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アンビエント・クラシカル・ミュージック。による、ヒーリング。 [selection]

体調を崩す... とうとう夏バテが形となったか。そんな感じ。
台風が通り過ぎて、酷暑も過ぎ、以前よりも過ごし易くなった分、気が緩んだのだろうか?体調を崩しながらも、ほっと一息。で、夏バテという状況に、妙に納得しているようなところもあったり。あれだけ暑かったんだもの... とはいえ、間違いなくパワー・ダウン。で、夏バテは耳にも来ているようで、どうも音楽を聴くのが億劫に。そんな時に聴く音楽... 耳にやさしい、アンビエントなサウンドを求めて、ア・カペラのコーラスが歌うアルバムを、いろいろ引っ張り出して、何となく流してみる。聴くでもなく、聴かないでもなく。そんなたゆたう感覚が、夏バテの耳には心地良く...
ということで、夏バテに効く... いや、夏バテに「聴く」音楽、アンビエントなア・カペラを。どうでしょう。アンビエント・クラシック?そんなセレクション。

クラシックは、癒し系... なんてイメージが、一般にあるようだけれど、そういうステレオタイプに、クラシック・ファンとしては、大いに抵抗感を持つわけでして... しかし、間違いなく癒される音楽もあるのがクラシック。改めて「癒し系」という言葉を振り返ってみれば、それは、「クラシックっぽい... 」も含んでの、よりニューエイジ的な、アンビエントなイメージがあるのかもしれない。
ゼロ年代の初めだったか、クラシックからニューエイジまで、境界を作らずに癒しの音楽を集めたコンピレーション・アルバムが、いろいろヒットしたことが思い出される。で、その、「クラシックっぽい... 」も含んでの、癒し系なクラシックに、クラシック・ファンとしては、イラっとさせられた。ジャンルの枠組みに固執するのは、ナンセンスかもしれないけれど、クラシック・ファンからすると、癒しのイメージに最も当てはまるであろうアンビエント・ミュージックと、クラシカル・ミュージックは、似て非なる、別物。一緒くたにされては、たまらない。なんて思いが、強くある。ような。それって、21世紀的には反動的かも?だけれど... しかし、そうして線を引いて、アンビエント・ミュージックと、クラシカル・ミュージックを並べてみれば、「クラシックっぽい... 」ばかりでなく、「アンビエントっぽい?」も、あるのかも... いや、ありなのかも... ちょっと引いて2つのジャンルを見つめれば、興味深い部分も見えてくる。
そこで、癒し系... な、クラシックで癒されるセレクション。「アンビエントっぽい?」は、新たなムーヴメントに成り得る?いや、そんな視点もおもしろいのかも。と、近頃、思いまして。

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クラシックで、「アンビエントっぽい?」というと、ペルトの作品が思い浮かぶ。で、そういう「アンビエントっぽい?」というセンスが、現代音楽の世界に、ひとつの流れとして、存在感を増しているような気がする今日この頃。難解上等"ゲンダイオンガク"にあって、ペルトはかつて異質であり、かつ新鮮だったわけだが、21世紀、ゼロ年代も経てしまえば、リアルな現代が求める現代音楽として、それはひとつのスタイルになっているように思う。そこで、ペルト(b.1935)とは同世代、同じく、旧ソ連の出身、シルヴェストロフ(b.1937)による、ア・カペラのコーラスで歌われる教会音楽集(ECM NEW SERIES/4763316)... 現代音楽にカテゴライズされるわけだけれど、何とも判別不能の不思議音楽。いや、これぞアンビエント!癒される...
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ラフマニノフほど、ステレオタイプがしっかりとしている作曲家はいないように思う。一方で、ラフマニノフこそステレオタイプを裏切ってくれる作曲家もいないのでは?と、近頃、強く感じる。時折、ジャジーな臭いがして来て... 時折、ミニマル・ミュージックの臭いすらして来る。そして、「アンビエントっぽい?」、ニューエイジ的な臭いがして来るのが、聖ヨハネス・クリュソストモスの典礼(ONDINE/ODE 1151)。シルヴェストロフ同様に、東方教会の教会音楽となるわけだが、この、「東方」というセンスが生み出す独特のトーンが、「西方」のクラシックに慣れた耳には新鮮に聴こえるのか?ペルトも含めて、旧ソ連という地域性が、「アンビエントっぽい?」という感覚を生み出すとしたら興味深い。何より、その清廉としたハーモニーに癒される...
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リヒャルト・シュトラウスの音楽は、「アンビエントっぽい?」というには、ロマンティック過ぎて、エモーショナル過ぎるように思うのだけれど、これがア・カペラのコーラスとなると、意外に「アンビエントっぽい?」から驚いてしまう。そんな、リヒャルト・シュトラウスのア・カペラのコーラスを聴いていると、アンビエント・ミュージックの源流は、ロマンティックな音楽なのだろうなと再確認させられるようなところもあり... 「アンビエントっぽい?」と、「クラシックっぽい... 」の近さ(表裏一体なのかも... )が、おもしろい。何より、リヒャルト・シュトラウスの掛け値なしのロマンティックさと、ア・カペラのクリアでやわらかなハーモニーが織り成す美しさは、ただならず。そうして響く「アンビエントっぽい?」サウンドには、癒される... それにしても、人の声って、美しい!

さて、話しは変わりまして、最近、気になること... グレゴリオ聖歌といった、やはり「アンビエントっぽい?」ア・カペラに、何か違うサウンドをトッピングするのが、流行っている?いや、そんなアルバムが、派手に目立つことはなくとも、チラチラと視界に入ってくるようで、気になる。そうしたアルバムの草分け、ヒリアード・アンサンブルとガルバレク(サックス)によるコラヴォレーション、『オフィチウム』(ECM NEW SERIES/445 369-2)の続編、『オフィチウム・ノヴム』(ECM NEW SERIES/4763855)が、とうとうリリースされ... 昨年、リリースされた、ヴォクス・クラマンティスと、ウィークエンド・ギター・トリオ(エレキ・ギターによる)のコラヴォレーション、『ステラ・マトゥティナ』(MIRARE/MIR 064)の、美しい声のハーモニーと、エレクトリックの鮮烈なサウンドの相性が、意外に絶妙で、深く印象に残っている。
で、今度は、気鋭のパーカッショニスト、マーティン・グルビンガーが、かつて録音されたグレゴリオ聖歌に、パーカッションでリズムを加えてしまうという、チャレンジングなアルバム、『ドラムス・オン・チャント』(Deutsche Grammophon/4778797)を、まもなくリリースするとのこと。ある意味、どの楽器が来ても、新鮮で刺激的だとは思うのだけれど、グレゴリオ聖歌にパーカッションは想像していなかった... だけに、どんな仕上がりになるのか、今から楽しみ!「録楽」というスタイルも、大いに気になるところ。
そして、これから、こういう試みが増えてゆくのだろうか?ジャンルの枠組みを揺るがしつつの、異色のコラヴォレーションは、クラシックの新たな展開を導く?いや、21世紀クラシックの模索というのか、新しいクラシック像がどういうものになってゆくのか、というあたりが、とても興味深く、刺激的。だけれど、新しくなる必要など無いと考えるのもクラシック・ファンの性でして...
難しいのだろうなぁ~




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