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秋は、クラシック... [selection]

秋めくどころか熱中症のニュースが続いたりして、調子の狂う9月前半だったけれど、秋分の日は目前... 気温も次第に下がり始め、やっと一息つけて、とうとう秋がやって来たか?と思ったら、ひどい台風がやって来て。台風もまた、秋なればこそだけれど、あの強風と雨には参ってしまう。が、通り過ぎてしまえば、何事も無かったように穏やかな夜に包まれて、虫がいつものように鳴き出している。そんな虫の音に耳を澄ましてみると、心なしか、台風が来る前よりも落ち着きが出たようにも感じたり... 気のせい?だとは思うのだけれど... あの強風と雨に引っ張られて、秋はしっかりとやって来ているなと、ちょっぴりしみじみしてみる。いや、それこそが秋か...
すると、クラシックが聴きたくなる!いや、秋こそクラシックな気がする(毎年、そんなことを書いているような気がするのだけれど... )。それも、濃い目の... これぞクラシック!という、コテコテ・サウンド。ということで、秋に聴きたいクラシックのセレクションの試み、10タイトル。

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最初の1枚は、コテコテ?とは、ちょっと違うのだけれど... ラモー...
ラモーが活躍した時代というのは、バロックの爛熟期。すでに次の時代のムーヴメントも生まれる中、ラモーの音楽は、フランスのバロックの実りの詰め合わせのよう。また、その豊かな響きに、フランスのバロックなればこそのセンチメンタルが滲み... サヴァール+ル・コンセール・デ・ナシオンのラモーの組曲集は、鮮やかな秋の色と、冬へと向かう寂しさが、さり気なく綴られ、印象的。まさに、秋への前奏曲...
弦楽器の深く柔らかな音色というのは、秋にこそしっくり来る気がする。そして、弦楽四重奏の親密さは、秋の落ち着いた風情にぴったりのように思う。そんな、秋を感じさせる弦楽四重奏... イェルサレム四重奏団のハイドンの弦楽四重奏曲集vol.2。彼らならではの艶っぽく、シックでもある響きが、ハイドンの音楽に思わぬヴィヴィットな表情を与え、古典派の枠を越えて、ビター・スウィートに仕上げる。そんな響きが、秋の気分を盛り上げる。
モーツァルト、最期の年、1791年をクローズアップするフライブルク・バロック管のアルバム"The Last Concertos"。シュタイアーの弾く27番のピアノ協奏曲と、コッポラが吹くクラリネット協奏曲。ピリオドの楽器だからこその、アンティークな響きが、モーツァルトの最期の年をやさしく包み、聴く者に温もりを感じさせる。少し肌寒くなる秋の頃には、そんな温もりがうれしかったり...
黄色に色付いた銀杏の落ち着いた佇まいが印象的な、フェルナーのピアノ、ケント・ナガノ+モントリオール響によるベートーヴェンの4番と5番のピアノ協奏曲集のジャケット。ベートーヴェンのピアノ協奏曲というのは、どこかで秋の風景に似ているのか?フェルナーのやわらかなタッチと、ケント・ナガノが生み出す洗練された響きが、しっとりとした秋の訪れを思わせて。華麗さとセンチメンタルの配分が絶妙。秋を酔わせてくれる。

さて、このあたりで、コテコテのクラシックを... 例えば、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。1楽章の、あのメランコリックにメローな、ロマン主義ど真ん中の音楽というのは、まったく以ってクラシック!である。そのあまりにクラシックなあたりに、普段ならば中てられるところだが、秋になると、どうも、理屈抜きに、そういう音楽に押し流されてみたくなる... この感覚は何なのだろう?メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲だけでなく、ショパンのピアノ曲などもそう。濃厚にクラシックを味わいたくなってしまう。
まず、シュミットのヴァイオリン、ライスキン+州立ライン・フィルの演奏によるメンデメスゾーンのヴァイオリン協奏曲のアルバム... メンデルスゾーンに留まらず、ブルッフの1番のヴァイオリン協奏曲までも収録されて、そのロマンちっく指数は×2。一方で、繊細なシュミットの演奏が、×2のロマンちっくを美しく仕上げて、濃いばかりでない瑞々しさが素敵!それから、ショパン... タローが名曲を惜しむことなく弾く、"Journal Intime"。コテコテ路線に、タローらしからぬ1枚のようだが、捉われることなく自由に弾き切るタローの姿は清々しくもあり、ショパンの魅力を改めて堪能させてくれる。

秋は、四季の中でも、最もドラマティックな季節かもしれない。鮮やかに色付いたかと思うと、その色を全て落とし、すぐに寂しさが漂い始める... その目まぐるしさに、どこか、心がザワつくようなところもあって...
ルコントの映画に、ブラームスの1番のピアノ四重奏曲が使われていたのが、印象に残っている。それだけ、ドラマティックな作品でもあるわけだが。ブラームスの作品というのは、アカデミックである一方で、そこはかとなくキャッチーであり、すっと人の心に入り込んで、いつのまにやら心を掻き乱されるような、印象的なものが多いように思う。まさに、映画で用いられる音楽なのかもしれない... そして、そのドラマティックなあたりに秋を感じてみたり... カピュソン兄弟と、コセ、アンジェリックというアンサンブルによる、ブラームスのピアノ四重奏曲集は、ピアノ四重奏の渋さと、フランス仕込みの一流アーティストたちの才気溢れるパフォーマンスが、ブラームスのドラマティックな音楽を、鮮烈に綴り、その鮮烈さに、心をザワつかせてみる。
さて、ドラマティック... を、もうひとつ。チャイコフスキーのバレエ『白鳥の湖』。ワーグナーに影響を受けた若きチャイコフスキーの、よりロマン主義的な響きが放つヴィヴィットさに丁寧に目を向ければ、このバレエにこびり付いたイメージを凌駕して、魅了されずにいられない。そのあたりを見事に描き出したプレトニョフ+ロシア・ナショナル管による『白鳥の湖』全曲盤。アグレッシヴなフィナーレの音楽、その悲劇へと押し流されてゆく感覚、そこで味わうカタルシスがたまらない!何より、悲劇は秋に合う?
さて、人生そのものがドラマティックだったマーラー。その人生を落とし込んだ私小説的交響曲の数々。その最後にして未完に終わった10番の交響曲は、どこか厭世的であり、死の先を見据えてすらいるようで... そして、ハーディング+ウィーン・フィルによるマーラーの10番の交響曲... そんなマーラーへのやさしさに溢れた眼差しが印象に残る演奏で。酸いも甘いも包み込んで、達観しつつ、どこか夢見心地でもあり、そこに不思議な心地良さを感じたり。そんな演奏に包まれれば、秋の夜長、つい、物思いに耽ってしまう。

最後は、クララと、シューマンと、ホリガー(オーボエの伝説にして、現代音楽界の異才... )による、現代からの異色のコラヴォレーション、"ROMANCENDRES"。クララの作品に始まり、ロマンティックなサウンドに彩られながら、ホリガーのビターなサウンドが入り込み... やがて亡霊のようにシューマンの姿が立ち上がる。シューマンを素材に、オーケストラとコーラス、そしてテープによって綴られるホリガーの『暁の歌』は、夢現を彷徨うよな感覚があって、秋の深まりに、独特のファンタジーを見せる。

それでは、よい夢を... 音楽とともに...




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