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二〇〇五、交響曲から... [overview]

さて、2005年のリリースのベストを選びます!
って、8年遅れのこのズレっぷりに、軽く笑ってしまうのだけど、8年という月日を経て、改めて見つめる2005年は、玉手箱を開けるような感覚もあって、そこからベストを選ぶ作業は、妙にワクワクさせられる。そんな2005年、公(オオヤケ)には、どんなタイトルが評価されていたのか?レコード・アカデミー賞の大賞は、クレーメルが再び挑んだバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(ECM NEW SERIES/476 7291)。他に、管弦楽部門で、サロネンの指揮によるヒンデミットの作品集(SONY CLASSICAL/SICC 229)、オペラ部門で、コジェナーがフィーチャーされたグルックのオペラ『パリーデとエレナ』(ARCHIV/477 5415)と、メジャー・レーベルによる、メジャーなればこその水際立ったクウォリティで繰り出されるマイナー(?)な作品が選ばれているあたり、興味深く。やっぱり2005年はマニアック?その分、よりおもしろかった年だったようにも思う。
そんな2005年のリリース、取り上げた80タイトルから、特に印象に残るアルバムを改めて聴いてみるのだけれど... まずは、交響曲からピアノまで...

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さて、マニアックな2005年、その交響曲... ルイジ指揮、MDR響によるフランツ・シュミットの交響曲、全4曲のリリースが象徴的なのだけれど、ロパルツの1番と4番の交響曲(timpani/1C1093)もまた、マニアックだったなと。フランス音楽史、知られざるロマン主義者、ロパルツの交響曲は、フランスにしてドイツ風、それでいて出身地、ブルターニュ(ケルト風?)の臭いが漂い、そのフォークロワなテイストが絶妙にロマンティックでもあり、新鮮かつ魅惑的。ラング・レッシング指揮、ナンシー歌響による瑞々しい演奏もすばらしかった。
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それから、ピリオド系マエストロの大活躍も印象に残る2005年。その全てを取り上げたくなってしまうのだけれど、ウーン、悩んだ末、選んでみるのが、ヘレヴェッヘ+シャンゼリゼ管によるブルックナーの7番の交響曲(harmonia mundi FRANCE/HMC 901857)。この演奏は、8年を経て、今、改めて聴き直してみて、恐れ入る。ブルックナーをピリオドで取り上げるというセンセーショナリズムはとうに消え失せ、ブルックナーを素で鳴り響かせて現れる、音楽史を超越するような姿に驚かされる。改めて、タダモノではないブルックナーを思い知らされた。
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ピリオド系マエストロの活躍は、モダン、ピリオドのハイブリットでも大きな成果を生んだ2005年。ノリントン指揮、シュトゥットガルト放送響によるマーラーの「巨人」など、新鮮な魅力を掘り起こして、印象深いのだけれど、やっぱり、アントニーニ指揮、バーゼル室内管によるベートーヴェンの1番と2番の交響曲(OEHMS CLASSICS/OC 605)!丁寧を極めてヤリ過ぎる衝撃... そこから生まれるベートーヴェンの素の凄さ!そうしたものに触れてしまうと、もはや理屈ではない、身体そのものが共鳴してゆくような感覚に、聴き手もハイ・テンション!
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さて、管弦楽曲。まず印象に残るのが、近代音楽... デニス・ラッセル・デイヴィス指揮、シュトゥットガルト室内管によるストラヴィンスキーの管弦楽作品集(ECM NEW SERIES/472 1862)。擬古典主義の時代の作品を集めた1枚は、ちょっと魔法掛かったモダニズムを展開していて... シュトゥットガルト室内管をたっぷりと鳴らして、モダニズムの機械的なあたりから、雰囲気たっぷりにリッチな香りを引き出すデニス・ラッセル・デイヴィスの指揮が見事!近代音楽がこうも豊潤である様子は、なかなか他に探せない...
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オーケストラの豊潤さは、サロネン指揮、L.A.フィルによるヒンデミットの管弦楽作品集(SONY CLASSICAL/SICC 229)も見事だった... ヒンデミットの、ロマン主義に後ろ髪を引かれるモダニズムを、素直に、しっかりと鳴り響かせて、その魅力を余すことなく引き出したサロネン!近代音楽のある種のエキセントリックさを、魔法を掛けるように融かして、雄弁に繰り広げるその演奏に、うっとりしてしまう。サロネンならではの明晰さを以って、より音楽的な流れを近代音楽に籠めて生まれる流麗さは、忘れ難く、さすがレコード・アカデミー賞、受賞作。
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2005年、大活躍だったマエストロ、インマゼール。ピリオドから19世紀の核心へと挑んで、様々に驚かせてくれたアルバム、その全てを選びたいくらいなのだけれど... そうした中で、特にインパクトを残した1枚... インマゼール+アニマ・エテルナによるリストの管弦楽作品集(Zig-Zag Territoires/ZZT 041102)!ピリオド楽器なればこその癖のあるサウンドを最大限に利用して、リストの山師的なあたりを、思う存分に響かせたその演奏は、これまでになく圧巻。ちょっと妖しげな最高のエンターテイメントに仕上がっていて、クール!
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そして、最も印象に残る1枚かもしれない、ミンコフスキ+レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルによるラモーのオペラから管弦楽曲を集めた"une symphonie imagination"(ARCHIV/474 5142)。よくあるラモーの組曲とは一線を画す、独特の世界観を放つ1枚。ミンコフスキによる巧みな編集もあって、タイトルにある通り、ひとつの交響曲と成り得て、そこに、めくるめくイマジネーションが湧き上がる!すると、時代や場所、スタイルを超越し、力強いひとつの音楽として再提示される。そうして生まれる、大きな感動!
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80タイトルをざっと振り返って、はっとした!協奏曲をあまり聴いていないことに... けど、本当にすばらしい1枚に出会えたのもまた事実。それが、スホーンデルヴルトの弾く、ベートーヴェンのピアノ協奏曲、4番と5番、「皇帝」、その試演版(Alpha/Alpha 079)。この聴き知った名曲を、「試演版」という、これまでにまったく無かった切り口で聴かせてしまう衝撃!一方で、息を呑むような親密さで、本当に美しいベートーヴェンが繰り出されることに、ただならず惹き込まれてしまう。何か夢見るように美しく、これまた、感動的!
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現代音楽で取り上げるべき1枚なのかもしれないけれど... シカダ弦楽四重奏団による"in due tempi"(ECM NEW SERIES/472 4222)。サーリアホ、ケージ、マデルナによる弦楽四重奏のための作品を集めた1枚。で、「前衛」を遡るような展開が、滔々とした音楽の流れを生み出し、「前衛」にして風格(クラシカル?)のようなものを漂わせて、印象的。また、サーリアホの作品がモネの『睡蓮』にインスパイアされていることもあって、絵画的なイメージを喚起させる"in due tempi"。シカダ弦楽四重奏団のセンス、抜群です。
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えーっ、同じ鍵盤楽器ということで、ピアノの前にチェンバロなのですが... ルセの弾く、バッハのイギリス組曲(ambroisie/AMB 9942)。そもそもイギリス組曲はカッコいい... バッハにしてかなりカッコいい... そのカッコいいあたりを、さらにカッコよく聴かせるルセ。ルセのノリは、まさにバロック・ロック。攻めて、攻めて、舞曲集としてのイギリス組曲の性格を、より鮮烈に繰り広げる!「バッハ」というステレオタイプにこだわらないテンションの高さと、寸分の狂いも見せない恐るべきテクニックが織り成す新たなバッハ像は、現代そのものか。
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そして、ピアノ。シュタイアーの弾く、ピリオドのピアノによる、モーツァルトの10番から12番までのピアノ・ソナタ(harmonia mundi FRANCE/HMC 901856)。鬼才、シュタイアーならではの自由さで繰り出されるモーツァルト... いや、これこそがモーツァルトの真実のはず... スコアを生真面目になぞっていては、希代のピアニスト、モーツァルトのクリエイティヴィティには追い付けない?で、追い付けてしまった?シュタイアーのパフォーマンスに、ワクワクさせられ、ドキドキさせられ、やがて圧倒される。特に、トルコ行進曲!ただならず刺激的...
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このあたりで、ピリオドから離れまして... モダンのピアノで冴えた演奏を聴かせてくれたタローのアルバム、"Concertos italiens"(harmonia mundi FRANCE/HMC 901871)。モダンのピアノでバッハを弾く... それも、バッハがイタリアの作品にインスパイア... てかコピー(?)した作品ばかりを弾く、タローらしいチョイス。で、モダンだけどバロックだったり、バッハにしてイタリア・バロック... と、巧みに視点を攪乱することで、既存の枠組みをひょいとジャンプし、純然たる音楽を紡げてしまうのがタローの凄さ。で、その音楽、何と魅惑的な!
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最後は、リュビモフの弾く、20世紀前半、ロシア/ソヴィエトにおけるピアノ作品の系譜を辿るアルバム、"Messa Noire"(ECM NEW SERIES/465 1372)。ロシア・アヴァンギャルドの時代、個性極まる作曲家たち、スクリャービン、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチの作品を、鬼才、リュビモフの個性で、しっかりと結びつなげてしまう希有な1枚。タイトルの「黒ミサ」(スクリャービンのピアノ・ソナタに因んで... )が予感する通り、どこかダークで、モダンでありながらも奇怪さが漂うおもしろさ... は、癖になる...

さて、オペラ、ヴォーカル... と、次回に続く...

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