SSブログ

2012年から、2006年を振り返る... [overview]

いやー、クリスマス・イヴです。やっぱり、あっという間でした。
選挙に行って、「終末」来なくて、今夜はサンタが街にやって来る!いや、サンタも来ないか... と、2012年の12月は、ことのほか盛りだくさん。そりゃもう、狂騒って感じで... でもって、連日、ニュースを見ていると、世も末だよ!と、捨て台詞を吐かなくてはいられないような状況が続く。「終末」は乗り切っても、21世紀が抱える膨大な難問は、一切、解決していないというリアルが、「終末」以上に重く圧し掛かる。いや、こういう状況こそ「終末」なのかも?カタストロフとしての「終末」がやって来るのではなく、静かにひたひたと"無間地獄"に溺れてゆくような... そして、カタストロフの来ない、終わった状態こそ、本当の恐るべき事態に思うのだけれど。
そういう状況下で、音楽とどう向き合おうか?近頃、音楽に対して、少しテンションが落ち気味なところも。一方で、今年は、2006年を振り返ったのだけれど、テンション高めにクラシックの動向を追っていた頃を振り返れば、今、改めて、音楽と向き合うテンションを呼び覚ましてくれるようでもあり... そんな2006年を聴き直し終えての、後半、35タイトルをざっと振り返る。

HMN911914.jpgmode159.jpg3634142.jpgCDA67540.jpg8559245.jpg
mode170.jpgHMU907400.jpgCHAN0727.jpg60128.jpgCM0022005.jpg
7771172.jpg93125.jpg2564629992.jpg3593822.jpgOP30419.jpg
7771802.jpgA341.jpgAMOE10001.jpgOC612.jpg3447222.jpg
BMCCD117.jpg0012472KAI.jpg0012502KAI.jpgAlpha519.jpgSU38772.jpg
4763150.jpgBISSACD1681.jpgAV9848.jpgHMC901928.jpgCCSSA24006.jpg
Alpha100.jpgCCSSA24806.jpgV5055.jpg8557637.jpg82876662722.jpg

という35タイトル... 前半は、幅広く、多様なクラシックを満遍なく、30タイトルを聴き直したのだけれど、後半は、かなりマニアックに、現代と古楽が多かったなと。いや、こうしてジャケットを並べてみると、何か凄い並びになっている。それだけ、2006年が刺激的だったということか... そして、そんな2006年を聴き直して、再び、大いに刺激を受けた35タイトル。それは、6年前よりも大きかったり?
ということで、まずは現代から... 戦後、「前衛」を象徴する存在のひとり、シュトックハウゼンのグルッペン(Budapest Music Center/BMC CD 117)、アメリカのアンダーグラウンドから強烈な個性を放つ、クラムの『ブラック・エンジェルズ』(mode/mode 170)と、"ゲンダイオンガク"の伝説的な作品も聴いた後半、久々に骨太な現代音楽をガツンと喰らって、目が覚める。難解だろうが何だろうが、伝説というものに圧倒された。一方で、2010年代から、20世紀の「前衛」を聴く距離感というのか、かつての「前衛」も、今となってはノスタルジックなトーンが滲み、現代音楽というカテゴリーに位置付けられながらも、現代っ子世代からすると、すでに一昔?いや、「一昔」と言えてしまう現代音楽に、新たな魅力を見出して、思い掛けなく新鮮でもあった。
そうした現代で、特に印象に残るのが、夭折のカナダの鬼才、クロード・ヴィヴィエの管弦楽作品集(KAIROS/0012472KAI)。オリエンタルで、サイケデリックで、戦後のカウンターカルチャーの雰囲気に包まれた"ゲンダイオンガク"というのか、その独特な個性の照射に、ちょっと中てられつつも、嫌いじゃないテイスト?怪しげにして、煌びやかなサウンドに、改めて魅了されてしまう。それから、オーストリアの変なおじさん、HKグルーバーの"ZEITSTIMMUNG"(BIS/BIS SACD 1681)。クリスチャン・ヤルヴィ+トーンキュンストラー管による充実した演奏で改めてこの人の作品に触れてみると、特有のふざけた感覚に、ウィーンの系譜を感じ取れてしまう?いや、マーラーの交響曲の進化系?なんて思えてしまうからおもしろい。でもって、HKグルーバーの見方が少し変わったのかも... それから、パリの現代っ子、コネソンの"techno parade"(RCA RED SEAL/82876 662722)!戦後、現代音楽をリードしたフランスにありながら、そうした伝統を、完全に過去のものとして繰り広げる、ジャスト現代なノリ... 21世紀には、21世紀の感性を持った現代作品があってしかるべきだと強く思う一方で、なかなかそうした音楽に出会えない現状がある中、コネソンの音楽には、改めて共感せずにいられない。それにしても、"Techno-Parade"最高!現代音楽も十分にクール!

さて、古楽もいろいろ聴いたわけだけれど... 印象に残るのは、古楽なればこそのミクスカルチャーなアルバムの数々。東洋と西洋の音楽を結んだサヴァールの"Orient - Occident"(ALIA VOX/AV 9848)、ヨーロッパとラテン・アメリカの混交から生まれた音楽を掬い上げたプルハルの"Los Impossibles"(naïve/V 5055)。イスラム教、キリスト教、ユダヤ教が織り成した中世のイベリア半島の文化を、ユダヤ教側からスポットを当てた、アクセントゥス・アウストリアの"ROMANCES SÉFARADES"(ARCANA/A 341)、キリスト教側からスポットを当てた、アントネッロによる、カンティーガ集、『薔薇の中の薔薇』(Anthonello MOOD/AMOE-10001)。クラシック以前のヨーロッパの音楽の、多様な文化圏の重なり合う姿に改めて触れ、単純に白黒付けがちな現代の文化観に、いろいろ思うところあり... 技術力は進化しても、想像力はどこかで退化しているのか?そして、混交する文化が生み出すパワフルさ、艶っぽさに、大いに魅了され、刺激を受けた。
そうした中で、特に刺激を受けたのが、オーニ・ヴィータルスによる、"FROM BYZANTIUM TO ANDALUSIA"(NAXOS/8.557637)。東ローマ帝国の都、ビザンティウムから、イスラム勢力が支配したアンダルシアまで、地中海を音楽で旅するアルバムは、様々な文化を盛り込みつつ、かつて存在した地中海文化圏を浮かび上がらせるのか。という、構成云々もすばらしいのだけれど、何と言ってもオーニ・ヴィタールスのオーガニックなサウンド!サイクスおっかさんの肝っ玉ヴォイスを耳にするだけで、何かこう、でっかい懐に抱かれるようで、それだけで癒される... 現代社会に足りないのは、こういう大地母神的母性?
さて、古楽から大胆にワールド・ミュージックへと踏み込む(といっても、ここまで紹介した古楽のアルバムが、すでにかなりワールド・ミュージック寄りではあるのだけれど... )、アノニマス4が、アメリカのトラッドを歌う、"Amerian Angels"(harmonia mundi FRANCE/HMU 907326)、ボヌールが、オーヴェルニュのトラッドを歌う、"Se canta que recante"(Alpha/Alpha 519)の、フォークロワならではの素朴で真っ直ぐな音楽にも感動させられた。トラッドなればこその、作為の無い音楽というのか、作曲という行為の後が残っていない、普遍性?そういう、音楽の素の姿に触れることは、大切なのかもしれない... と、感じ入る2タイトル。交響曲に、オペラに... と、クラシックで疲れた耳には、まるで帰る場所を与えてくれるような、温かく、やさしい佇まいに、感じ入る。いや、こういう場所こそ、クラシックの故郷なのだなと...

もちろん、現代と古楽ばかりではなく、バロックも刺激的!スピノジ+アンサンブル・マテウスによるヴィヴァルディのオペラ『グリゼルダ』(naïve/OP 30419)や、ジャルスキーが歌うヴィヴァルディのアリア集、"HEROES"(Virgin CLASSICS/363414 2)は、ヴィヴァルディのバロックなればこその魅力をたっぷりと繰り広げて今を以ってしても凄いインパクト!一方で、ネザーランズ・バッハ・ソサエティによる、ブクステフーデの『われらがイエスの四肢』(CHANNEL CLASSICS/CCS SA 24006)は、独特の、艶めかしくすらある表現で、北ドイツの渋い音楽に、人肌の温もりを籠めて、また違ったインパクトを生み、ゾクゾクさせられた。
が、さらに、人間味溢れる音楽を繰り広げる、ヤーコプスのヘンデルのオラトリオ『メサイア』(harmonia mundi/HMC 901928)は、今、改めて聴いて、やっとその凄さを思い知る... というより、後半の35タイトルの内で、聴き直しての印象が、最も大きく変わったのがこの『メサイア』。そして、クリスマス・イヴだから、というわけではないけれど、最も強く印象に残る。クウォリティを度外視するようなところもある、生々しいイエスの生涯に肉薄するその音楽は、音楽を越えた感動へと至るのか... いや、聴き直して良かった!
それ以外では、パヴェル・ハース四重奏団のハースの2番の弦楽四重奏曲(SUPRAPHON/SU 3877-2)、オラモ指揮、バーミンガム市響による、フォウルズの管弦楽作品集の第2弾(Waner Classics/2564 62999-2)、ラトル+ベルリン・フィルにめよるホルストの『惑星』(EMI/3 59382 2)のカッコよさも捨て難く。いや、こうして挙げ出すと切りがないので、このあたりにて、お終い。

ということで、前半、30タイトル、後半、35タイトル、さらに、2006年の時点で取り上げていた35タイトルを振り返り終えたので、年が明けてから、2006年のベストを選んでみたいと思います。
しかし、盛りだくさんな2006年...




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。