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2010年、春... マニアカル・クラシカル・ミュージックな楽しみ。 [overview]

さて、6月に入る。となると、2009/2010年シーズンも、そろそろ終わり... クラシックの世界もシーズン・オフとなる。近頃、コンサートやオペラに足を運ぶことは少なくなってしまったのだが、シーズン・オフは、やはり、何となく寂しい。一方で、来シーズンの予定がいろいろと出てきて、ワクワクさせられもするのだが。そんな、シーズン・オフも、きっと、あっという間に過ぎてしまうのだろう。気が付けば、新たなシーズンが開幕していて。開幕してしまえば、すぐに第九の季節... なんてことに、なってしまうのだろうなぁ。
で、音のタイル張り舗道。となって、3ヶ月を迎える。いや、まさに、あっという間。もっと、ユルく展開するつもりが、ここまで、息急き走って来てしまったか?この3ヶ月を振り返ると、結構、濃密だったなと... いや、単にマニアックなだけか?というあたりは、前々回、書いたのだけれど、今回は、その続き... マニアックな分、書き足りないこと、まだまだあったりでして。

2010年、春... 最も印象に残るアルバムとして、VocaMeが歌う、カッシアのビザンツ聖歌と、フロリレジウムの"Bolivian Baroque"のシリーズ、vol.3を挙げたのだけれど、全20タイトル、マニアックなラインナップゆえ、インパクトやら、興味深さに関しては、他のアルバムも負けておらず。
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そうした中で、まず、新鮮な初体験をもたらしてくれたのが、忘れ去られたソヴィエトの作曲家、ロクシーン、歌付き交響詩「悪の華」。社会主義リアリズムなんて、湿気たところを微塵も感じさせない、19世紀末、上流の退廃が、たまらなく薫るサウンド... とはいえ、こういうサウンドを、20世紀も半ばから後半にかけて生み出していたというのだから、時代遅れも甚だしいのかもしれない。しかし、やり切ってしまえば見事!21世紀となって10年、20世紀が過去となってしまえば、ロクシーンはクール!こういう作曲家が忘れ去られているとは、何ともったいない!
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もうひとつ、新鮮な初体験となったのが、リヒャルト・シュトラウスのア・カペラ!どうしても、巨大オーケストラの作曲家... というイメージが強いばかりに、ア・カペラのコーラス作品があるなんて、今まで気付かずにいた。のだが、その美しさと来たら、もう... ある程度、予測はしていたけれど、想像以上だったかも。で、ラトヴィア放送合唱団を招いての、エキルベイ+アクサンチュスの歌声は、なかなか素敵ではあったのだけれど、これを、ドイツの高機能室内合唱で聴きいたなら?そんな欲求にも駆られてしまう。
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それから、「エスタンシア」ではないヒナステラも、忘れるわけにはいかない。
ヒナステラの創作というのは、3つの時期に分かれることは知っていたけれど、その3期目、新表現主義の時代の作品に触れる機会というのは、なかなかない。そうしたところから初体験する、「ポポル・ヴー」、魔術的アメリカに捧げるカンタータは、強烈!若干、中てられつつも、最終的には、そのプリミティヴの炸裂に、呑み込まれてしまった。こういうのは、ライヴだと、きっと凄いんだろうなぁ~
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という一方で、やはり3期目の作品となるのか、ヒナステラが、カザルスにオマージュを捧げた作品は、実に凝った音楽コラージュを展開していて、ついつい聴き入ってしまう。このメロディ、何だっけ?と、なりながら、プリミティヴとは一味違う、ヒナステラの緻密さを見出すよう。当然ながら、ヒナステラは、「エスタンシア」ばかりではない!と再確認させられる思い。けど、やっぱり「エスタンシア」が好き...

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さて、まさにマニアック!だったのが、松平敬が歌う、"MONO=POLI"。「衝撃的な1人電脳合唱作品」ということで、その「モノ」な部分がクローズアップされたアルバムだけれども、そこに綴られた駆け足音楽史(ゴシック期から現代へ。そしてまた、マショーへ... )が見事。いや、勉強にすらなってしまいそう。それでいて「笑い」のツボも用意されているという、もの凄い構成。松平氏の思いの丈が、ぎゅっと詰まっていて、これは、驚きの1枚だった。
ところで、松平氏、フォルマント兄弟が生み出した「録楽」という言葉で、"MONO=POLI"を説明しているのだけれど、この「録楽」。クラシック以外の場では、ごく当たり前なわけで... クラシックというジャンルにおいても、かなり可能性を秘めているような... いや、そんな「録楽」を、もっと聴いてみたい!
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次は、ちゃんと伝統に則ったコーラス。ポール・ヒリアーとフラマン放送合唱団という、ちょっと意外な組み合わせで聴く、20世紀における、戦争と平和についての作品集。これも、何気に凝った1枚だった。ヴァイル、ヒンデミット、ストラヴィンスキー、ミヨー... というチョイスが、絶妙。個性際立つ4人の作風が、いい具合に共鳴し、歴史における20世紀の重さのようなものを再確認させられる。が、SACDとして聴くと、コーラスが随分と遠くに引っ込んでしまったように聴こえ、困った。空間に声が滲んでしまって、ストレスに。CDに切り替えれば、クリアにコーラスが聴こえてくるのだけれど... サラウンドなスピーカーだと、きちっと再生できるのか?
困ったついでに... ラルペッジャータの"VIA CRUCIS"、DVD付き限定盤。見事なブック形式に、CDとDVDが封入されているのだけれど、これがきつくて取り出せない!が、聴かねばならないわけで、強引に引っ張り出すわけだけれど、大なり小なり傷が付きます。音楽が楽しめる分、こういう「困った」には、ゲンナリさせられてしまう。

さて、最後に、ついヘビー・ローテーションしてしまうアルバムを2つ...
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まず、下手にスウィングしないティボーデのガーシュウィン、ラプソディー・イン・ブルー。それってどーなの?と、最初は思いつつも、かっちりスタイリッシュに仕上げられたガーシュウィンは、アール・デコな雰囲気で、ちょっとヤミツキ。ジャージーなテイストのクールさより、近代へのノスタルジーを感じさせるスタンスは、なかなか乙。
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それから、アントニーニとバーゼル室内管による、ベートーヴェンのツィクルス、待望の最新盤、「運命」と「田園」。強烈だった、彼らの第1弾、1番と2番の交響曲の、ラディカルなアグレッシヴさが、完全に戻って来たようで、聴くよりも、ノる感覚がたまらない。バロック・ロックの家元、アントニーニ的テイストが前面に出てのテンションの高さは、ある種、抗うつ剤?かも。で、こういうノリのまま、7番とか、演奏されてしまったら、もう... 今から、楽しみ!




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