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秋から冬へ... ここで一区切り... [overview]

クリスマス・ツリーの話題を耳にして、何だかゲンナリする。
11月ですが、20℃を越えるでしょう... なんて、天気予報からは聞えてくるのに、クリスマスだなんて、ツイていけないよ... 何より、今から年末の話しをしなきゃならんのかと、抵抗感... 年末に向けて、加速度的に早まってゆく時間の流れがどうも苦手。で、クリスマス・ツリーの話題は、まさしく年末へ向けての加速スイッチで。そんなに慌てて時間を進めなくたっていいのに... 秋は、もっと、ゆっくり過ごしたらいいのに... というより、過ごしたいのに... と思っていたら、立冬。そう言えば、気温もそれらしくなってきたか?そこで、一区切り。
新譜を追う一方で、2007年を聴き直し中の2011年... ここまで、いろいろなアルバムを聴き直して来たわけだが、今、改めて、夏から秋に掛けて聴き直した、34タイトルを振り返る。

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旧譜を、改めて聴き直す。「2007年」というように、区切って、意識的に聴き直す。
何だか、妙なことをしているようにも感じているのだけれど、そうすることで、より見えてくるものがあって、新譜を追うよりおもしろい?なんても感じてしまう今日この頃。次から次へとリリースされるアルバムは、その時点で批評され、良し悪しが固定される。評論家の先生方の確かな耳で以って、きっちり批評されれば、いちいち旧譜まで振り返る必要など無い。それが、当たり前なわけだけれど、数年後、改めて聴き直されて、批評される機会があったなら、どうだろう?何か、おもしろいことになりそうな気がする。当blogの休止状態だった頃を穴埋めするために2007年を振り返る... という思い付きが、思い掛けなく聴き直すおもしろさを見出してしまって... 聴き直して、イメージの変わるアルバムに出くわす再発見が、思いの外、刺激的!

そんなアルバム... まずは、チェンバロとピアノが合体してしまった奇っ怪な楽器、ヴィザヴィを、シュタイアーとショルンスハイムが掻き鳴らす、"vis-à-vis"(harmonia mundi FRANCE/HMC 901941)。モーツァルトの連弾用のソナタを弾くのだけれど、そのキテレツなサウンドに中てられて... 何か、やたらうるさいような、そんな印象を受けるヴィザヴィだったのだけれど、改めて聴くと、モーツァルトが活躍した頃、ピアノという楽器の成長期、だからこそのアダ花的なサウンドが、実は現代には刺激的?つまり、現代的?とか思えて... 何気にクール。新奇なものに目ざといモーツァルトには、ぴったりなのかも。そして、キテレツさでさらに際立つのが、オーストリアの奇っ怪なバンド、フラヌイによるシューベルトのリート、"Schubertlieder"(col legno/WWE 1CD 20301)。大胆なアレンジを施して、ブラスが派手にシューベルトを歌うのだけれど、そこにシューベルトの真の姿を見出せたような... 聴き直して、俄然、興味深いものを感じてしまう。
というキテレツの一方で、地味というか... 正直なところ、あまり印象に残っていなかった、ヒムリシェ・カントライが歌うドイツのルネサンス、ルター派黎明期の讃美歌集、"Music of the Reformation"(cpo/777 275-2)。フランドルの派手なポリフォニーとは違う、まったく素朴なハーモニーの、何とも言えない温もりが、聴き直してみてツボに... ルター派の人々の、新たな典礼音楽を模索する手作り感が、かえって新鮮だったり。それから、そのあまりのストイックさに二の足を踏んでしまう、ツェートマイアー四重奏団によるバルトークとヒンデミットの弦楽四重奏曲(ECM NEW SERIES/476 5779)。やっぱり彼らのサウンドというのは、聴く者をはねつけかねないほどの厳しさがある。けれど、改めてそのサウンドに再チャレンジしてみれば、多少の心構えができていたせいか、その厳しさにも魅力を見出す。そして、ストイックに鍛え上げられたサウンドが奏でる近代音楽のビターな様は、ただならない。まるで座禅を組まされるような... 邪念が、一切、排除された緊張感... 緩んだ頭には、パシっ!と、警策をいただいたような、そんな感覚がある。
一方で、近代音楽にガーリーを盛り込んでしまうピアノ・デュオ、ブガッロ&ウィリアムズによる『春の祭典』(WERGO/WER 6683 2)。彼女たちのセンスが、近代音楽の金字塔に作用して、思わぬ表情を漂わせてしまうおもしろさ... 聴き直してみて再発見!何気にポップな『春の祭典』は、今、改めて新鮮に感じてしまう。ストラヴィンスキーも様々に読み解かれるのだなと、妙に関心してしまう。それから、世界を代表するトロンボニスト、クリスティアン・リンドベルイの、現代トロンボーン協奏曲集、"DEDICATED TO CHRISTIAN LINDBERG"(BIS/BIS-SACD-1638)。ベリオにクセナキスと、"ゲンダイオンガク"の伝説たちによる作品は、やっぱり、取っ付き難い?なんて思っていたが、改めて聴いてみれば、リンドベルイのスーパー・パフォーマンスが、それらを凌駕してしまって、取っ付き難さを忘れてしまう勢い... いや、おもしろかった!現代音楽はかくあるべき... なんても思う。
さて、時代をまた遡りまして、バロック期の死をテーマにしたアルバム、ヘンゲルブロック率いるバルタザール・ノイマン合唱団が歌う、"Lebenslust und Sterbekunst"(deutsche harmonia mundi/88697115702)。その仄暗さが、どうも重くて、また聴きたいと思えなかった1枚だったのだけれど、改めて聴くと、いや、その仄暗さ、重さが生み出すドラマティックさに、今さらながら魅了される。そして、改めての発見が、ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ!この人の何気にキャッチーな音楽がツボにはまる。いや、ドイツ・バロックも、本当にいろいろな作曲家がいる... つくづく大バッハばかりではないなと... とはいうものの、やっぱり大バッハである。バッハ・コレギウム・ジャパンのロ短調ミサ(BIS/BIS-SACD-1701)を改めて聴き直し、深くバッハを、音楽を、見つめるような、そんな境地に... BCJの魅力は、そのニュートラルさだと感じて来たけれど、改めてこのロ短調ミサに触れ、BCJのニュートラルさがあってこそ到達し得る境地に、感じ入ってしまう。最初に聴いた時は、そこまで思わなかったのに... 聴き直して良かった...

さて、最後に、以前と変わらず、やっぱりすばらしかったもの。
ヤーコプスによる『ドン・ジョヴァンニ』。アンサンブル・オルガヌムのテンプル騎士団の聖歌集、"Le Chant des Templiers"。スティレ・アンティコが歌う、イギリス、テューダー朝の時代の夕べの祈りの音楽、"Music for Compline"ノットの『春の祭典』。ジャルスキーが、伝説のカストラート、カレスティーニをフィーチャーする"THE STORY OF A CASTRATO CARESTINI"。ピオーが歌う、ショーソンからシェーンベルクまで、センスの良い歌曲集、"évocation"。それから、それから... と、切りが無いので、この辺にて...
いや、充実の34タイトル。おもしろかった。が、春から夏に掛けて聴き直した24タイトルを振り返っても感じたのだけれど、2007年のクラシックは、今よりもずっと濃かったなと... そう遠くもない4年前のことのはずなのに、この濃度の差は一体... そして、今、まさにユーロ危機。クラシックの本場がヤバい。となれば、クラシックのこの先への不安は、濃くなるばかりか。

2007年を聴き直す、春から夏に掛けて... 夏から秋に掛けて... 秋から冬に掛けて...




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