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花咲ける、シャルパンティエ! [2005]

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すでに、夏バテております。で、この先、どーすんだぁ...
力無く、うなだれながら、つぶやく。いや、末恐ろしい。何たって、7月、始まったばかりだし。体調管理、万全にして行かないと。熱中症など、気を付けて参りましょう!で、気合を入れるために、テンションの上がる曲を聴く。シャルパンティエのテ・デウム!バロックの音楽は、比較的、テンションの高いものが多いわけだけれど、シャルパンティエのテ・デウムは、またさらに!で、7月14日は、フランスの革命記念日。パリ祭(これって、日本での呼び名だと、さっき知った... wikiにて... )。ということで、ここはひとつ、フランス推しで行ってみようかなと。
ということで、2005年にリリースされた、ウィリアム・クリスティ率いる、レザール・フロリサンによる、シャルパンティエのテ・デウム(Virgin CLASSICS/5 45733 2)を聴き直す。

勇壮な太鼓による行進曲(ジャック・ダニカン・フィリドールによるもの... )に導かれて始まる、クリスティ+レザール・フロリサンの、シャルパンティエのテ・デウム(track.2-13)。それは、バロック切っての、華やかで豪奢な前奏曲(track.2)を、さらにさらに盛り上げるもので... フランス・バロック、定番の名曲も、ちょっと違う入り方(クリスティ、お得意の入り方ではあるのだけれど... )をすると、祝祭感が増して、新鮮。で、この太鼓が凄い!マリ・アンジュ・プティによる、雄弁で、艶やかで、色鮮やかにすら感じられる太鼓!いや、太鼓でこんなにも豊かな表情を引き出せるものなの?と、のっけから驚かせてくれる。そして、そこから一気に、お馴染みのメロディを、ブラスがカラフルなサウンドで鳴らし切って、太鼓も溌剌、まさにレザール・フロリサン、花咲けるよう!
鋭いエッジで作品に斬り込むのではなく、あくまでもふんわりと、ブルーミンなクリスティのスタンス。一見、それは、ユルさにも思えるのだけれど、そのユルさにこそ、フランス・ピリオド界の老舗ならではの余裕を見出し、その余裕から発せられるカラフルさに大いに魅了されてしまう。下手に色調を揃えたりせず、ピリオドの楽器の素の色をざっくりと束ねて、バラつきにすら味わいを見出す。いや、その整然としていないハーモニーを巧みに繰って、深い表情から、花火が打ち上がるような華々しさまで、幅のある音楽をさらりと聴かせてしまう。そこに、レザール・フロリサンのコーラス部隊の、明るくヴィヴィットなコーラスが加わると、このテ・デウムの持つ特有の勢いにエンジンが掛かって、盛り上がる!フランスなればこその優美さ、華麗さの一方で、この勢い!バロックにして、初期バロックを思わせるアルカイックさを漂わせながらも、キャッチーなメロディとリズムが織り成す、他ではちょっと体験できないポップ感が、バロックという枠組みを越えたセンスを見せて、グイっと惹き込まれてしまう。
「バロック」というと、強烈なイメージがあって、そのイメージのせいで、どれも同じ?のように思われてしまう節もあるのだけれど、よくよく見つめると、けしてそんな安易なことは言えない。特に、フランス・バロックは強い個性を放っていて、他と交わらないこだわりすらあったわけで... そうした中で、シャルパンティエの音楽には、また一味違うセンスの飛躍を見せるところがある。リュリがヴェルサイユの音楽を牛耳った時代、シャルパンティエはそのメインストリームからはじき飛ばされたことで、独自のセンスを磨き上げたのか... テ・デウムの後で聴く、ジョン・S・パウエルにより再構成(死者のためのミサ H.2、死者のためのプロザ H.12、死者のためのモテット H.311の3曲から成る... )された、死者のための大ミサ(track.14-30)には、死者を送る静かな音楽の中に、印象的な瞬間が籠められている。そのトーンは、バロックにして、随分とアルカイックに思えるところも多々あるのだけれど、古い伝統の一方で、次の時代を予見させるサウンドも聴こえて来て、興味深く。また、ディエス・イレの旋律が大胆に取り込まれるあたり(track.17)は、ベルリオーズの幻想交響曲を思い出させたりと、ケレン味もあったり。しかし、何と言っても、テ・デウムからは一転、滔々と歌われるフラットさが、どこかフォーレのレクイエムを思わせて、印象的。もちろん、そう再構成したジョン・S・パウエルのセンスもあるのだろうけれど、シャルパンティエの音楽が持つ、時代に縛られないひらめき?そのきらめきみたいなものがスパイスとなり、ところどころに"モダン"を感じてしまうのが、おもしろかったり。この感覚こそ、フランス音楽のDNA?精神=エスプリなのかも...
そして、これらシャルパンティエの教会音楽を歌った、歌手たちの瑞々しい歌声が、より作品の個性を際立たせているようで、大いに魅了されてしまう。ドゥシュ(≒ソプラノ)、オート・コントル(≒ハイ・テノール)、ターユ(≒テノール)といった、フランス・バロックならではの声域区分が、より透明感を感じさせる歌声、アンサンブルをもたらすのか?そうして生まれるヴィヴィットな表情に、独特の艶やかさを乗せて、魅惑的。彼らの活躍がまたシャルパンティエの美しさを改めて認識させてくれるよう。

CHARPENTIER: TE DEUM . GRAND OFFICE DES MORTS
LES ARTS FLORISSANTS . WILLIAM CHRISTIE


シャルパンティエ : テ・デウム H.146
シャルパンティエ : 死者のための大ミサ 〔ジョン・S・パウエルによる再構成〕

オルガ・ピターチ(ドゥシュ)
オルランダ・ベレス・イシドロ(ドゥシュ)
ポール・アグニュー(オート・コントル)
ジェフリー・トンプソン(オート・コントル)
トピ・レーティプー(ターユ)
マルク・モーイヨン(ターユ)
ベルトラン・ボントゥ(バス)
ジョアン・フェルナンデス(バス)
ウィリアム・クリスティ/レザール・フロリサン

Virgin CLASSICS/5 45733 2




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