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二〇一〇、「裏」チョイス... 後編。 [overview]

2010年の「裏」チョイス... つづきである。
いや、本来、続けるほど取り上げるつもりではなかったものの、つい、あれも、これもとなってしまって。より個性的で、多少、灰汁も強い?言うなればマニアック?で、おもしろい!というアルバム、近頃、多い気がする。かつてのように、真っ当にクラシック、ではないあたりが刺激的で。また、そういうセンスを受け入れる雰囲気も今のクラシックにはあるのかもしれない。って、受け入れるのは一部だろうけれど... しかし、そういう部分こそおもしろい。明日から、表と裏、ひっくり返します!なんてことが起こったら、細りゆく音楽産業に埋没するクラシックは、大きなインパクトを放ち、状況を一変することすらできるのでは?なんて、思ってしまう。ま、あり得ないから、そういうトンデモ論を言えてしまうのかもしれないけれど...
という、余談はともかく、前編、4タイトルに続く、後編、5タイトル。

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演奏そのものは端正... だが、その構成が凝りに凝っていて... ピリオド弦楽四重奏団、リンコントロによる"QUARTETTI FUGATI"(Zig-Zag Territoires/ZZT 091003)。それは、ミステリー小説を読むような... は、ちょっと大袈裟かもしれないけれど、弦楽四重奏によるフーガの数々、そこにに籠められた謎を追っている間に、フーガの迷宮に迷い込んでゆくようなおもしろさがある。もちろん、物語性など皆無... なのだけれど、そう感じさせる雰囲気というか、独特の緊張感に、ゾクゾクさせられるものがあって。そもそも、フーガというもの自体が謎めいてもいたり。で。地味なようで、間違いなくおもしろい1枚だった。
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クラシックというものは、大人しく座って聴くものである。演奏する者もまたしかり。である。が、ベルリン古楽アカデミーは違った... 彼らは『四季』で、踊ってしまった... 踊るための『四季』を、演奏しながら... まったく想定外の展開に驚かされたダンス・パフォーマンスの後で録音されたベルリン古楽アカデミーの『四季』(harmonia mundi/HMC 902061)。これが、とにかくおもしろかった!どこか身体性が希薄なクラシックにあって、これほど身体性というものを思わせてくれる演奏は他にない!そういう演奏を目の前にして、クラシックの在り方を、改めて考えさせられる。タテノリで交響曲を聴け!なんては言わないけれど、クラシックも、もう少し、身体全体で音楽を聴くというようなことをしてもいいのかもしれない。
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ベルリン古楽アカデミーが踊ったなら、エベーヌ四重奏団は歌ってしまう... いや、21世紀、クラシックの音楽家たちは、驚くほど器用だ。そして、実にフレキシブル!だが、そういう姿勢に、クラシック・ファンがついていけてるかが心配なのだが... で、エベーヌ四重奏団による"FICTION"(Virgin CLASSICS/6286680)は、映画を大胆にフィーチャーしたアルバム。下手にクラシック風にやるのではなく、弦楽四重奏という機能をフルに使い切って、オリジナルを如何にコピーするか... というチャレンジングさが際立つ1枚。そして、そのチャレンジ、見事に成し遂げて、形にして、クール!
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エベーヌ四重奏団が映画ならば、フランスの合唱団、レ・クリ・ドゥ・パリは、ポップス!ブリトニーに、カイリーに、マドンナ... を、歌い切ってしまう"ENCORES"(Alpha/Alpha 888)。クラシックからポップス... というのは、今や潮流とすら言えるほどだが、クラシックの合唱でポップス?ちょっと想像が付かない。いや、クラシックがポップスにうっかり足を踏み入れてしまって、恥ずかしい姿を晒してる?なんて、多少、思っていたのだけれど、クラシックの合唱でもポップスは可能!というあたりを堂々と聴かせてくれる大胆さと、創意工夫に、感服!"Hung Up"なんて、本当にクール!
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最後に、バロック... だが、これが、エベーヌ四重奏団にも、レ・クリ・ドゥ・パリにも、まったく引けを取らないはじけっぷりで... それがまた、ヴィヴァルディのファゴット協奏曲というから驚かされた!アッゾリーニのソロで、イタリアのピリオド・アンサンブル、ラウラ・ソアーヴェ・クレモナで聴く、ヴィヴァルディのファゴット協奏曲集vol.1(naïve/OP 30496)。もはや、バロック・ロックなんていうシロモノではなく、ロックというか、ポップスというか、クラシックではないものとして、ヴィヴァルディを吹いてしまうアッゾリーニが圧巻!ファゴットというと、地味なイメージが付きまとうわけだが、この人の演奏に地味なんてあり得ない。一体、これは、何なんだ?!ちなみに、vol.1... となると、今後の展開に興味津々...




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