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古典派に春を... 春に古典派を... [selection]

音楽連休にしよう。ということで、音楽連休中。
でもって、古典派週間です。4月からの流れで... いや、さすがに飽きるかなと思ったものの、まだ行けそう。というあたりが、古典派の魅力かなと思う今日この頃。もちろん、聴き方にもよるのだろうけれど、そよ風のように、気持ち良く吹き抜けてゆく感じ... 古典派の、ある種の軽さがもの凄く心地良い!このあたりが、古典派の春っぽさかな。これが、ロマン主義だったりすると、吹き抜けない。どんと腹に溜まって、食い過ぎたァ。となる。その満腹感こそ、また醍醐味ではあるのだけれど... いや、クラシックも、いろいろある!というより、どんなジャンルよりも、いろいろなものが詰め込まれているのがクラシックの特筆すべき点だと思う。
そこで、その「いろいろ」が織り成すクラシックを、四季に例えるならば?春は、古典派!当blog、四季のセレクション、第2サイクル、第1弾として、春の古典派、10タイトルをセレクションする試み。何より、ポジティヴでポップな古典派サウンドでテンション上げてく5月、連休!

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ハイドンを中心に、古典派を聴いて来た4月。こんなにも「古典派」と向き合ったことは、これまでになかったかも... ま、これから、さらに聴いて行くことになるのだけれど... とにかく、「古典派」という音楽を集中的に聴いてみて、見えて来る18世紀後半像がある。それは、これまでと少し違って見えて、とても新鮮だった。その一方で、ハイドン、モーツァルトでは片付かない情報量に、ちょっと収拾がつかなくなって、その多様な18世紀後半のリアルな音楽シーンの在り様に、「古典派」とは何だろうか?という思いもフツフツと湧き上がる。けど、致命的知識不足... それに、頭の回りもけしてよくありません... よって、全体像を呑み込むまでには程遠いのだけれど。一筋縄ではいかない古典派の時代に、とても刺激的な感覚を覚えてしまう。

さて、ここはシンプルに、気分的に、春に古典派... としての10タイトル。なのだけれど、最初のタイトルは、古典派を象徴するスタイル、交響曲の源流を、イタリアに探る興味深い1枚、ビオンディ+エウローパ・ガランテによる"IMPROVISATA"(Virgin CLASSICS/3 63430 2)。ヴィヴァルディのシンフォニアまで遡って、イタリアにおける古典派の発展を丁寧に紐解くのだけれど、その"発展"具合が、何ともほのぼのとした風情を見せて。学究的な側面をさらりとかわし、思い掛けなく魅力的なサウンドを展開。古典派にしてイタリアというあたりが、よりカラフルでもあって、スパークリングなエウローパ・ガランテの演奏が、ハイドン、モーツァルトとは一味違う、古典派の「春」な感覚を楽しませてくれる。そして、2タイトル目もまた、古典派を少し遡って... いや、遡ったからこそ、より春めく感覚を見出してしまう?ウィーン古典派、黎明の巨匠、ヴァーゲンザイルの協奏曲選集(ACCENT/ACC 24186)。バロックの厳しさは去り、シンプルに軽やかな音楽を展開していて、そのあたりが何とも心地良い... エコー・デュ・ダニューブのやわらかな演奏もまた、そうしたトーンを際立たせていて... ハイドン、モーツァルトが活躍する前の、良い意味でのささやかさが、早春の初々しさをイメージさせて、魅力的!

このあたりで、ハイドン、モーツァルトを聴いてみる。ということで、3タイトル目は、シュパンツィヒ四重奏団の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲集(ACCENT/ACC 24197)。ハイドンは、交響曲の数も凄いけれど、弦楽四重奏曲もびっくりするほど書いている。となると、もうどれがどれだか... という感じになってしまう。が、その「どれがどれだか... 」のひとつを、何気に拾い上げて聴いてみれば、フワァーっと古典派の洗練が流れ出して、どれを聴いても、魅了させられる。ハイドンなればこその、きちっと構築された音楽が、きちっと構築されているからこそ、絶妙な美しさを以って広がって... 音楽として、それは、本当に贅沢なことだと思う。また、シュパンツィヒ四重奏団の演奏が、輝きに充ちていて。クリアさを極めて生まれるあまやかさに息を呑む。そんなハイドンの一方で、モーツァルトの魅力は、やっぱり天真爛漫であるところ... そして、それを極めたのが、シュタイアーが弾くモーツァルトのピアノ・ソナタ、10番、11番、12番(harmonia mundi FRANCE/HMC 901856)。何と無邪気な!モーツァルトの即興性を活かし切るシュタイアーのタッチが、モーツァルトの音楽を、そのスコアからも解放してしまうような、ファンタスティックさ!音符はフワフワっと宙を舞い始めるかのよう... 嗚呼、なんてラヴリー!

トルコ行進曲なんかで、ワクワクしてくると、やっぱりモーツァルトは、春だ... 春の陽気、そのもののように感じる。そんな春の陽気の中に身を置けば、ウキウキしてじっとしていられなくなる。ということで、5タイトル目、フライブルク・バロック管によるモーツァルトの管楽器のための協奏曲集(harmonia mundi FRANCE/HMC 901946)。1番と4番のホルン協奏曲に、オーボエ協奏曲、ファゴット協奏曲... 朗らかなホルン、のどやかなオーボエ、ちょっとユーモラスなファゴットと、何だか春の野原にピクニックに来た気分。そして、6タイトル目、ビオンディが弾くモーツァルトのヴァイオリン協奏曲集(Virgin CLASSICS/3 44706 2)。風切って、新緑の中をドライヴするような爽快さ!こういう音楽を聴いていると、家にいることを忘れてしまう...
やがて春も深まり、初夏が見えて来るわけだが。7タイトル目、アーノンクール+ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによるハイドンの『パリ交響曲』(deutsche harmonia mundi/82876 60602 2)は、アーノンクールならではのパワフルさに絆されて、盛り上がるしかない!もう半袖でも十分、という気温になってしまったりするのが連休だったりするわけだけれど、そんな感じ?もう暑いくらい、そういうテンションがまた、刺激的。そんなハイドンから時間を少し進めて、ベートーヴェンへ... 19世紀の作曲家というイメージが強いベートーヴェンだけれど、18世紀生まれで、古典派の最後を彩った作曲家であることを忘れるわけにはいかない。そんなベートーヴェンの若かりし頃、ロマン主義にはまだ少し距離のあったベートーヴェンの19世紀初頭をフィーチャーする8タイトル目、ローレル+ル・セルクル・ドゥ・ラルモニによる"BEETHOVEN the biarth of a master"(ambroisie/AM 204)。まだまだ18世紀的な気分を残すベートーヴェンのサウンドが、また春っぽい!ショーヴァンのヴァイオリン・ソロで聴く、2番のロマンスの、ブルーミンなあたり、もう、たまらない!

古典派の音楽というのは、21世紀からイメージするアンシャン・レジームのお上品さ(『べルサイユのばら』的な... )とは、違う感覚があるように思う。その根底にあるのは、古典美なのだろうけれど、生来のノリの良さというか、勢い付くと止まらないような、お調子者的性格?交響曲や弦楽四重奏、ソナタ形式など、カッチリとした形を生み出しつつも、その枠の中で、時折、珍妙なことをしでかすのが古典派でもあって。ロマン主義のようなダイナミズムには至らなくとも、フルに音楽を楽しむ姿勢があり、ポジティヴ。このセレクションでは、そこに「春」を見出してみたのだけれど... そんなポジティヴさが最も良く出た9タイトル目、ヤーコプスの指揮、フライブルク・バロック管によるモーツァルトの交響曲、「プラハ」と「ジュピター」(harmonia mundi FRANCE/HMC 901958)。いろいろ考えることなく、シャワーを浴びるみたいに楽しい音楽を浴びる感覚だろうか。その降って来る感覚に、古典派スピリットを強く感じる... で、それこそが、春だなと、今の季節にぴったりだなと...

締め括りに、グロットの指揮、アレイディア・アンサンブルの演奏、タワー・ヴォイセズ・ニュージーランドのコーラスで聴く、古典派の時代のスター、ヴァンハルの2つのミサ(NAXOS/8.555080)。これが、びっくりするほど、あっけらかんとした音楽でして... とにかくキャッチーで、芸術性が管を巻いたりしない。クラシックとしては、ある種、奇跡?が、今でこそ「古典派」なんて厳めしい呼び名が付いているけれど、古典派の音楽というのは、そもそも18世紀後半のポップス。つまり、古典派は、ポップなのだと思う。で、スター、ヴァンハルの音楽ならば、なおさらにポップ!まだまだ音楽と聴衆との距離が詰まっていた頃、「芸術性」よりも、より聴衆と向き合う必要性が育んだ18世紀流のポッピズムは、21世紀にも十分に魅力的!

という10タイトル。




タグ:18世紀
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