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二〇一一、12タイトル/70タイトル。 [overview]

2011年を前編、後編と振り返り、やっと2011年に区切りが付ける。
途中、2ヶ月弱、更新が止まってしまったりと、2011年は、波乱の1年となったわけだけれど... というより、日本そのものが、いや世界全体が波乱の1年だったなと、つくづく思う。そして、2012年となっても、波乱はズルズルと引き摺られていて。ニュースなんかを見ていると、嫌気がさしてくる。どっちを向いても、リアルな現状に向き合う気骨は無く、どこか上の空で、言いたいことを言い合うばかり... とてもじゃないけれど、ニュースなんて見ていられない。なんて書くのすら不毛なので、本題に。70タイトルを聴いた2011年、何となく地味に聴いて来たように感じていたのだけれど、改めて振り返ってみると、いや、おもしろかった!という充実感が湧いて来る。でもって、衰弱著しいクラシックも、まだまだおもしろくなれそう... なんて、楽観的な気分にもなれる充実感でもあって...
そんな、70タイトル、印象に残るアルバムは?

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まず、70タイトルを聴いての12タイトルを選んでみる。
何気にバッハとショスタコーヴィチが2タイトルずつ... 選んでみて興味深く思う。特にメモリアルとか、そういうことでもないのだけれど、おもしろい。メモリアル関連では、生誕200年を迎えたリスト... ハフが弾く、リストのピアノ協奏曲(hyperion/CDA 67824)には、おもいっきり楽しませてもらった。いや、クラシックは、それぞれの時代のエンターテイメントだった!ということを思い出させる快演に、クラシックももっと素直に楽しむべき!なんて、思いを新たにする。さて、例年、ピリオド贔屓なところがあるのだけれど、2011年はちょっと違ったか?モダンが巻き返している?単にモダンへと興味が向いているのか?12タイトルを選んでみて、興味深い事態。ピリオド贔屓に変わりはないし、ピリオドがおもしろくなかったわけではないのだけれど、モダン・シフトだったかと、ちょっと感慨。そして、何より、なかなかに濃密な12タイトルで、どれも聴き応えは並々ならぬものがあった。が、他にもすばらしいアルバムはいろいろあって、ちょっとこの12タイトルから外れてみる...

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2011年、最も驚かせてくれた1枚。が、ゴットリーブの弾くオブホフのピアノ作品集(SISYPHE/SISYPHE 010)。12音技法の発明というと、シェーンベルクのイメージがすっかりあるわけだけれど、そのシェーンベルクとは全く違う場所で、シェーンベルクよりも早く、独自に12音技法に辿り着いていたオブホフという存在を知り、目から鱗... 何より、スクリャービンの影響下から出発し、フランス印象主義に触れて辿り着いたオブホフの12音音楽の魅惑的なこと!シェーンベルクの冷たい12音音楽とは一味違う感覚に、もっと作品を聴いてみたくなる。それにしても、まだまだ知らない音楽はいろいろあるなと... やっぱり興味は尽きない... クラシック...
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2011年、最も心を鷲掴んでくれた1曲。が、アッコルドーネのアルバム"FRA' DIAVOLO"(ARCANA/A 359)に収録されていた「サンフェディスタ党の行進」!19世紀初頭、ナポレオン支配下のナポリにおける反仏闘争のテーマ?なのかな?そのパワフルで、キャッチーなあたりが圧倒的で、ビーズリーを筆頭に、地中海文化圏ならではの男声アンサンブルの魅力がたまらなかった。で、しばらくヘヴィー・ローテーションでした。
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2011年、最も印象に残るパフォーマンス。が、リヒャルト・シュトラウスのブルレスケを弾いたアムラン!(hyperion/CDA 67635)。やっぱりこの人は凄い... と、今さらながらに感心してしまう。いや、凄いことは知っているけれど、この、ちょっと変な難曲(コンチェルトにしては短く、ティンパニがテーマを叩いてしまうほど活躍する... 何より、バーレスク... )を、これまでになくおもしろい作品に響かせて、エキサイティング!

そして、70タイトルを聴き、12タイトルを選んだ2011年、最も印象に残るアルバムは...
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バティアシヴィリの"ECHOES OF TIME"(Deutsche Grammophon/477 9299)。ショスタコーヴィチの1番のヴァイオリン協奏曲を弾く... それだけでも一筋縄ではいかないはずだが、そうした次元を軽く超越して、1枚のアルバムとして、見事なまとまり聴かせてしまう恐るべきセンス!相当にチャレンジングなことに挑みつつ、そういうことをすっかり忘れさせて、バティアシヴィリがソヴィエトの記憶の中から描き出す物語に、ただならず感動させられてしまう。ここまで周到に創り込み、なおかつ最高のクウォリティで聴かせる... そこには、クラシック離れした感覚があるように感じる。名曲を名演で... という、従来のシンプルな考え方では生み出し得ない、芸術の持つ力に、真の意味で迫ったアルバム。この先、10年を経ても、忘れ難いアルバム。

昨日、最寄りのタワー・レコードで"intoxicate"をもらって来る。
近頃は、立ち読みすらおろそかになりつつある『音楽の友』だったり、『レコード芸術』だったりするのだけれど、"intoxicate"に関しては、出た?となると、即、もらいに行く。フリーにしていつも充実した内容はとても魅力的。クラシックばかりでないあたりもポイント... で、まず読むのが濱田マリコラム「親子バトル」だったり... あの飄々とした親子成長記は、音楽そっちのけで楽しみにしていたり... なのだが、最新号では、池田卓夫氏によるパーヴォ・ヤルヴィのインタヴュー、パーヴォの"最後の一言"に、ガツンとやられてしまった。
「ともかくクラシック音楽が生き残るには、正しいことをやる。それぞれの時代の天才の遺産を繰り返し提示すること、長く埋もれ評価の機会を逸してきた作品群を再発見することを組合せ、長く通って下さる人々の忠誠心に応えていくしかありません」(intoxicate #97 p.9)
それは、今のクラシックに、とても、とても重く響く一言で、考えさせられる。いや、クラシックばかりに当てはまることではないのかもしれない。今の日本、世界... ありとあらゆる場面で当てはまることのように思う。世の中をガラっと変える魔法はなく、とにかく真摯に向き合う。正しいことをやる。それは、至極、当たり前のはずだけれど、この当たり前ができないのが、21世紀のジレンマ。って、話しが大きくなり過ぎたので、音楽に話しを戻しまして... 2011年を振り返って、今、クラシックは、音楽に対して真摯に向き合おうとしているのか?そんな機運を、そこはかとなしに感じたのだけれど... だからこそ、パーヴォの一言は、重くも、力強く響いた。リーマン・ショックに、ユーロ危機、行政改革で真っ先に矢面に立たされる芸術予算と、クラシックを取り巻く状況は一向に良くなる気配はない。しかし、そういう状況に振り回されず、こういう時だからこそ、音楽そのものを見つめる。パーヴォ的実直さを貫いた先に、クラシックはまた元気を取り戻せるのでは?

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