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二〇一〇、12タイトル/88タイトル。そして... [overview]

88タイトルを聴いた2010年、そして振り返って来たわけだが...
クラシックにおける2010年のリリースって、どうだったろう?と、考えずにいられない。昨年一昨年と比べてしまうと、活気が無かったような... メジャー・レーベルの体たらくは今に始まったことではないが、クラシックそのものの収縮が進んでいるようで、ちょっぴり不安にさせられる。ま、一ファンが、ちょっぴり不安になったところで、どうにもならんことはわかっているのだけれど... クラシックは、10年代を、どう切り拓いてゆくのだろうか?
賃金カット問題で揺れて来たデトロイト響が、今シーズンの残りのコンサートをキャンセルするとのこと。音楽を楽しむ!にしても、経済的な背景は付いて回る。個人的な経済状況も、世界経済も...
なんて書いていると、安っぽい経済アナリストになった気分で、微妙な気分。で、暗くばかりもなっていられないので、88タイトルを聴いた2010年。振り返っての12タイトル!


12タイトルを並べてみて、これで本当に良いのだろうか?もっと他に、すばらしいアルバムがあったのでは?と、ちょっと揺らいだりもするのだけれど。ま、そんなもんです、当blogは... と、開き直ってみる。
そして、2010年、最も印象に残るのは... ヘレヴェッヘ+シャンゼリゼ管による、マーラーの4番の交響曲(PHI/LPH 001)。ヘレヴェッヘ自主レーベルの記念すべき第1弾にして、マーラー・イヤーに相応しいマーラーの交響曲。だが、ピリオド・オーケストラで... というチャレンジングな1枚!特別な1枚でありながら、そういう気負いはなく... というより、気負うということを徹底して排して、マーラーですらなくなってゆくような、超越した姿を垣間見せるヘレヴェッヘ+シャンゼリゼ管のマーラー。それこそ、「ピリオド」の精神の結晶のよう。古い楽器のありのままを活かし切って、無駄な力が一切加わらない、スーパー・ナチュラルなサウンド。そこから生み出される、圧巻のメルヘンに驚かされる。そんな演奏を聴いていると、おとぎの国に迷い込んだような、不思議なトリップ感に包まれて、安らぎを与えてくれるようでもあり... 音楽を越えた体験ももたらしてくれる1枚。そして、ヘレヴェッヘの今後がますます楽しみになる!ブルックナーの交響曲のツィクルスも、是非、続行して欲しい!

さて、一通り振り返って来たわけだが、もうひとつ「脇役」というキーワードで振り返ってみたい。というのも、印象に残る脇役たちの存在が忘れ難く... まずは、カウンターテナー、ツェンチッチが歌うヘンデルのアリア集(Virgin CLASSICS/6945740)で、見事な伴奏を務めた、スイス、イタリア語圏のピリオド・オーケストラ、ファゾリス+イ・バロッキスティ。彼らのすばらしさは、今に始まったことではないが、その演奏に触れると、改めてそのすばらしさに感服させられる。バロック・ロックな路線を突っ走るようなことはないが、実にホットな演奏!何より、その演奏のクウォリティ... そろそろ、また彼らがメインになったアルバムを聴きたくなる。
ニケ+フラームス放送合唱団によるアルバム、"Music for the Prix de Rome"(GLOSSA/GCD 922206)で、久々にその演奏に触れた、伴奏を務めるジャン・フランソワ・エッセールのピアノも印象に残る... さすがはフランスのベテラン、コーラスの伴奏とはいえ、控え目ながらもフランスが匂い立つ響きに聴き惚れる。さり気なさの中で、存在感を示すあたりに、ドビュッシーのダンディスムを垣間見て、主役たちより魅力的。改めて、エッセールのピアノを聴いてみたくなる。それから、もうひとつ、コーラスのアルバムから... が、伴奏ではなくソロ。となると脇役か?とも思うのだけれど... フロリレジウムとアラカエンダル・ボリビア合唱団によるコラヴォレーション、"Bolivian Baroque"のvol.3(Channel Classics/CCSSA 28009)。その1曲目でソロ(派手なソロ・パートではないのだが... )を歌っているアルト、アンヘリカ・モンヘの声が、どうも耳に残って... ボリビアのコーラスのメンバーのひとりとしてこのアルバムに参加しているのだけれど、印象に残るナチュラルな声。というかオーガニック?深く落ち着いた表情を見せつつ、何気ない雰囲気に、存在感があり、魅惑的。きちっとその歌声を聴いてみたくなる。で、再び、どこかで彼女の名前を目にしたら嬉しくなるだろうなぁ。
さて、「脇役」ということはちょっと置いといて... エベーヌ四重奏団のチャレンジングなアルバム、"FICTION"(Virgin CLASSICS/6286680)で、「オーバー・ザ・レインボウ」を歌ったナタリー・デセイが、思いがけなく魅力的で、聴き入ってしまう。コロラトゥーラを軽やかに歌うデセイもいいが、スタンダード・ナンバーをふんわり歌うナタリーも素敵。ルネ・フレミング、アンネ・ソフィー・フォン・オッターと、クラシックを代表するプリマたちが、躊躇することなくポップスなどを歌い始めて、なかなか興味深い今日この頃なわけだが、エベーヌ四重奏団に誘われて、1曲... ではなく、デセイとしてのアルバムも出すべき!

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