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夢の光。 [2010]

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リヒャルト・シュトラウス... というと、とにかくグラマラスなオーケストレーション。交響詩にしろ、オペラにしろ、くらくらくるようなたくさんの音で織り上げられた、濃密なロマンティックの大波!そんなサウンドに有無も言わさず呑み込まれて、多少、あっぷあっぷしながらも、揺さぶられる悦びをは、たまらない。のだが、そんなリヒャルト・シュトラウスの、無伴奏合唱作品のアルバムがリリースされたと聞いて、ちょっと驚く。
フランスのお馴染みコーラス、ロランス・エキルベイ率いるアクサンチュスに、合唱王国、北欧から、ラトヴィア放送合唱団という強力な助っ人が加わって、リヒャルト・シュトラウスを歌う"a cappella"(naïve/V 5194)。ま、単に不勉強でもあるのだけれど、リヒャルト・シュトラウスにア・カペラというイメージがなかった分、興味津々な1枚。どんな感じなのだろうか?新鮮な思いで聴く。

リヒャルト・シュトラウスの、あのオーケストレーションがコーラスに置き換わったならば...
そんな想像を裏切らない、豊かなハーモニー!それでいて、たまらなくロマンティック!4人のソリストを伴う、混声16声部によるドイツ・モテット(track.1)、男声による「夢の光」(track.2)、再び、混声16声部による『2つの歌』(track.3, 4)という3曲。いや、どれも初めて聴かせてもらう作品ばかりで、新鮮。これまでとは違うリヒャルト・シュトラウスが体験できることは、とても刺激的だった。
それにしても、"16"という数字... ラトヴィア放送合唱団を助っ人に招いて、気合の入るエキルベイ+アクサンチュス。"a cappella"というタイトルの通り、オーケストレーションばかりでないリヒャルト・シュトラウスの魅力を、たっぷりと堪能させてくれる。その1曲目、リュッケルトの詩による、天地創造が成ってエデンを歌うドイツ・モテット... グラマラスなサウンドを誇るリヒャルト・シュトラウスだ、ある程度、予想はしていたが、その贅沢な響きに、まず酔わされる。無伴奏でありながら、この充実感... まるでオーケストラの伴奏があるかのよう。いや、人間の声のみによるハーモニーのなめらかさは、オーケストラでは味わえない悦びがあって。盛期ルネサンスのウルトラ・ポリフォニーが聴かせてくれる、無垢で光に充ちた、天国的かつ、圧倒的なハーモニーに、例えば、『ばらの騎士』のフィナーレや、4つの最後の歌で味わう、愉悦、夢見るような音楽が重なったなら... 聴いているだけで、ふわぁーっと、意識が飛んでしまいそうになる。また、4人のソリストと、16声部のコーラスの兼ね合いが、絶妙!個と群の、融け合うような表情がたまらない。
エキルベイ+アクサンチュスというと、マーラーのアダージェットをア・カペラで歌ってしまった"transcriptions"(naïve/V 4982)のインパクが大きい。クラシックをアカデミックの重力から解き放つような、センス、雰囲気が、大きな魅力だった... わけだが、その「癒し系」としてのブレイクからか、どこか「イロモノ」的なイメージもあるような、ないような。また、ドイツの高機能室内合唱や、合唱王国、北欧の透明感を前にすれば、必ずしもクラリティは高くないかもしれない。しかし、エキルベイ+アクサンチュスのセンス、雰囲気が、リヒャルト・シュトラウスのロマンティックには、しっくりくるようで... かえってフランスの色彩感が、ドイツ語のア・カペラを、ヴィヴィットなものにするよう。また、ヴィヴィットなロマンティックは、ただならず酔わせてくれる。こんな世の中だからか、厭世的な音楽に、余計、酔いが回りそう。

STRAUSS A cappella Latvian Radio Choir accentus Laurence Equilbey

リヒャルト・シュトラウス : ドイツ・モテット Op.62
リヒャルト・シュトラウス : 夢の光 『3つの合唱曲』 AV.123 より
リヒャルト・シュトラウス : 2つの歌 Op.34

ジェーン・アーチボルド(ソプラノ)、ダグマール・ペコーヴァー(アルト)
エリック・スコロッサ(テノール)、ロバート・グレアドー(バス・バリトン)
ロランス・エキルベイ/アクサンチュス、ラトヴィア放送合唱団

naïve/V 5194

リヒャルト・シュトラウス、生誕150年に、リヒャルトを聴く!
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