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ドビュッシーで、始める。 [2012]

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さて、3月です。雪、降ったばかりだけれど、何気に春めいて、新しい季節、到来なのか?
ということで、当blogも、遅まきながら、2012年を始めたいと思います。となると、7年目に突入?!我ながらビックリ。まさに今、書き始めた頃、2006年を振り返っているものだから... それから6年、あっという間のようで、遠くに感じる書き始めた頃... 否応なしの年月の経過に、妙にズッシリとくる感覚があって、変に慌ててしまう。そして、これからどうなるのだろう?書き続けられるのか?クラシックを聴き続けられるのか?社会は音楽を楽しむ余裕を維持できるのか?世界経済は?地球は?漠然とした不安に包まれる2012年、やっぱり終末はやってくるのか?なんて考えても始まらないので、ドビュッシーの生誕150年のメモリアルを祝って2012年をスタート!
まさにメモリアルを目指して進められてきた、ジュン・メルクル率いる、リヨン国立管弦楽団による、ドビュッシーの管弦楽作品を網羅するシリーズ、その完結編となる、豪華なソリストたちを招いての、協奏的作品を集めたvol.7(NAXOS/8.572675)を聴く。

ドビュッシーの管弦楽作品は、意外と少ない。一方で、ドビュッシーの生前から、作曲家の手を離れてのアレンジは何かと多い... というあたりを、丁寧に拾い集めての、7枚にもわたるドビュッシー管弦楽作品シリーズ。メルクル+リヨン国立管のこだわりの結晶というのか、より拡大されたドビュッシー像に、1枚、1枚、リリースされるたびに興味津々で聴いてきた。そして、その最後に、ドビュッシーの協奏的作品を持ってきたメルクル... いや、こういう括りで、一度、聴いてみたかった!そもそも、ドビュッシーの協奏的作品に触れる機会は極めて少ない。というより、どんな作品があるの?といった感じですらある。となれば、このシリーズ、最も興味津々で聴く1枚となったか。そこに、シリーズの最後を締め括るに相応しいゴージャスなソリスト陣!ピアノと管弦楽のための幻想曲(track.1, 2)に、ティボーデ!クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲(track.3)に、メイエ!と、レーベルの枠を越えて、フランスを代表するピアニスト、クラリネット奏者が並び。管弦楽とサックスのための幻想曲(track.4)に、ドワシー。ハーピストには欠かせないレパートリー、神聖な舞曲と世俗的な舞曲(track.5, 6)に、セソンと、注目のフランスの若手も起用し、多彩なソリストたちの演奏に触れることができるのも大きな魅力。
ということで、1曲目、ドビュッシー作品としては、ちょっと影の薄い、ピアノと管弦楽のための幻想曲。録音が無いわけではないけれど、どうも印象に残らない、若かりしドビュッシーの習作?印象主義を牽引してゆく前の、未だロマンティックを引きずったそのスタイル、サウンドは、後の代表作に比べてしまうと、つまらなさを感じてしまう。が、ティボーデの手に掛かれば、さり気なくも粋で... どこか斜に構えたドビュッシーならではのダンディズムがこぼれ出すようでもあり。19世紀の、ヴィルトゥオーゾたちが活躍した華麗な世界、ドビュッシーからすれば古臭い音楽が、ちょっと怪しげに薫り出し、いい具合にその後のドビュッシーのイメージと共鳴するようなところもあって、おもしろい。そうした、ドビュッシー音楽の鉱脈を巧みに掘り当て、それとなしに音にしてひとつに紡ぎ出すティボーデ... 古き良き時代の気分を、スタイリッシュに響かせることができるティボーデなればこその仕上がりは、さすが...
続く、クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲(track.3)では、ドビュッシーならではのトーンが繰り広げられ、そのトーンに、ばっちりメイエのやわらかなクラリネットがはまり、魅惑的!前半の、ふんわりしたあたりは、ちょっと映画音楽でも聴くような瑞々しさがあって、特に印象的。後半は、軽やかなメロディに乗って、メイエの妙技が光る!そして、3曲目、サックスと管弦楽のための幻想曲(track.4)... ドワシーの意外に渋いトーンに魅了されてしまう。それは、洗練されつつ深く落ち着いた響きで、何ともポエティック!そして、最後は、神聖な舞曲と世俗的な舞曲(track.5, 6)。セソンの繊細なタッチが、作品のアルカイックさをより引き立ていて、美しく。それでいて、この作品が持つ、独特なライト感が絶妙に活きて、瑞々しく、素敵。
しかし、多彩なソリストたちの饗宴!それぞれの個性が伸びやかにドビュッシーを彩り、それぞれにすばらしく。メルクル+リヨン国立管は、シリーズ最後にして、サポートに回ったわけだが、ソリストたちを引き立てつつ、その後ろで、このシリーズ、彼らならではの清廉なサウンドを響かせていて、卒なくすばらしい... こうしたスタンスが、ドビュッシーには、本当に新鮮だった。

DEBUSSY: Orchestral Works ・ 7

ドビュッシー : ピアノと管弦楽のための幻想曲 *
ドビュッシー : クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲 *
ドビュッシー : 管弦楽とサキソフォンのための幻想曲 〔オーケストレーション : ロジェ・デュカス〕 *
ドビュッシー : 神聖な舞曲と世俗的な舞曲 *

ジャン・イヴ・ティボーデ(ピアノ) *
ポール・メイエ(クラリネット) *
アレクサンドル・ドワシー(アルト・サクソフォン) *
エマニュエル・セソン(ハープ) *
ジュン・メルクル/リヨン国立管弦楽団

NAXOS/8.572675




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