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ドビュッシー・メモリアル、 [2012]

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12月も半分が過ぎてしまった。という事実にクラクラしてしまう。
まったく、毎年こうなってしまう。「年の瀬」に煽られて、変に慌ただしく過ごすことになって、もう半月が過ぎてしまって、もうあと十日、残すところ一週間、クリスマス、大晦日、除夜の鐘まで全力疾走。そんなスピード感から、一年を振り返ったりすると、一年が余計にあっという間に感じられ。この一年、何か成長があっただろうか?なんて考えると、怖くなる。ので、音楽に目を向けるのだけれど... 2012年といえば、ドビュッシーの生誕150年のメモリアル!そして、このメモリアルの収穫は、何だったろう?多少、盛り上がりに欠けた印象もあるのだけれど、それでもピリオドでドビュッシーが聴けたことは収穫だった。そんなメモリアルを象徴する1枚を聴く!
印象主義はすでにその範疇... ジョス・ファン・インマゼール率いるアニマ・エテルナによる、ドビュッシーの代表作、「海」(Zig-Zag Territoires/ZZT 313)を聴く。

ピリオドで近代音楽に斬り込んだ、インマゼール+アニマ・エテルナ。賛否を呼びつつも、それまでに無かった感覚を近代音楽にもたらし、ギョっとさせられたり、ハっとさせられたりと、驚かせてくれた。そんなラヴェル(Zig-Zag Territoires/ZZT 060901)、プーランク(Zig-Zag Territoires/ZZT 110403)を聴いてのドビュッシーともなれば、多少なりとも覚悟はできている... という安易にして不埒なファンを裏切るか?インマゼール+アニマ・エテルナ。牧神の午後への前奏曲(track.1)に始まって、「海」(track.2-4)、「映像」(track.5-9)と、ドビュッシーを代表する作品、お馴染みの作品が並ぶのだけれど... いや、想像していたあたりと違って、調子が狂う。何しろ、ラヴェルもプーランクも、インマゼール流に貫かれての、ピリオド楽器の癖をそのままに... それこそを出汁として、これまでに経験したことの無いヘヴィーな風味で圧倒してくれたのだが、ドビュッシーではどうだろう?ピリオド楽器の癖はあまり気にならない... というより、モダンのオーケストラとの違いがあまり出ない... ピリオド界切っての個性派たちも、ドビュッシーにおいては、モダンのオーケストラに接近している?
思い掛けないほど透明感のあるドビュッシーを繰り広げる、インマゼール+アニマ・エテルナ。ピリオド楽器の癖に邪魔されることなく、さらりとドビュッシーならではの色彩豊かな世界を響かせてしまう。そんな演奏に、インマゼールも新たなステージへと移ったのか?と、いろいろ考えさせられ、インマゼールらしさの取っ掛かりを求めて、繰り返し聴いてみるのだけれど... そうしている内に、ふと見えて来るものがある。それは、ピリオド楽器の癖など入り込む隙の無い、精密な音の織物を見事に織り上げていた、作曲家、ドビュッシーの仕事ぶり。構築的なドイツ音楽とは違う、たっぷりと歌うイタリア音楽とも違う、フランスの、最もフランス的な、「印象主義」といった言葉で、何か洒落た雰囲気も漂わせて、その存在を漠然と捉えていたドビュッシーだったが、こうして改めて見つめると、その独特の近代性に目を見張る。ストラヴィンスキー以後のマシーン・エイジが放つ、アヴァンギャルド、わかり易いモダニズムの形は見え難いが、ドビュッシーの繊細に織り上げられた響きというのは、間違いなくそれまでは存在していなかった新素材であり、また時代を大いに先取りしていたことが何気なく浮かび上がってくる。
そして、結局のところ、インマゼール+アニマ・エテルナのスタンスは変わらないのか。ピリオド楽器を手にし、あるがまま、淡々と作品と向き合う。向き合った結果が、そこに現れる音楽であって、そのスタンスは極めてシンプル。だからこそ、かえって作為の無いドビュッシー像が浮かび上がり。そうしたところに、ふと味気無いものを感じてしまうのかもしれない。しかし、それくらいのスタンスだからこそ、ドビュッシーの地力が強調されるおもしろさ!楽器こそ、モダンに近付き、個性は薄すれるものの、ピリオドなればこそ、ヴィブラートは抑えて、そこから思い掛けなく清らかな流れが生み出され、透明度を増したドビュッシーの美しさに息を呑む... その瑞々しさから広がる、静かな情景... 荒ぶる「海」すら、何か詩情を湛え、近代音楽の破壊的なダイナミズムとは一線を画す。すると、近代音楽というイメージは消え、アンビエントな、より現代的なヴィジョンが立ち現れるのか。ピリオドとして、ドビュッシーの時代に立ち返りながら、時代を越えた、現代的な感覚に包まれる不思議な感触。そんな感触は、いつものようにモダンのオーケストラで、卒なく奏でられては得られないものように感じる。
しかし、明るく輝きに充ち、それでいて水彩画のように繊細で、瑞々しいドビュッシー!こういうドビュッシーがピリオドから登場するとは... これこそメモリアル...

DEBUSSY - PRÉLUDE À l'APRÈS-MIDI D'UN FAUNE, LA MER, IMAGES
ANIMA ETERNA BRUGGE, JOS VAN IMMERSEEL


ドビュッシー : 牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー : 管弦楽のための3つの交響的素描 「海」
ドビュッシー : 管弦楽のための 「映像」

ジョス・ファン・インマゼール/アニマ・エテルナ

Zig-Zag Territoires/ZZT 313

12月、フランスを巡り...
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