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コーカサス・スピリット炸裂で、剣の舞から酋長の行列! [before 2005]

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ソチ・オリンピックまで、残すところ11日!
何かと物議を醸しているソチだけれど、そんなこんなでいろいろとニュースを目にしているせいか、自身の中の関心は、知らず知らずに盛り上がって来てしまっている。これって、ロシアのペースに乗せられてしまっているということ?いや、とにかく楽しみ!でもって、また様々なドラマがあるんだろうなァ。今からワクワクさせられる。そこで、一足先に、ロシア音楽を聴いて盛り上がろうかなと... ここからしばらくロシア音楽尽くしで行こうかなと思い立ち... まずは、ソチのあるコーカサスを題材とした音楽を聴いてみようかなと。
で、ロリス・チェクナヴォリアンと、彼が率いたアルメニア・フィルハーモニー管弦楽団による、ハチャトゥリアンの『ガイーヌ』、『仮面舞踏会』、『スパルタクス』の組曲、イッポリトフ・イヴァノフの組曲「コーカサスの風景」を収録した名盤(ASV/CDDCA 773)を、久々に聴く。

ようこそ、紛争の地、コーカサス!そんなオリンピックであることを思い出させるようなテロが、年末、立て続けに起こり、大丈夫なのかと心配になったのだけれど... コーカサスのゴタゴタは今に始まったことではない。IOCは、そういうところで平和の祭典を開くことを選んだわけだ。ソチから車でほんの少し走ると、すぐにキナ臭いアブハジアがある。ロシアと数カ国だけが独立を承認している、イスラム教徒が多数を占める地域。日本を始め、世界中の多くの国々は、未だグルジア領だとしている。そもそもロシアとグルジアは戦争して間もない。そして、グルジア領、南オセチアは、その独立を支持するとして、未だロシアが占領下に置いている。一方で、ロシアは、自国領内の北オセチアの東、イスラム教徒が多数を占めるチェチェンで独立闘争を抱えているというパラドックス。裏を返せば、それだけ多様なコーカサスであって... 音楽的にも、魅力的な素材が多い地域... そんなコーカサスの魅力が炸裂する、ハチャトゥリアン(1903-78)と、イッポリトフ・イヴァノフ(1859-1935)の音楽。
始まりは、お馴染みの『ガイーヌ』の剣の舞!こうして、改めて聴いてみると、ハチャトゥリアンが繰り出す独特のエキゾティシズムに惹き込まれ、今さらながらに魅了されてしまう。ド派手なパーカッションが刻むリズムは、よくよく聴いてみると一筋縄ではいかないもので、興味深く。あまりにお馴染み過ぎて、これまで変な色眼鏡でこの人気作を見つめていたかもしれない。そして、剣の舞だけではない『ガイーヌ』... クルド人の若者たちの踊り(track.3)、レズギンカ(track.5)と、ド派手にして刺激的なコーカサスのリズムに痺れてしまう!その後で、一転、ロシアへと立ち戻り、『仮面舞踏会』の組曲(track.6-10)というギャップが、また凄い... 始まりのワルツ(track.6)の、ロシアならではのヘヴィーさと、どこかうらぶれたようなチープさ!この雰囲気たっぷりなあたりにも、"コーカサス"は作用しているように思えて... ハチャトゥリアンの祖国、アルメニアの音楽が持つトーンが、某かのスパイスと成り得ているのかも... 続く、『スパルタカス』の組曲(track.11-14)では、たまらないほどにロマンティックなメロディと、ゴージャスなオーケストラ・サウンドに、圧倒されるばかり。しかし、ハチャトゥリアンの音楽のテンションの高さ、サービス精神旺盛なあたり、ロシア人とは一味違うアルメニア人気質なのか?おもしろい。
だからか、最後に取り上げられる、ロシア人、イッポリトフ・イヴァノフによる「コーカサスの風景」(track.15-18)が、また印象的で... ロシアから見つめるロマンティックなエキゾティシズムの、一歩引いた視点に安心させられるものがあったり... そんな安心感を味わえるからこそ、ドキドキさせられるようなハチャトゥリアンの音楽の生々しさにも改めて魅了されて、まったくおもしろい。とはいえ、イッポリトフ・イヴァノフも盛り上げるところはしっかりと盛り上げて来る!「コーカサスの風景」のお約束、酋長の行列(track.18)の、如何にもイスラミックなメロディとリズムに彩られて、どんどん盛り上がってゆく行列は、嫌いじゃない。いや、カッコいい!
そんな"コーカサス"を思いっきり楽しませてくれる、チェクナヴォリアンの指揮、アルメニア・フィルの演奏!久々に聴いて、今さらながらに度肝を抜かされた。それは、コーカサス・スピリット満点というのか、芯から熱い音楽をただならず聴かせてくれていて、何だか涙が出てしまう。祖国を代表する作曲家、ハチャトゥリアンへの愛と自信が、あり得ないくらい雄弁に鳴り響いていて、安易に近付こうものなら火傷しそうなくらい。とはいえ、単に熱いだけではない、艶やかにして一丸となって奏でるアンサンブルの見事さ... 堂々としてド派手なパーカッションの大活躍... いい具合に田舎趣味にして、しっかりとしたクウォリティを以って紡ぎ出される音楽の味わい深さと、パワフルさには、理屈抜き、ただただ感服するばかり。

KHACHATURIAN・IPPOLITOV-IVANOV・TJEKNAVORIAN

ハチャトゥリアン : バレエ 『ガイーヌ』 組曲
ハチャトゥリアン : 組曲 「仮面舞踏会」 組曲
ハチャトゥリアン : バレエ 『スパルタカス』 組曲
イッポリトフ・イヴァノフ : 組曲 「コーカサスの風景」 Op.10

ロリス・チェクナヴォリアン/アルメニア・フィルハーモニー管弦楽団

ASV/CDDCA 773




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