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二〇一二、交響曲から... [overview]

さて、4月となりました。新年度です。
というところで、2012年を振り返るというズレっぷりに、多少、ゲンナリするところもあるのだけれど、何はともあれ、ケリを付けねば... で、2012年にリリースされたアルバム、60タイトルを聴いた。それは、これまでに比べると、少ない。60タイトルで、2012年のクラシックを語ってしまっていいのだろうか?なんても思うのだけれど、このくらいの数が、今の当blogのリアルな現状でして... もちろん、もっといろいろ聴いてみたいものはあったのだけれど... 絞り切っての60タイトルと考えるならば、実に濃密で、充実した60タイトルだったなと...
そんな2012年のリリース、60タイトルを振り返ってのベストを、これから3回に渡って選んでみようかなと。まずは、交響曲からピアノまで...

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さて、まずは交響曲から... で、センセーショナル(といっても、自身の中だけかも... )だったのが、パーヴォ・ヤルヴィ+hr響によるハンス・ロットの交響曲(RCA RED SEAL/88691963192)!若きマーラーの友人として、その名前が取り上げられつつ、時折、その代表作、交響曲が、マイナーなあたりからリリースされる... そんなポジションにあるマニアックな存在だけれど、とうとう、メジャーから、人気マエストロが取り上げたのだから、テンションも上がってしまう!そうして、誇らしげにも映るハンス・ロットの姿(交響曲)に感慨...
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すでに定番... そろそろ、マンネリ?なんて甘く見ていると、ガツンとヤラれる"Opening Doors"のシリーズ... ダウスゴー+スウェーデン室内管によるチャコフスキーの「悲愴」(BIS/BIS-SACD-1959)は、「すでに定番」となっている彼ら流の刷新が、また一段と水際立っていて、凄い。この名曲中の名曲を、それまでとはまったく違うものとして捉え切る、究極的なアプローチ... けして容易いものではなかったはず、だけれど、あっさりとそれを成してしまうのだから、何なのだろう?いや、これこそが、21世紀のクラシックのあり様に思えて来る。
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2012年は、ドビュッシーの生誕150年であったことを忘れるわけにはいかない。そして、メモリアルなればこその1枚... ピリオドによるドビュッシー、牧神の午後への前奏曲、「海」、「映像」を聴かせてくれたインマゼール+アニマ・エテルナ(Zig-Zag Territoires/ZZT 313)。ピリオド楽器の癖こそを武器に、我が道を貫く彼らが、思い掛けなく清らかなドビュッシーを響かせて、驚かせてくれた1枚。清らかであることを極めて、ある種のドビュッシーらしさ、印象主義の鮮やかさすら突き抜けて生まれる瑞々しさに、息を呑む。
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それから、マーラーをピリオドで取り上げた、ヴラディーミル・ユロウスキの指揮、エイジ・オブ・インライトゥンメント管による「葬礼」(signum CLASSICS/SIGCD 259)。ピリオド云々を越えての、新鮮にしてすばらしいマーラー!ドビュッシーにしろ、マーラーにしろ、ピリオドだからと言って、いちいち驚いていられない21世紀... モダンであるかピリオドであるかの垣根は本当に低くなっている。というのも、モダンのレパートリーだと思われていたものも、何の遜色も無く、さらりと奏でてしまうピリオドの存在があってこそか... このアルバムがまさに!
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もちろん、モダンもすばらしく... ヤンソンスが指揮した、2012年、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート(SONY CLASSICAL/88697927102)!それにしても、ニューイヤー・コンサートのアルバムを選ぶとは... と、思いつつ、思い掛けなく魅力的なものとなった、ヤンソンス、2度目のニューイヤー・コンサート。『カルメン』のメロディが登場し、『眠れる森の美女』まで取り上げられて、盛りだくさん!それでいて、粋で、キリっとした仕上がりが、小気味よく、さすがはウィーン・フィル!正月ならではのスパークリング感は最高!
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どのカテゴリーで取り上げるべきか迷ったのだけれど、2曲の協奏曲が収録(他、交響曲、序曲、ソナタが1曲ずつ... )されていたので、協奏曲で... という、フリードリヒ大王の生誕300年を祝う、ベルリン古楽アカデミーによる"FRIEDRICH DER GROSSE Music for the Berlin Court"(harmonia mundi/HMC 902132)。フリードリヒ大王作曲のフルートのソナタも取り上げられ、ベルリンの宮廷の趣味を垣間見る興味深さと、ご当地のピリオド・オーケストラとして、見事な演奏を繰り広げるベルリン古楽アカデミーの輝かしさ!
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そして、間違いなく協奏曲な1枚... ヴァイオリンの新たな逸材、シモニヤンによるハチャトゥリアンとバーバーのヴァイオリン協奏曲(Deutsche Grammophon/477 9827)。何とも凄い組合せなのだけれど、実はこれが絶妙だったり... ともに1940年の作曲で、米ソの両側で生まれているという対比の興味深さ... 何より、自信に満ち溢れたシモニヤンの演奏によって、2つのコンチェルトがより鮮やかに歌い上げられ、魅了されずにいられない!クリスチャン・ヤルヴィの指揮、ロンドン響による演奏も、作品の思い掛けないクールさを引き出していて、最高!
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協奏曲は、魅力的な演奏が多くて、大いに迷う... 特に、19世紀の、ヴィルトゥオーゾの時代の、これぞ協奏曲!というものにすばらしいものが多く... そうした中で選ぶのは、コンメラートの弾くピリオドのピアノによるフンメルのピアノ協奏曲集(BRILLIANT CLASSICS/BRL 94338)。ヴィルトゥオーゾの時代を切り拓いたひとり、フンメルの魅力を、滴るように、思い掛けなくジューシーに響かせるその演奏に、ただならず魅了されてしまう。そして、タルパンの指揮、ソラメンテ・ナトゥラーリの雄弁な演奏にも、惹き込まれる!
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室内楽は、例年通りというか、あまり聴いていないのだけれど... それでも例年通り選んでしまう... で、選んだのが、ル・サージュのピアノとエベーヌ四重奏団によるフォーレの2つのピアノ五重奏曲(Alpha/Alpha 602)。嗚呼、何と流麗な!主役はル・サージュではあるのだけれど、まずエベーヌ四重奏団の弦の艶やかで鮮やかな響きに圧倒されてしまう。やっぱり、彼らは凄い!そうしたところに、ル・サージュも、無理に存在を主張するようなことはせず、そっと寄り添って生まれる美しいアンサンブル... そして、フォーレが輝く!
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さて、ピアノ... まずは、マルティノフの弾くピリオドのピアノによる、リスト版のベートーヴェンの「田園」と、2番の交響曲(Zig-Zag Territoires/ZZT 301)。ベートーヴェンの作品でありながら、リスト版ということで、リストの時代からベートーヴェンをトレースする興味深さがまずあって。なおかつ、リストの時代のサウンドを再現するわけで。さらには、そういう入れ子構造を突き抜けてしまうマルティノフの雄弁なタッチがあって。まるで万華鏡を覗き込むような、不思議さがある。一筋縄ではいかないのだけれど、イマジネーションはより広がる!
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そして、最後は、リュビモフがピリオドのピアノで弾く、ドビュッシーの前奏曲集(ECM NEW SERIES/476 4735)。インマゼール+アニマ・エテルナによるドビュッシーでも感じたのだけれど、清らかなるドビュッシー... リュビモフのピアノからも、そういう感覚が浮かび上がって来て興味深い。何より、清らかなドビュッシーが美しい!ピリオドなればこそなのか、「ドビュッシー」という雰囲気に流されない、素のドビュッシー像に迫って... また、迫れば迫るほど、その実態が消失してゆくような、不思議な存在感... その新鮮さに聴き入る...

さて、オペラ、ヴォーカル... と、次回に続く...

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