車はあくまでも...

梅雨が明けたら夏！って、当たり前の話しなのだけれど、暑い... こうも変わるか？ってくらい、梅雨空はどっかに行ってしまって。そうなってしまうと、雨雲も何だか恋しいような。
という3連休、東北道を北上する。夏休みへの序奏として、連休を楽しむ！だったらいいのだけれど、法事。ってなあたりが、若干、シケてはいるのだけれど、夏空の下、高速を疾走すれば、気分はヴァカンス。で、そんなドライヴに音楽を... ということで、どのCDを聴こうかと、出発前に変に迷ってしまう。聴きたい音楽と、ドライヴの音楽は違うのかも？と、ふと思い。そもそも、クラシックとドライヴって、どうなのだろう？なんて、考えてしまう。ま、相変わらず、どうでもいいようなことを考えているのだけれど、改めて見つめてみるとおもしろいのかも。そして、みんなは、クラシック・ファンは、どんな音楽を聴くのだろう？

クラシックでドライヴ... というようなコンピレーション、意外にいろいろとリリースされている。で、そうしたコンピレーションの傾向に、ドライヴに最適なクラシックのヒントはあるのかな？と、ちょこっと調べてみる。ま、クラシック系コンピレーションにありがちな、名曲集的なユルめのものが多いのかもしれないけれど。そうした中で気になったのが、『くらしに、クラシック。R30 - ドライブのおともに。』(ポニーキャニオン／PCCL 00591)。

日々の生活における様々なシーン、それぞれの年代に合わせてチョイスされた、くらしに、クラシック。のシリーズは、その視点が、結構、おもしろい。例えば、家事をこなすために、テンション高めの音楽を集めてみたり... 意外とリアルにクラシックと向き合っていて。で、気になるドライヴのおとも... に選ばれた作品なのだけれど、意外にも、どれもピアノ曲でメローなものばかり(サティのジムノペディや、ドビュッシーの夢、ショパンのノクターンなどなど... )。必ずしもスピードとは比例しない雰囲気でまとめているあたりが、気になるところ。いや、変にテンションが高いのも問題か... スピードを煽るようで。2004年に、RACファウンデーションが、ドライヴに最も危険な曲として「ワルキューレの騎行」を選んでいたりすることを考えれば、ゆったりとした音楽の方がドライヴには向いているのかもしれない。あるいは、流れてゆく風景の一方で、まったく違う時間が車内に流れるというのも、乙。なのかも。

ところで、東北道を北上しながら聴いた音楽は...
シュテーガーのリコーダーが、恐ろしいほどキレまくるテレマンのアルバム(harmonia mundi FRANCE／HMC 901917)。野外録音？！で、お祭り気分を盛り上げてくれる、ゼフィロによるヘンデルの『王宮の花火の音楽』(deutsche harmonia mundi／88697367912)。コセンコのフラウト・トラヴェルソにアルテ・デイ・スオナトーリがエッジの利いたサウンドで圧倒してくれるC.P.E.バッハのフルート協奏曲集vol.1(Alpha／Alpha 093)。それから、ファンダンゴにスポットを当てつつスペインとメキシコの音楽を並べてしまった、ラテン、バロックが炸裂するロス・オトロスによる"LOS HACHA"(deutsche harmonia mundi／88697026202)。ポリフォニーとはまた一味違う、ルネサンス期の音楽を集めて、21世紀流にアレンジしたリスレヴァンの"DIMINUITO"(ECM NEW SERIES／476 3317)。



クラシックが煮詰まる以前の、軽やかでノリのいい、キャッチーなサウンドがドライヴには合うのかなと... そんなチョイス。で、夏空の下、高速を走るには最高！狭い空の下、忙しない日々を送っていると、いつのまにやら心に澱が溜まってしまうものでして。軽やかでノリのいい、キャッチーなサウンドに包まれながら、疾走するというのは、ある種、洗濯機に入るような感覚かも？車はあくまでも、快適に暮らす道具... なのだけれど、音楽とともに乗れば、それは浄化装置にもなる。なんて、思ったり。で、クラシックとドライヴ、追及していくと、おもしろいテーマのように感じる。ような。ユルい名曲集ではない、ドライヴ用コンピレーションを編めたら最高かも。