくらいに炎が上がる。てか、炎上で、問題は解決する?世の中は前進する?冷静に考えれば解ることのはずが、そんなことはお構い無し、メディアはせっせとガソリンを注ぐことに余念無し... いや、いろいろな意味で酷暑です。そして、世界中で人々は熱中症です。もう、ぐったり... ではありますが、あるクラシックにおける炎上に注目。今年、没後150年を迎えるベルリオーズ。ローマ賞を受賞して、晴れて婚約!意気揚々とローマ留学へと向かったところに、婚約者の家から破談の手紙が届いて、炎上!
そんな記憶が籠められた作品?フランソワ・グザヴィエ・ロト率いる、レ・シエクルの演奏、タベア・ツィンマーマンのヴィオラで、ベルリオーズ、ヴィオラの独奏付きという異色作、交響曲「イタリアのハロルド」(harmonia mundi/HMM 902634)を聴く。

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チャイコフスキー、4番、激情の果てのドラマとしての交響曲。 [2019]

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先日、『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』(ドニー・アイカー著)という本を読む。表紙に躍る「死に山」の文字のインパクトが、怪談の季節にぴったり?で、ホラー映画(『ディアトロフ・インシデント』は、後日談として描かれるのだけれど... )にもなりました、20世紀、ソヴィエトにおける都市伝説(?)、冬のロシア、ウラル山脈、ディアトロフ峠で起こった、大学生トレッカーたちの謎の死を追うルポ... ちなみに、信じるか信じないかは、あなた次第です!的な結論(つまりホラー的な... )には至らないのだけれど、厳寒のシベリアの恐るべき姿を最後に見せつけられ、その自然の脅威を前に、なすすべなく命を落してしまう学生たちの姿に、切なくなってしまった。一方で、ロシアの、ウラルの、人知を越えた底知れなさに、奇妙な新鮮さを覚えてしまう。いや、ロシアの音楽を俯瞰した時、感じる、西欧の音楽には無いただならなさには、こうした背景もあるのかもしれない。また、そうした中で育まれる表現もあるのだろう... ということで、ウラル・フィルを率いブレイクした指揮者、リスに注目(って、こじつけ!なのだけれど、リスの音楽性には"ウラル"があるような気がして... )。
というドミトリー・リスが、ウラルから飛び出して、新たに率いるオーケストラ、南ネーデルラント・フィルハーモニーの演奏で、ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』、前奏曲と愛の死と、チャイコフスキーの4番の交響曲(FUGA LIBERA/FUG 754)を聴く。

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シベリウス、1番、未純化な状態が生む情念の交響曲。 [2019]

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この間、『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(花田菜々子著)という本を読む。「出会い系」という響きが、なかなかスパイシーなのだけれど、そういうスパイシーさとは裏腹に、斜陽産業、"本"業界で、苦闘し、疲弊して行く、ヴィレヴァン店長、菜々子さんが、出会い系サイトで、70人と実際に会って、その人に合いそうな本をすすめまくって、再び"本"への愛を再確認して行くという、思いの外、実道な物語(いや、実録モノ... )。いや、"本"の話しのようで、実は、現代社会に横たわる断絶を、勇気を持って乗り越えて、人と人とのつながりを再構築していくことこそがテーマなのかも... でもって、菜々子さんの人とのつながりが再構築されて、再び、"本"の存在は輝き出し、何か未来に明るさが見えて来るのだよね。そして、いろいろ考えさせられました。これが、"本"ではなく、"クラシック"だったら... 何ができるだろう?
とりあえずは、目の前の事をやる!ということで、前回に続き、若きマエストロを取り上げます。フィンランドの俊英、サントゥ・マティアス・ロウヴァリ(b.1985)率いる、イェーテボリ交響楽団の演奏で、シベリウスの1番の交響曲(Alpha/Alpha 440)を聴く。

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アメリカ、帰って来たアンファン・テリヴル、アンタイル。 [2019]

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7月4日は、アメリカ独立記念日。ということで、当blogでは、アメリカの音楽を聴く日、みたいな流れができつつあるような... 昨年は、バーンスタインのミサを聴きました。一昨年は、バーンスタインのホワイトハウス・カンタータを聴きました。というのも、やっぱり、あの御方(白いお家でつぶやかずにいられない、アッメリカン・ファーストでお馴染み... )と向き合わざるを得なくなって、良くも悪くも、改めて「アメリカ」という存在を見つめ直したくなったからかも... いや、豪放磊落、シンプルなようで、けして一筋縄に行かないのがアメリカ(まさにトランプ現象がそれを象徴... )。音楽においては、長らく極めて素朴な状態(アメリカにおける「古楽」の時代... )が続いた後、20世紀に入っての急展開!アメリカの音楽は、ヨーロッパにある歴史の重石が無い分、間違いなく自由度に長けており、その捉われない姿勢(あの閣下とも通じるのかも... )は、度々、ヨーロッパを驚かせる急展開を生む原動力に... そして、ヨーロッパを驚かせた作曲家のひとり、アンタイルに注目してみようと思う。
1924年、『バレエ・メカニーク』でパリっ子たちを騒然とさせた後、アメリカに帰っての交響曲... ヨン・ストゥールゴールズとBBCフィルハーモニックによるアンタイルのシリーズ、第2弾、3番の交響曲、「アメリカン」(CHANDOS/CHAN 10982)を聴く。

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