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見上げてごらん、夜の、星々を... [selection]

夏至から七夕に掛けて、ライトダウン・キャンペーンというのをやっているのだとか... もちろん、CO2削減という大きな目標があってのことだけれど、電気を消して、夜空を見ようというのは、悪くない。そうした中、6月26日には部分月食(雲に覆われてしまって、見られなかったけど... )もあったり。また、小惑星探査機、はやぶさが帰還して、さらには小惑星イトカワの気体を採取したというニュースがあったり。小型ソーラー電力セイル実証機、IKAROSが、順調に宇宙空間をセイリングているというニュースもあった。タイムリーにも、宇宙関連の話題が多め?な、今日この頃。ならば、当blogも宇宙週間?
ということで、音楽に宇宙を見出したならば?と、ふと思う。振り返ってみれば、クラシックと宇宙は、意外と親密?ランドール教授グリーン教授による、宇宙に因む作品にも触れたばかり...
ということで、星空の音楽をセレクション(いや、ほとんど、思い付きなのだけれど... )。

宇宙を響かせるクラシック... と言えば、まずはホルストの『惑星』。まさに、宇宙的なセンスに充ち溢れて、飽きさせない作品なのだけれど、ホルスト自身は、天体としての「惑星」よりも、星占いとしての「惑星」をイメージして作曲したらしい... という話しを聞いて、ガックリ来たことがある。ま、賛否を呼んだマシューズによる「冥王星」が付け加えられたりと、今となっては完全に天体としての「惑星」のイメージが定着しているわけだけれど。そんなイメージをより濃くする、ラトル+ベルリン・フィルによる『惑星』(EMI/3 59382 2)が、なかなか興味深い。
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マシューズによる「冥王星」はもちろん、小惑星帯を描くサーリアホ作品や、準惑星ケレスを描くターネイジ作品も収録。現代の作品を加えてのリアル太陽系は、宇宙そのもののサウンドを思わせる。で、『惑星』+αの組合せが絶妙... ホルストによる宇宙のロマンと、現代の作曲家たちが捉える宇宙の神秘が見事なコントラストを描いて、それぞれをより引き立たせてもいる。さすがは、現代っ子(という年頃でもないけれど... )、ラトル!また、こういう試みを可能とするホルストの『惑星』に、ユニヴァーサルな大きさを感じてみたり。"Every day I listen to my heart... "なんて、歌詞を付けて、歌ったりしているし。
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さて、宇宙とクラシックを結び付けた記念碑(モノリスと言うべきか?)的作品、キューブリック監督の映画『2001年、宇宙の旅』を忘れるわけにはいかない。リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」に始まって、この映画のために作曲されたのでは?と思うほど映像とフィットするリゲティ作品の数々... さらには、ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「美しき青きドナウ」まで、絶妙過ぎるその選曲。『2001年、宇宙の旅』のサントラ(ソニーミュージック/SICP 2703)は、サントラにして、「宇宙」を巡る最高のコンピレーションにもなっているあたりが凄い。そんな、キューブリック監督のセンスというのも、凄い。
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『惑星』、『2001年、宇宙の旅』のように有名ではないのだけれど、是非(!)、取り上げたいのが、ケクランの夜想曲「星空に向かって」(hänssler/93.106)。天文学者を目指していたというケクラン少年に、宇宙へのきっかけを与えたという、19世紀、フランスの天文学者、カミーユ・フラマリオンにオマージュを捧げた作品。ケクラン・サウンドそのものが、どこかユニヴァーサルな魅力を放つわけだけれど、この「星空に向かって」は、タイトルの通り、少年が夜空を見上げながら、宇宙に胸を膨らませるようなファンタジックな空気に充ちていて、どこかキュンとなるようなところがある。窓辺から見上げる星空が、やがて壮大な宇宙へと広がってゆく感覚が印象的。
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ところで、時代を遡れば、興味深い人物がいる。自作の望遠鏡で、天王星を発見し、天文学者として名を残したハーシェル(1738-1822)は、本来、オーボエ奏者であり、作曲家だった。で、その音楽での仕事も、もっと注目されていいように思うのだが... 例えば、バーメルト+ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズによる交響曲集(CHANDOS/CHAN 10048)で聴く、前古典派的、彼の交響曲は、なかなか魅力的。「天文学者」というイメージもあるかもしれないけれど、どこか規則正しい天体の運行を思わせるようなハーシェルの音楽... ロココの時代のスウィートさとは一味違って、スタイリッシュ?どこか超然とした世界を見つめるような、18世紀にあって、他の作曲家にはない感覚が魅力的。やがて天文学へと至る感覚が、その音楽に現れている。ような。

改めて、クラシックにおける「宇宙」というものを振り返ると、おもしろいのかも。月に行ったんだか、騙されてるんだか... という、ハイドンのオペラ『月の世界』なんかも含めて、クラシックにおける「宇宙」への関心というのは、深さの差こそあれ、意外とバラエティに富んでいる。夜空の星々を描くものから、占星術からのインスピレーションやら。天文学が進み、天が神々の領域ではなく「宇宙」と認識されれば、宇宙そのものに迫る作品まで... また、際限のない世界、未だ謎めく世界としての「宇宙」は、形が残らない音楽という表現でこそ、しっくり来る部分もあるのかもしれない。




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