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二〇〇五、オペラから... [overview]

クラシックの2005年は、眩しかった!
2005年のベストを選んでみる、その前半、交響曲からピアノまで、ざっと振り返って思ったのだけれど、魅力的なアルバムが多過ぎる!いや、絞り切れない!改めて聴き直してみたりすると、かえって、どれもこれもおもしろく感じてしまって、大いに悩む。それぞれが、それぞれに個性を極めていて、そういう点で、マニアックなものが多い(ま、そういうものを好んで聴いていたこもある... )のだけれど、逆に、ユルさが無い。何か、全てのタイトルから、漲るものを感じてしまう。これが、2005年のクラシックの気分だったのか...
20世紀、良くも悪くも殿様商売... というより、殿様そのものだったクラシックが、21世紀に入り、音楽ヒエラルキーの崩壊を目の当たりにし、試行錯誤だったゼロ年代のシャカリキ感。今、改めてそのあたりを振り返ると、何だかとても眩しい。で、感慨が滲む... リーマン・ショック、ユーロ危機以前のクラシックは、次なる時代へ向けて、前向きにシャカリキだったのだなと。今はどうだろう?状況はより複雑化し、音楽そのものが暗中模索。クラシックにとっての正解を導き出す公式は、もう見つからないような気がしてしまう。
いやいやいや、どうも、近頃、悲観主義に陥ってよくありません。ま、そんな世の中(化学兵器に、難民に、戦争に、豪雨、竜巻、汚染水... )ではあるのだけれど、気分を変えて、眩しかった2005年のクラシック、そのベストを選ぶ!後半は、オペラから...
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オペラも、やっぱりマニアックだった2005年。まずは、ヴァイル指揮、カペラ・コロニエンシスの演奏による、ワーグナーのオペラ『さまよえるオランダ人』の初稿(deutsche harmonia mundi/82876 64071 2)。舞台はノルウェーの港町からスコットランドの港町へ、ゼンタ以外はみな英語圏の名前となり、いつもと一味違う初稿。壮大なるワーグナー・ワールドに至る前の、音楽劇としてのオペラのピュアな状態が際立っていて、かえってワーグナーの作曲家としての技量に感服。また、ピリオド・アプローチが、そのあたりをより克明なものとしている!
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そして、さらにマニアックだったのが、ビオンディ+エウローパ・ガランテによるヴィヴァルディのパスティッチョ『バヤゼット』(Virgin CLASSICS/5 45676 2)。また、とんでもない演目を引っ張り出して来たものだ... なんて、キワモノを見る思いだったけれど、よくよく見つめると、これがとんでもなく興味深い作品で... ヴィヴァルディvsナポリ楽派を籠めた、ヴィヴァルディの時代そのものを活写するただならないパスティッチョで... それでいて、見事な歌を繰り広げる歌手陣、美しくも圧巻の演奏を繰り広げるエウローパ・ガランテと、その内容が詰まり過ぎなくらい!
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で、ヴォーカルもまたマニアック... で、その極みとも言えるのが、バルトリが歌う"OPERA PROIBITA"(DECCA/475 7029)。マニアック番長、バルトリなればこその、オペラ禁止下の18世紀初頭のローマにスポットを当てるマニアックな1枚。で、オペラ禁止なのに、この上なくオペラティック!というおもしろさ... そのオペラティックなあたりを歌いまくって、圧倒して来るバルトリ姐さん。結局、マニアック云々はどうでもよく、いつものながらスーパー・パフォーマンスで魅了されるばかり。ミンコフスキ+レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの演奏も最高!
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やはり、これもマニアック... ではあるのだけれど、音楽史にとっては極めて重要な作品。プルハル+ラルペッジャータによるカヴァリエーリのオラトリオ『魂と肉体の劇』(Alpha/Alpha 065)。最初のオラトリオとも言われるバロックの到来を告げる記念碑的な作品。そのものものしいタイトルとは裏腹に、コミカルさも含みながら、極めて表情豊かに繰り広げられる寓話劇の魅力を、個性豊かな歌手たちを繰り出して、見事にすくい上げるプルハル!資料的な意味合いを越えて、初期バロックの極上のエンターテイメントを堪能させてくれる。
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もうひとつ、オラトリオ... で、これも本当にすばらしかった!ヤーコプス指揮、フライブルク・バロック管、RIAS室内合唱団によるハイドンのオラトリオ『四季』(harmonia mundi FRANCE/HMC 901829)。ハイドンの集大成とも言える大作を、嬉々として描き出すヤーコプス!すると、それぞれの季節の情景が、総天然色で映し出されるようで、ワクワクさせられっぱなし。ハイドンは、こんなにもポップだった?!やっぱり、ヤーコプス・マジックは凄い... そして、そのマジックに掛かった歌手陣、フライブルク・バロック管、RIAS室内合唱団が見事!
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このアルバムは、現代音楽でもあるのだけれど... コーラスということで、ヴォーカルの最後に取り上げてみる... というのが、ヒリアーの指揮、エストニア・フィルハーモニック室内合唱団による"Baltic Voices 3"(harmonia mundi FRANCE/HMU 907391)。北欧の合唱作品を丁寧に拾い集めたシリーズの最終章は、より現代的で、より多彩な音楽で綴られていて、それまで以上に楽しませてくれる。「北欧」ならではのクウォリティを以って、「北欧」という安易なイメージに捉われない音楽を繰り出すおもしろさは、何と魅力的な!
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ブーレーズといった大御所たちが印象に残る2005年の現代音楽なのだけれど、より刺激を受けたのは次なる世代... まず、アップショウが歌ったゴリホフの"Ayre"(Deutsche Grammophon/477 5414)。フォークロワを素材に、まさしく「現代」のセンスで新たに編み上げた希有な歌曲集。一昔前の"ゲンダイオンガク"という気難しさなど吹き飛ばす、現代音楽に捉われないセンスで彩られたハイ・テンションな音楽に、圧倒されるばかり。で、ゴリホフの一筋縄では行かない音楽世界を表現し尽くすアップショウのパフォーマンスにも圧倒される!
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そして、2005年の現代音楽で、最も印象に残るのが、ノット指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポランによるマレシュの作品集(ACORRD/476 7200)。"ゲンダイオンガク"のイメージを守るIRCAM仕込みにして、ジャズ出身という異色の経歴が、まったく希有な音楽世界を生み出しているマレシュ... それは、コンテンポラリー・ミュージックにしてコンテンポラリー・ジャズという、現代におけるガーシュウィンのような存在?で、そのサウンドのカッコよさと来たら、もう... アンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏もクール!
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さて、現代から一気に時代を遡って、古楽。まずは、アンサンブル・ミクロロゴスによるアダン・ド・ラ・アルの『ロビンとマリオンの劇』(Zig-Zag Territoires/ZZT 040602)。グレゴリオ聖歌のイメージの強い中世にあって、音楽劇という形を取る希有な作品。そんな作品を、活き活きと描き出すアンサンブル・ミクロロゴスの歌、演奏がまたいい味を醸していて... 中世だからといって、変に古臭くなることはない、独特のカラっとしたテイストが絶妙!思い掛けなくヴィヴィットで、時にキャッチーでもあり、思いの外、楽しい音楽が繰り出される!
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そして、中世と言えば、やっぱりグレゴリオ聖歌。で、そのグレゴリオ聖歌の始まりを探る、チャレンジングなアルバム、セクエンツァとディアロゴスによる"CHANT WARS"(deutsche harmonia mundi/82876 66650 2)。これは本当に興味深く、おもしろかった!クラシックの始まりとしてのグレゴリオ聖歌は知っていても、グレゴリオ聖歌がどんな風に始まったかはなかなか知り得ない... そこに迫る"CHANT WARS"は、ビックバン以前の宇宙の起源を辿るような刺激に充ちている。で、そこにある、雄弁な聖歌の数々!大いに魅了されてしまう。
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最後は、ジャンルを越境する1枚... ということで、フレミングがジャズ、ポップスからのナンバーを歌うアルバム、"Haunted Heart"(DECCA/988 0602)。クラシックではない... かと思うと、クラシックに戻っている... とはいえ、いつものプリマ然としてクラシック歌うのではなく... という、実に凝っていて、かつ、ただならないセンスを見せる1枚。改めて聴き、その内容に驚いてしまう。きっと、これは、フレミングにしかできない。クラブで歌い、やがてオペラハウスで歌い、その両方の世界が魔法のようにひとつに結ばれる。夢のようなアルバム。

ということで、次回、2005年のベストを選んでみたい。

それから、東京、おめでとう!

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