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春分は過ぎ、春、盛りにして、秋、冬を振り返る... [overview]

さて、何だか、気が抜けてしまいました。
花が咲いて、春に包まれて、陽気のみならず、頭の中も、どこかでフワぁっとなっているのか?いや、なるよなぁー。今年の春はまた、例年に比べて濃密?というか、花々しい!寒過ぎた冬の後で、わぁっと気温が上昇して、一斉に咲き出す花々に、気分も花々しくなるような。株価が上がるのも、わかる!って、そう単純なものでないことは、重々承知しているのだけれど、やっぱり春はいいなぁ。と、つくづく感じる今日この頃。で、気が抜けた?いや、一番の要因は、前回を以って、新譜を取り上げることに一区切りとしたことだろうな... ま、随分と2013年にズレ込んでしまったけれど、何とか年度内には納まって、ほっと一息。
ということで、『エリヤ』(signum CLASSICS/SIGCD 300)に始まって、『カルミナ・ブラーナ』(SONY CLASSICAL/88725446212)に終わった2012年の下半期... 王道もマニアックも、モダンもピリオドも、そしてモダンとピリオドのハイブリットも、クラシックの源流のさらなる昔から、現代まで、上半期以上に幅広く聴いた30タイトルをざっと振り返ってみる。

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上半期が20世紀にシフト気味だった反動だろうか?下半期は古いもの、ピリオドの演奏を取り上げることが多かったのかも... その極め付けが、グレゴリオ聖歌以前!?エドゥアルト・パニアグア+ムジカ・アンティグアによるモサラベ聖歌(PNEUMA/PN-1270)。これは、ピリオド云々のレベルを遥かに通り越してしまっているのだけれど、そのあまりの「昔」にたじろぎつつ、剥き出しの音楽というか、後に洗練され装飾されてゆく音楽にはないシンプルさと、だからこそ放つ存在感に圧倒されて、音楽というもの自体について考えさせられる。華やかな19世紀のレパートリーが中心のクラシックではあるけれど、その源流を見つめる意義は大きい。

とはいえ、やっぱりクラシックの華は19世紀... で、下半期、思い掛けなくメンデルスゾーンをいろいろ聴く。マクリーシュ+ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズらによる『エリヤ』(signum CLASSICS/SIGCD 280)。ロイス+エストニア・フィルハーモニック室内合唱団が、クレークの詩篇とともにメンデルスゾーンの詩篇を歌った"PSALMS"(ONDINE/ODE 1201)。イブラギモヴァがピリオドで挑んだ、名曲のアイコン!ヴァイオリン協奏曲(hyperion/CDA 67795)。そしてブラウティハムがピリオドのピアノで弾く、無言歌集(BIS/BIS-1982)。と、何気に盛りだくさん。で、メンデルスゾーンという存在を改めて見つめ直す機会に... 華やかなクラシックに在って、メンデルスゾーンの存在は地味なのかもしれない。けれど、きっちりと古典を学んで、個性の饗宴とも言える19世紀、真っ直ぐに踏み出して行ったその音楽作りは、他には無い清廉さを感じ、よりナチュラルに聴けるような気がする。大胆なことを言ってしまうならば、最も優れた作曲家はメンデルスゾーンだったかも?もちろん、音楽史に燦然と輝く作曲家たちに、優劣を付けるなんて愚かなことではあるのだけれど... 大作オラトリオから、ア・カペラの教会音楽、華麗なるヴィルトゥオーゾの時代を彩ったコンチェルトに、親密なピアノ独奏曲。そのどれからも、きっちりとした音楽作りと、優れたバランス感覚、さらには洗練された表出力もあって、侮れない...

ところで、イブラギモヴァのヴァイオリンを好サポートしていた、次世代マエストロ、ヴラディーミル・ユロウスキの存在が気になる!メンデルスゾーンの他に、同じくエイジ・オブ・インライトゥンメント管(以後、OAE... )を指揮しての、マーラーの「葬礼」(signum CLASSICS/SIGCD 259)もすばらしく。ピリオドによるマーラーということで(それも「葬礼」!)、刺激的なのだけれど、そういう次元を越えて、驚くほど清々しいマーラーを聴かせてくれたことに感動!そうか、マーラーにも若い頃があったのだ... という、若きマーラーの作品に、驚くほど瑞々しさを取り戻していて、見違えてしまった。ピリオド出身というわけではないけれど、OAEを見事に指揮するヴラディーミル・ユロウスキから、ますます目が離せなくなりそう。この組合せ、いろいろ聴いてみたい!

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さて、「見違える」というのは、下半期のキーワードだったかもしれない... そんなアルバム、特に印象に残るのが、ダウスゴー+スウェーデン室内管による"Opening Doors"のシリーズから、チャイコフスキーの「悲愴」(BIS/BIS-SACD-1959)。彼らがやろうとしていることが、定番の「刷新」そのものであって、そういう点で、驚かされるだろうことは予測できるわけだけれど、それ以上に驚きのあった「悲愴」。単に驚くだけでなく、そのクウォリティもすばらしいもので。最初こそ、あまりの見違えっぷりに戸惑いつつも、聴き入れば聴き入るほど、興味深さがます名曲... "Opening Doors"のシリーズも、新たな深化を見せ、ますますおもしろくなる予感!
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ぼんやりと、ショパンのコンチェルトにはつまらなさを感じていた。ピアノ独奏ならば魅力的なのに、コンチェルトになると、どうも野暮ったい?というか、何だ、オーケストラがつまらない... ピアノの詩人のオーケストラの弱さ、よく言われるわけだけれど、驚いた!ロンクィヒのピアノ、ヘレヴェッヘ+シャンゼリゼ管による、ショパンの2番のピアノ協奏曲(Narodwy Instytut Fryderyka Chopina/NIFCCD 031)。そういう時代だからしょうがないのだけれど、やたら長いオーケストラによる序奏から、思い掛けなく聴き入ってしまう!さすがはヘレヴェッヘ... ロンクィヒのピアノもすばらしいけれど、ショパンの時代をさらりと浮かび上がらせた手腕に唸るしかない。
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それから、クリスチャン・ヤルヴィ+MDR響らによるオルフの『カルミナ・ブラーナ』(SONY CLASSICAL/88725446212)。とにかく、これまでとは解像度が違う!室内オーケストラを思わせるような精緻さで、全ての音符を徹底してすくい上げ、中世の絵巻を瑞々しく描き切ったクリスチャンの指揮に感服。そうして浮かび上がる、オルフの音楽の擬古典主義的な性格... これまで、『カルミナ・ブラーナ』にはロマンティックなイメージを持っていたけれど、やっぱり打楽器群が活躍し、きっちりリズムを刻んで来るあたりはモダン!モダンなのだけれど、中世が題材であるというおもしろさは、クリスチャンが初めて実を結んだ気さえする。

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そして、下半期、最も印象に残るのが、ファゾリスの指揮、コンチェルト・ケルンの演奏、ジャルスキー、ツェンチッチら、カウンターテナーの実力者たちが結集した、ヴィンチのオペラ『アルタセルセ』(Virgin CLASSICS/6028692)。今、かなりのスピードで、ナポリ楽派のルネサンスが進んでいるように感じるのだけれど、この『アルタセルセ』は、その中でも特筆すべきもの... 全てのロールが男声によって歌われるという、カストラート全盛の時代を再現しようという試み。で、その試みをやり遂げた、カウンターテナーたちの見事なパフォーマンスには舌を巻く。そうして初めて得られた、高音の男声(最も低いのがテノールという驚き!)のみによるドラマの不思議な浮遊感?オペラ・セリアの格調の高さというか、人間離れした古典美というべきか、バロック期、人々を魅了して止まなかった世界がこういうものだったのかと納得。何より、声の饗宴に魅了されずにいられない。

こうして振り返ってみると、2012年の下半期は、おもしろかった!で、おもしろい分、もっといろいろ書きたくなってしまうのだけれど、2012年、全体を振り返るにあたって、ネタ切れにならないよう、この辺にて... 次回から、3回に渡って、全体を振り返ります。




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