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ドイツ的な手堅さの上に、カラフルなフランス!シャブリエ・スタイル... [before 2005]

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えーっと、ちょっと報告というか、何というか... ほとんど更新のお知らせでしかなかった、音のタイル張り舗道。つぶやき版、でしたが、春分の日あたりから、突如、つぶやき始めています。春だからか?いや、ここで書き足りなかったことが、積もり積もって、つぶやきとなって、ドバっと溢れてしまったような... でもって、今頃になって、ようやく、つぶやくということが、どういうことか、解って来たような... というあたりはさて置き、書き足りない=蛇足であることがほとんどでして、とんだ軽口だったりするのですが、よろしかったら、twitterの方も...
さて、桜が咲き始めました。が、冬が戻る!一度、暖かな春の陽気を味わってしまうと、寒の戻りに、どうもテンションは下り坂傾向(おまけに、風邪気味... )。なので、ここはひとつ、楽しく弾けようかなと。ジョン・エリオット・ガーディナーの指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、シャブリエの管弦楽作品集(Deutsche Grammophon/447 751-2)を聴く。

ここまで、いろいろフランス音楽を聴いて来て、触れる、シャブリエ(1841-94)の音楽というのが、実に興味深い!それは、思いの外、ドイツ的?同世代のフランスの作曲家たちにはない骨太感がインパクトを生む... そんなシャブリエを取り巻いていた時代とはどんな時代だったのか?オーヴェルニュ地方、アンベールで弁護士の家に生まれたシャブリエは、やがてパリに出て、法律を学び、内務省の官僚として働くことに... その頃、パリに登場したのが、ワーグナー。1862年、パリのオペラ座にて、鳴り物入り(皇帝、ナポレオン3世の勅命による!)で、『タンホイザー』が上演(されるも、複雑な内政、外交の綱引きに遭い、大失敗!)されると、ワグネリズムは瞬く間にフランスの芸術界に広がり、新しいうねりを生み出してゆく。が、やがて普仏戦争が勃発(1870)、皇帝が捕虜となり、パリがプロイセンに包囲される事態となると、ナショナリズムが一気に盛り上がり、音楽界では、フランス音楽に独自性を取り戻そうと、国民音楽協会が設立(1871)される。そうした中、アマチュア作曲家として活躍を始めたシャブリエ、やがてワーグナーの洗礼も受け、ワグネリアンとなるものの、ドイツとフランスとの間を巧みに行き来して、同世代の他のフランスの作曲家とは一味違う、独自の音楽性を築いて行くことに...
そんなシャブリエの音楽は、とにかく、しっかりとしている。ドイツ音楽と比べると、フランス音楽は構築性に弱い印象を受けるところもあるのだけれど、シャブリエにはまったくそういったところがない。何か胆が据わったサウンドを展開して、フランス音楽にして際立って聴き応えがある。一方で、熱烈なワグネリアンであったはずが、その音楽にはワーグナーをより色濃く感じることは少ない。もちろん、影響は受けている。ここで聴く、ホルンとオーケストラのためのラルゲット(track.7)や、オペラ『グヴァンドリーヌ』序曲(track.8)には、分かり易いワグネリズムが見受けられる。が、シャブリエの音楽には、ワーグナーに至る前のドイツ・ロマン主義の手堅さが受け継がれているようで、興味深い(アンチ・ワーグナー、ドビュッシーによる印象主義の音楽の方が、よっぽどワーグナーのイディオムを受け継いでいる... )。もちろん、フランスらしいキャッチーさ、弾けるリズムにも彩られ、代表作、スペイン狂詩曲(track.6)や、ポーランドの祭り(track.11)には、掛け値無しにワクワクさせられる楽しさがある。かと思えば、ハバネラ(track.5)の、粋で雰囲気たっぷりなあたりは、まさにフランス!だからおもしろいシャブリエ... ドイツ的な手堅さの上に、カラフルなフランスが踊る屈託の無さ!アマチュアからスタートしたからこそなのだろうか?ドイツ、フランスに囚われない柔軟性が、より魅力的な音楽を生み出している。
で、このドイツとフランスの絶妙なカクテル、シャブリエを聴かせてくれるのが、ピリオドのマエストロ、ガーディナーと、ドイツ語圏切っての名門、ウィーン・フィル。で、この組合せが、さらにシャブリエの音楽に化学変化を起こす!ガーディナーならではのすっきりとしつつ息衝く音楽に、ウィーン・フィルのドイツ的な手堅さ、そして、オーストリア流の流麗さが艶やかなサウンドを紡ぎ出していて、素敵!特に印象的なのが、最後、オペラ『いやいやながらの王様』の2幕の舞踏会シーン、ポーランドの祭り(track.11)。ウィーンこそワルツの本場だろうけれど、シャブリエによるフランスのワルツがまたゴージャスで、それをこなれた感じに、魅惑的に3拍子を刻むウィーン・フィル!この花やぎは、まるでニューイヤー・コンサート... ウィーン・フィルとシャブリエには、不思議な親和性を感じてしまう。しかし、ガーディナーという存在が、ウィーン・フィルを巧みに引き締めて生まれるパリっとしたサウンドの小気味の良さ!それはまるで春の花畑でスキップする感覚!って、スキップしちゃう?いや、そうしたくなってしまうくらいの陽気でハッピーなシャブリエの音楽!

CHABRIER: ESPAÑA ・ SUITE PASTORALE ・ HABANERA ・ MARCHE FRANÇAISE, ETC.
WIENER PHILHARMONIKER/JOHN ELIOT GARDINER


シャブリエ : 田園組曲
シャブリエ : ハバネラ
シャブリエ : オーケストラのための狂詩曲 「スペイン」
シャブリエ : ラルケット 〔ホルンとオーケストラのための〕 *
シャブリエ : オペラ 『グヴァンドリーヌ』 序曲
シャブリエ : 田園前奏曲
シャブリエ : 楽しい行進曲
シャブリエ : ポーランドの祭り 〔オペラ 『いやいやながらの王様』 第2幕 から〕

ロナルド・ヤネツィク(ホルン) *
ジョン・エリオット・ガーディナー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

Deutsche Grammophon/447 751-2




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