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ワルツを踊れ! [2012]

さて、連休真っ最中でありますが、特に家から出る予定無し...
遠出をするなら「連休」からはずらしたいし、何気に家の諸々を片づけなくてはならないし、結局、家にいることとする連休。けど、家にいながらピクニックでも行ったような気分になりたい!と、軽やかで、楽しい音楽を流す。ということで、ウィンナ・ワルツ。多少メランコリーが滲んだとしても、絶対に悲観的にはならない、スーパー・ポジティヴなメロディ、リズム!そりゃ誰も暗い音楽では踊りたくないだろうけれど、改めて聴いてみると、そのスーパー・ポジティヴさに、妙に感心させられたり(道理で、飽きもせず、毎年、正月に、聴くわけだ... )。そして、この突き抜けた感覚が、春の陽気と結び付いて、軽くハイにしてくれる?そんなウィンナ・ワルツを2タイトル。
マリス・ヤンソンスを迎えての、2012年、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート(SONY CLASSICAL/88697927102)と、ニコラウス・アーノンクール率いる、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによる"WALZER REVOLUTION"(SONY CLASSICAL/88697914112)を聴く。


2012年、ニューイヤー・コンサート、ヤンソンスの粋でチャキチャキなウィンナ・ワルツ。

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毎年恒例、ともなれば、テレビで十分... とは思うのだけれど、2011年に続いて、また聴いてしまう、ヤンソンス、2度目の登場となった、2012年、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート。ヤンソンス、最初の登場(モーツァルト・イヤーの2006年、『フィガロ... 』の序曲とか、すばらしかった!)は、ウィーンっぽさなど、どこ吹く風と、ヤンソンス流を貫いて、それはそれでおもしろかったのだけれど、再登場となった今年は、ヤンソンスらしさと、ウィーンっぽさが絶妙に作用し合って、一皮むけたニューイヤー・コンサートを繰り広げる?
まず、選曲の妙!まったくウィットに富んだ、凝ったプログラムに、ワクワクさせられる。何しろ、ラデツキー行進曲で始まってしまうのだから... って、ヨハン・シュトラウス1世の締めのお約束ではなくて、その息子たち、2世とヨーゼフの兄弟による祖国行進曲だから、実に興味深い。冒頭のラデツキー行進曲はもちろん、ハイドンの皇帝賛歌まで、オーストリア・リスペクトな1曲。で、1曲目からラデツキー行進曲を聴いたかと思うと、続くのは2世のワルツ「市庁舎舞踏会でのダンス」(disc.1, track.2)で、これがまた「美しき青きドナウ」のセルフ・カヴァー?となると、いつものニューイヤー・コンサートが逆回転されてゆくおもしろさ!そして、後半(disc.2)は、エドゥアルトによるカルメン・カドリーユ(disc.2, track.3)に、チャイコフスキーの『眠れる森の美女』(disc.2, track.4, 5)までが取り上げられ、ウィーンから羽を伸ばして盛りだくさん!例年になくそのヴァラエティを楽しむのか。
そして、演奏だが... これが最大の魅力!ヤンソンスは、最初の登場とは違って、肩の力が抜け、ウィーン・フィルを弾ませるようにリードし、ポルカやギャロップはもちろん、ワルツまでもが活きがよく。変に勿体ぶって芸術音楽めいて気取るのではなく、ダンス用音楽であるという原点を素直に見つめ、ダンスをする喜びに忠実な音楽作りが素敵!それは、かつてウィーンっ子たちを魅了し、ウィーンの娯楽に欠かせなかったシュトラウス・ファミリーのナンバーのハッピーな記憶を蘇らせるようでもあり、チャキチャキの下町の雰囲気を漂わせて。その粋なあたりが、とにかく気持ちよく、ノン・ストップで楽しませてくれる。で、ヤンソンスの指揮で、こういう音楽が繰り出されるとは!?改めて聴いて、驚かされる。そうして引き出される、ユルくないウィーン・フィルの、余裕綽々のサウンドが、またたまらない!のだけれど、異例の登場となったウィーン少年合唱団のコーラスは蛇足だったような... 微笑ましいことは間違いないけれど、ヤンソンス、ウィーン・フィルが紡ぎ出した"粋"とは結び付き難い?鍛冶屋のポルカ(disc.2, track.2)なんて、コーラス抜きで聴きたかった!

NEW YEAR'S CONCERT 2012
MARISS JANSONS ・ VIENNA PHILHARMONIC

ヨハン・シュトラウス2世/ヨーゼフ・シュトラウス : 祖国行進曲
ヨハン・シュトラウス2世 : ワルツ 「市庁舎舞踏会でのダンス」 Op.438
ヨハン・シュトラウス2世 : ポルカ 「あれか、これか」 Op.403
ヨハン・シュトラウス2世 : トリッチ・トラッチ・ポルカ Op.214 *
ツィーラー : ワルツ 「ウィーンの貴族」 Op.419
ヨハン・シュトラウス2世 : アルビオン・ポルカ Op.102
ヨーゼフ・シュトラウス : ポルカ 「騎手」 Op.278
ヘルメスベルガー : 悪魔的ダンス
ヨーゼフ・シュトラウス : フランス風ポルカ 「芸術家の挨拶」 Op.274
ヨハン・シュトラウス2世 : ワルツ 「楽しめ人生を」 Op.340
ヨハン・シュトラウス1世 : シュペール・ギャロップ Op.42

ロンビ : コペンハーゲンの蒸気機関車のギャロップ
ヨーゼフ・シュトラウス : 鍛冶屋のポルカ Op.269 *
エドゥアルト・シュトラウス : カルメン・カドリーユ Op.134
チャイコフスキー : バレエ 『眠りの森の美女』 から パノラマ
チャイコフスキー : バレエ 『眠りの森の美女』 から ワルツ
ヨハン・シュトラウス2世/ヨーゼフ・シュトラウス : ピツィカート・ポルカ
ヨハン・シュトラウス2世 : ペルシャ行進曲 Op.289
ヨーゼフ・シュトラウス : ポルカ 「燃える恋」 Op.129
ヨーゼフ・シュトラウス : ワルツ 「うわごと」 Op.212
ヨハン・シュトラウス2世 : ポルカ 「雷鳴と電光」 Op.324
ヨハン・シュトラウス2世 : チック・タック・ポルカ Op.365
ヨハン・シュトラウス2世 : ワルツ 「美しく青きドナウ」 Op.314
ヨハン・シュトラウス1世 : ラデツキー行進曲 Op.228

マリス・ヤンソンス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン少年合唱団 *

SONY CLASSICAL/88697927102




ワルツが革命を起こす!アーノンクールのマニアックにして元気いっぱいのウィンナ・ワルツ。

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そう言えば、21世紀、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートは、この人から始まった... ウィンナ・ワルツのようなユルめの音楽を嫌いそうでいて、実は事あるごとに取り上げているアーノンクール。最新盤は、ワルツの始まりにスポットを当てる"WALZER REVOLUTION"、ワルツの革命。ちょうどフランス革命が起こって、少し経った頃、ダンスの世界にも革命があった... それがワルツの登場!それまでの、より多くの人たちによって踊られるフォークダンス的性格を残したコントルダンス(カントリーダンスが起源... と知って、びっくり... )から、男女のカップルによって完結するワルツへ。アーノンクールはこの大きな変革を、革命前のモーツァルト(1756-91)と、革命直後のランナー(1801-43)、ヨハン・シュトラウス1世(1804-49)の作品で、丁寧に追う。
で、始まりはモーツァルトのコントルダンス。『フィガロ... 』を巧みに取り込んだもの(disc.1, track.2)など、ウィットに富んでいて素敵なのだけれど、コントルダンス=カントリーダンスの野趣性を鮮やかに引き出すアーノンクール。6つのドイツ舞曲(disc.1, track.4-9)では、さらに元気いっぱいに盛り上がって、ワルツ登場前夜のダンス・フロアの雰囲気を活き活きと聴かせてくれる。そして、ワルツの登場... まずはヨハン・シュトラウス1世の最初期の作品となるのか、第1ケッテンブリュッケ・ワルツ(disc.1, track.11)。なのだけれど、間違いなく3拍子を刻んでも、モーツァルトからそう遠くない素朴なテイストが印象的。この距離感が実に興味深い。シュトラウス家の息子たちが紡ぎ出す、あの流麗さはまだ遠い。より人々の楽しみに則した実用感が生々しく、いい具合にチープ。で、この場末感が何とも人懐っこく、キャッチー!2枚目では、1世のライヴァルであり、その1世より先んじてワルツを生業としていたランナーの作品が取り上げられるのだけれど。1枚目からは洗練された響きがあり、ワルツの進化を聴かせるのか。最後に取り上げられる、ランナーの晩年の作品にして代表作、ワルツ「シェーンブルンの人々」(disc.2, track.9)のゴージャスさは、まさに我々の知るワルツであり、モーツァルトからは随分と遠いところへ来たなと感慨も。しかし、マニアックである。ワルツを改めてダンス用音楽として捉え直し、その歴史にスポットを当てるなんて... またそれをピリオドで聴けるという興味深さ。アーノンクールはこうこなくっちゃ!
そんな内容のマニアックさの一方で、そこから溢れ出るワルツは、本当に元気いっぱい。アーノンクール+ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの、雄弁でパワフルな演奏には魅了されるばかりであり。また、アーノンクールらしい、ウィーン訛りのない3拍子の竹を割ったような佇まいが清々しく、フレッシュ!よりダンサブル!いつものウィンナ・ワルツとは一味違う、純粋にダンスする楽しさが詰まった"WALZER REVOLUTION"は、まさに革命的なのかも。ウィンナ・ワルツにして、刺激的!

NIKOLAUS HARNONCOURT WALZER REVOLUTION

モーツァルト : コントルダンス K.603 から 第1曲
モーツァルト : コントルダンス K.609 から 第1曲 と 第4曲
モーツァルト : 6つのドイツ舞曲 K.571
ヨハン・シュトラウス1世 : ラデツキー行進曲 〔初稿〕
ヨハン・シュトラウス1世 : 第1 ケッテンブリュッケ・ワルツ Op.4
ヨハン・シュトラウス1世 : シェーファー・カドリーユ Op.217
ヨハン・シュトラウス1世 : ギャロップ 「パリの謝肉祭」 Op.100
ヨハン・シュトラウス1世 : パガニーニ風ワルツ Op.11

ランナー : サヴェリオ・メルカダンテ による パ・ド・ヌフ
ランナー : 憧れのマズルカ Op.89
ランナー : ハンス・ユルゲル・ポルカ Op.194
ランナー : マラポウ・ギャロップ Op.148a
ランナー : ワルツ 「魔女のダンス」 Op.203
ランナー : バレエ 『コルゾ・ドナーティ』 から 行進曲
ランナー : チェリート・ポルカ Op.189
ランナー : 狩りのギャロップ Op.82
ランナー : ワルツ 「シェーンブルンの人々」 Op.200

ニコラウス・アーノンクール/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

SONY CLASSICAL/88697914112




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