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二〇一〇、やや無謀?けど振り返る... [overview]

さて、2010年を振り返る。
で、これが、毎年、楽しみ!一枚一枚に追われていた頃は、結構、必死。けど、それらを俯瞰して、どれが一番おもしろかっただろうか?と、いろいろ思いを巡らすのは、ワクワクさせられる。権威主義的なクラシックを、一段高いところから、ちょっと偉そうに見渡してみる、密やかな悦び?
ということはさておき、88タイトルを聴いた2010年... 昨年、一昨年に比べると、切り詰めて(ダラダラと枚数だけを稼ぐのもね... いや、お財布との相談が大きかったのだけれど... )みたのだが... それでも、かなりの数になって、ちょっとクラクラくる。一方で、ここからクラシックの2010年を振り返ろうというのは、やや無謀?振り返ってみて、古楽、室内楽のアルバムをあまり聴いていなかったことを知り、何となくピリオドに偏り気味でもあって... 微妙に中途半端?かもしれないが、あまりグダグダと考えずに、振り返ってしまう。
まずは、交響曲、管弦楽曲、協奏曲まで...
まず印象に残るのは、それぞれのツィクルスの行方...
盛りだくさんだったガーディナー+ORRによるブラームスのツィクルス。その最後を飾った4番の交響曲(Soli Deo Gloria/SDG 705)。ガーディナー+ORRらしい、鋭いエッジでブラームスを捉えて、ツィクルスを鮮烈に締め括ったわけだが、こういうガーディナーをもっと聴きたい!一方で、ブラームスのツィクルスを始めたヤング+ハンブルク・フィルによる1番の交響曲(OEHMS/OC 675)。良い意味でのコテコテ感がたまらなく、今後の展開が楽しみに。それから、アントニーニ+バーゼル室内管が進めるベートーヴェンのツィクルス。その第3弾は、「運命」と「田園」(SONY CLASSICAL/88697648162)。前作、少々、大人しくなってしまった帰来もあったが、バロック・ロックを打ち立てたアントニーニならではのテンションが戻って来ての第3弾は、エキサイティング!
で、忘れてならないのがマーラーの生誕150年... マーラーの交響曲がいろいろリリースされて、なおかつ印象に残るものが多かった中で、異彩を放つジンマン+チューリヒ・トーンハレ管によるツィクルス。10番までがリリースされて... そこで聴いたのが「千人の交響曲」(RCA RED SEAL/88697579262)。その第2部のナチュラルさは、マーラーの音楽に現代に通じる感覚を浮かび上がらせて、クラシックだからこその古びたトーンは、ところどころ消えてしまい、鮮烈。マーラーのイメージは、まだまだ広がるのかもしれない...
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その広がりの先に、違う次元へとジャンプしてしまったマーラーが、ヘレヴェッヘ+シャンゼリゼ管による4番の交響曲(PHI/LPH 001)。自主レーベルを立ち上げての第1弾がマーラーの交響曲?ピリオド界を代表するマエストロの新たなスタートが、マーラーということに驚かされたわけだが、その内容はさらにさらに驚くべき音楽!ただならずメルヘン!どこか自嘲的で、シニカルな表情すら浮かべるマーラーの音楽に、こういうピュアなメルヘンを見出すとは... ピリオド楽器ひとつひとつの魅力を丁寧に編んで生まれるメルヘンのインパクトは大きく、ただただ惹き込まれるばかり。
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さて、ダウスゴー+スウェーデン室内管による"Opening Doors"のシリーズは、毎回、刺激的な体験を届けてくれる。で、2010年はシューベルトの「未完成」と「ザ・グレイト」(BIS/BIS-SACD-1656)を聴かせてくれたのだが、ただただカッコ良かった!交響曲、なんていう勿体ぶったスタイルも、ダウスゴー+スウェーデン室内管ならば、カッコ良くあり得るという衝撃!ところで、"Opening Doors"のシリーズは続行?最新盤は、ブルックナーの2番の交響曲(BIS/BIS-SACD-1829)ということで、これも聴かねば...
まず、2010年、管弦楽曲のカテゴリーで大きなインパクトを与えてくれたのが、プレトニョフ+ロシア・ナショナル管によるチャイコフスキーのバレエ『白鳥の湖』(ONDINE/ODE 1167)。と言っても、極めて個人的な話しなのだが、『白鳥の湖』の全曲盤を初めて聴いた。で、思いの外、いい曲だった。いや、こんなにもいい曲だったとは... この作品にどうしてもまとわりつくステレオタイプのせいとはいえ、これまで聴かなかったことを反省。で、このステレオタイプ、絶対に払拭されるべき!それこそ"Opening Doors"のシリーズや、ケント・ナガノ、ルイージ、大胆にミンコフスキ+LMdLあたりでも、取り上げたら、かなり刺激的なものを聴かせてくれそう。
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そして、最も印象に残る1枚が、サヴァール+ル・コンセール・デ・ナシオンによるルイ15世の時代のパリの音楽シーンをクローズアップする"LE CONCERT SPIRITUEL"(Alia Vox/AVSA 9877)。イタリアのコレッリ、ドイツのテレマン、フランスのラモーと、幅広いバロックを取り上げながら、絶妙にフランスの洒落た気分でまとめ上げる。丁寧かつ洗練されていて、バロックでありながら、優雅なフランス趣味がそこはかとなく漂う1枚は、魅了されるばかり。
フランス趣味からガーシュウィンを捉えたならば... ティボーデのピアノによるラプソディー・イン・ブルー、ピアノ協奏曲... ガーシュウィンのアルバム(DECCA/478 2189)。これが、おもしろかった!オルソップ+ボルティモア響という生粋のアメリカ人たちを伴奏に迎えながら、あまりジャジーに傾かない(もちろん、ジャズの古典であることは間違いないのだけれど... )。ジャズというよりは近代音楽?ガーシュウィンが生きた時代、クライスラー・ビルのアール・デコを思わせるテイスト?ファッショナブルなティボーデならばこその、これまでとは一味違う仕上がり... が、印象的だった。それから、ウェイスのピアノによるヴォーン・ウィリアムズのピアノ協奏曲(NAXOS/8.572304)のヴィヴィットさ、ダントーネ+アカデミア・ビザンティナによるハイドンの協奏曲集(L'OISEAU-LYRE/478 2243)の伊達っぷりが最高だった。
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そして、最も印象に残るアルバム... まずは、イル・ガルデリーノによるベンダ兄弟による協奏曲集(ACCENT/ACC 24215)。18世紀、バロックから古典派の過渡期に活躍したベンダ兄弟だが、過渡期だからと時代に埋もれさせないイル・ガルデリーノのすばらしい演奏があって、過渡期なればこその魅力を余すことなく引き出す。で、そのイル・ガルデリーノの演奏が本当にすばらしい!ピリオド界を背負って立つ名手たちが結集していれば当然でもあるのだが、センシティヴかつアグレッシヴという絶妙なバランスがたまらない。今、最も注目したいピリオド・アンサンブルだ。
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さて、"試演版"という特殊なスタイルで取り上げる、スホーンデルヴルトのベートーヴェンのピアノ協奏曲のシリーズ。その最後を飾った1番と2番のピアノ協奏曲(Alpha/Alpha 155)も印象深く。また、"試演版"によるシリーズの完遂に感慨も... 聴き知った5つのピアノ協奏曲が、まったく新鮮に響き出す驚き!驚きつつ、アンバランスなほどタイトに切り詰められたアンサンブルが、思わぬヴィヴィットさを生み出し、そのヴィヴィットさに乗って、スホーンデルヴルトならではの独特の有機的なタッチが、作品からただならない親密感を引き出す。それら、シリーズ、最後のアルバムで、さらに極まった観も。

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