SSブログ

二〇〇七、12タイトル/80タイトル。 [overview]

イタリアで豪華客船が沈没した。というより、横倒しになった。
この海難事故、大西洋に沈んだタイタニックに重ねられるわけだが、タイタニックの悲劇とは違うインパクトがある。ニュースで伝えられる、驚くほど巨大な船が横倒しになって、半分、海に浸かっている姿は、何とも形容し難い奇妙なもの... その姿を見ていると、今の世の中を象徴しているようで、何だか情けなくなってくる。無責任な船長は我先にと逃げ出し、浮かぶでもなく、沈むでもなく、焼け太りの巨体を横倒しにしたまま、ただただ波に洗われるだけ... まるで、我々が生きている「21世紀」の、辛辣過ぎるアレゴリーだ。それにしても、我々が乗っている大きく傾いた「21世紀」という船、グローバルの大海を彷徨う船は、あとどれくらい航海を続けられるのだろうか?目ぼしい船長は見つからず、強欲な航海士ばかりが暗躍している現状、もはや航海と言えるのだろうか?
さて、そんな船が傾く前、リーマン・ショック以前、2007年のリリースを聴き直し、そして振り返ってきたわけだが... クラシックはまだまだ元気だった。個性的で、おもしろいアルバムの数々。5年を経た今だからこそ、再発見し、それらは、今さらながらに刺激的だった。という2007年、最も印象に残るアルバム...
の前に、80タイトルを聴き直しての、12タイトルを選ぶ。


という12タイトル。魅力的なアルバムばかりだった...
いや、この12タイトルばかりでなく、収穫の多い2007年だったなと、改めて感じる。そうした中で、存在感を示したのが、harmonia mundi FRANCE。9タイトルを聴き、なおかつ、ここでは3タイトルをチョイス!単に、harmonia mundiが好き、ということもあるのだけれど、ロゴが変わる前(今より間違いなくいい!)の、レーベル名にまだ"FRANCE"が付いていた頃のharmonia mundiは、凄かった(もちろん、今も個性的で、なおかつ上質なアルバムを届けてくれてはいるが、かつてに比べると、やはり勢いは失われたか... )。ということで、まずは、2007年、最も印象に残るレーベルとして、harmonia mundi FRANCEを選びたい。
で、harmonia mundi FRANCEからの3タイトル...
2006年、モーツァルト・イヤー明けの2007年は、メモリアルの成果がディスクという形になり、実はモーツァルトが充実していた年。そうした中で、ヤーコプスによるモーツァルトが強い印象を残した。特に、「プラハ」交響曲!ヤーコプスから繰り出される、ノンストップな楽しさは、掛け値無し!それから、圧巻の『ドン・ジョヴァンニ』!ヤーコプスならではの濃密なドラマは、なかなか他には探せない。
1010.gif
1010.gifHMC901941.jpg1010.gif
そして、2007年、最も驚かせてくれたアルバム、シュタイアーとショルンスハイムが、キテレツ楽器で弾モーツァルト、"vis-à-vis"!チェンバロとピアノが合体してしまったという、何ともキメラな存在... だけれど、そのただならない構造から発せられるサウンドは圧巻!で、鳴らし切るシュタイアーとショルンスハイムの演奏も圧巻!
もちろん、harmonia mundiからのアルバムばかりではない...
聴き尽くした気でいた『春の祭典』を、まったく新しいものとして聴かせてくれたノットの驚くべき『春の祭典』。BCJによるバッハは散々聴いてきたけれど、それでもまたさらに斬新(ニュートラル!)なバッハを聴かせてくれたロ短調ミサ。クラシックの硬派なあたりを徹底して響かせたツェートマイアー・クァルテットによるバルトークとヒンデミットの弦楽四重奏曲。夢見るような、ピオーが歌うの"évocation"。スペイン・バロックのクールなエキゾティシズムが最高だったディアス・ラトーレのギターで聴くガスパール・サンス。中世イベリア半島にケルトを持ち込んで、不思議な音楽世界をヴィヴィットに展開したエドゥアルド・パニアグアのケルトのカンティーガ集。ブラスバンドでドイツ・リートを繰り広げてしまう。って、ありなの?!というフラヌイのシューベルト。突飛なくらいに壮大に、世界を包んでしまう(まさにワールド・ミュージック!)ゲッベルス。そして、2007年、最も印象に残るのは...
1010.gif
1010.gifBISSACD1566.jpg1010.gif
ダウスゴー+スウェーデン室内管による"Opening Doors"のシリーズから、ドヴォルザークの「新世界」!モダンとピリオドによるハイブリット、そして「室内」という規模、ダウスゴーのただならぬ音楽性が引き起こす、イメージの刷新... そうして見えてくる、ドヴォルザークという作曲家の本当のおもしろさ... いや、カッコよさ!誰もが知る名曲を、ここまで真新しいものとして響かせることができたのは、驚異!

さて、2007年を聴き直す... は、これにてお終い。けど、勢い、2006年も聴き直す?予定... そして、2011年の新譜を追うのは、もう少し続きます。

交響曲 | 管弦楽曲 | 協奏曲 | 室内楽 | ピアノ
オペラ | ヴォーカル | 現代音楽 | 古楽 | ボーダーライン上のエリア

1010.gif
1010.gif
1010.gif
1010.gif
1010.gif
1010.gif
1010.gif
1010.gif




nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。