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2011年、夏から秋を、振り返る。その前に... [overview]

何だか、"SAORI YUKI"が凄いことになっているらしい...
って、誰?童謡(以前に、歌謡界の大ベテラン)の人... と、何気に盛りあがる会話。で、ロイヤル・アルバート・ホールで歌ったというのだから、凄い。でもって、その"SAORI YUKI"を世界へと引っ張り出したのが、トーマス・M・ローダーデール。彼が率いるジャズ・バンド、ピンク・マティーニとのこと。いや、よくぞ見つけてくれました!それにしても、おもしろい組合せ... それでいて、はまってしまうおもしろさ... TPPに、ユーロ危機、今やグローバリゼーションはとんだ嫌われ者のはずだが、ここでは最良の形となって響いてくる。オークランドのレコード屋(ローダーデールが由紀さおりのレコードと出会う... )と、YouTube(由紀さおりをカヴァーしたピンク・マティーニの映像を、やがて由紀さおりが目にする... )が結んだコラヴォレーション。歌謡曲とジャズ。どこでどうつながってしまうかわからない、国境などない音楽というフィールドの自由さ、広がりに、感じ入るばかり。
そんなピンク・マティーニ&サオリ・ユキによる、1969年をフィーチャーするアルバム、"1969"をちらりと聴いてみたら、なんか素敵。"Wasuretainoni"なんていう、アルファベット表記がまたいい味を出していて。で、1969年、まだ生まれてない!けど、懐かしい。という不思議。それでいて、独特のチープ感、「昭和」というフレーバーは、国境を越えて世界にも訴え掛けるものがあるのか?まったく興味深い。
しかし、わからないものである。気のいい、おもしろいおばちゃん、くらいでいた由紀氏が、こういう形で、新たなブレイクを果たそうとしているのだから。いや、音楽なんてのは、こういう思い掛けなさ、奇縁のようなもので、ドンと新しい何かが拓けて... その思い掛けなさにこそ、可能性があるように感じる。そして、その可能性に触れて、音楽の魅力、というより音楽の魔法か... いや、素敵だなと、心から思える。で、クラシックにも、そういうのがあったらな... と、強引にクラシックへと話しを移しまして。前回、2007年にリリースに続き、2011年のリリースから、夏から秋に掛けて聴いた21タイトルを振り返る。

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並べてみて、気付く、NAXOSの多さ... こんなに聴いていたかと、改めて思う...
重箱の隅を突くマニアックなセレクションで、なおかつそれらを丁寧に追う仕事ぶり。メジャー・レーベルが成し得ないことを軽々とやってのけ、多様なクラシックの広がりを探検するならばNAXOSは欠かせない。そして、次から次へと繰り出されるシリーズにうっかりはまってしまうと、抜け出せないようなところがあって、結局、NAXOSのタイトルが増えてしまう。もはや、安いからNAXOSを聴くのではなく、このレーベルでしか聴けないから、NAXOSを聴く。グラミー賞を受賞して、注目されるアメリカの現代の作曲家、ドアティ。『エスタンシア』ばかりでない、ヒナステラのチェロ協奏曲は、興味深くも、刺激的な体験をもたらしてくれた。それから、メルクル+リヨン国立管のドビュッシーのシリーズ。ドビッュシーのオリジナルからは離れ、アレンジがメインとなり、もういいかな... と思いつつ、やっぱり気になってしまって、抜け出せない。そして、ヴァシリー・ペトレンコ+ロイヤル・リヴァプール・フィルのショスタコーヴィチの交響曲のシリーズ... 新奇さだけでない、クウォリティでも、今やNAXOSは凄い!
2011年にリリースされた、夏から秋に掛けて聴いた21タイトルで、最も印象に残ったのが、ショスタコーヴィチの10番の交響曲(NAXOS/8.572461)。安易なステレオタイプに流されず、21世紀という場所にしっかりと立ち、ショスタコーヴィチが生きた20世紀を冷徹に見据えるヴァシリーの音楽性に、震え上がるような鋭さを感じ... 恐いくらい... で、そのヴァシリーの指揮に、見事な演奏で応えるロイヤル・リヴァプール・フィル... NAXOSが、メジャー・レーベルの領域にすらあることを思い知らされる1枚。クラシックがどんよりとしている中で、このレーベルの縦横無尽の活躍は、当分、衰えることはなさそう。いや、希望の星かも。

もちろん、NAXOSばかりでない...
そうした中で、まず印象に残るのは、パッパーノ+サンタ・チェチーリア管による、ロッシーニ、最後の大作、オペラ『ギヨーム・テル』の全曲盤(EMI/0 28826 2)。まず、ありそうでなかなか無かった"全曲盤"の登場に歓喜し、さらに、その見事な演奏、歌に感服させられ... 何より、このオペラが、"序曲"だけではないことを思い知り... それでいて、序曲から名演!なのだから、もう... 見事の一言!メジャー・レーベルもいい仕事してくれます。それから、サヴァール+ル・コンセール・ナシオンによる、ラモーのオペラからの組曲集(Alia Vox/AVSA 9882)。ヴェルサイユのオーケストラを再現するゴージャスさに、ロココの時代のセンチメンタルが滲み、ただならず酔わせてくれる演奏。サヴァールならではのトーンで紡がれるラモーは、この秋、最高の贈り物となった。
他にも、ヒリアー+シアター・オブ・ヴォイセズが、器用にも、奇妙な"ゲンダイオンガク"を声で綴った、"STORIES"(harmonia mundi/HMU 807527)。ピリオドにして擬古典主義へと踏み込んだ、インマゼール+アニマ・エテルのプーランク作品集(Zig-Zag Territoires/ZZT 110403)は、その攻めの姿勢が堂に入って、まったくおもしろい音楽を体験させてくれた。そして、タローがピアノで弾くバッハのチェンバロ協奏曲集(Virgin CLASSICS/070913 2)。ピリオド主流となった今では、異端のモダンによるバッハ... だが、モダンのバッハのジューシーさに、ただならず魅了される。臆することなく幅広いバロックに挑んで来たタローだが、バッハが一番、似合うのかもしれない。

ということで、夏から秋に掛けて聴いたアルバムを振り返ったわけだが、さて、今年も2ヶ月あまり... そして、秋から冬へ... さらなるおもしろいアルバムに出会えたならいいのだけれど... クラシックを取り囲む環境が、どうなってゆくのか、余談を許さない状況が続くわけでして。心配してもどうにもならんのだけれど。




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