SSブログ

飛ぶ、バッハ。 [miscellany]

アイスクリームに醤油をかけると?みたらし団子テイストになるらしい...
あり得ないようで、あり得てしまう。あり得て、違う次元へとジャンプしてしまう、化学変化風コラヴォレーション。歴史と伝統に則った、クラシックにおいては、そうしたものはあり得ない。その名が示す通り、クラシックとは「保守」そのもの。というステレオタイプの一方で、コラヴォレーションの連続が、音楽史を編んで来た史実もある。
クラシック=西洋音楽史は、ヨーロッパという要素だけで、今に至ったわけではない。いつもいつも、ではなかったとしても、アイスクリームに醤油をかけるようなこと、実は、度々あってのクラシックだったりする。
そして、21世紀、ヒップホップでバッハを踊ってみれば...
それは、どんなテイストになるのだろう?

という試みが、ベルリンで始まったというニュース。が、かなり気になる。
ベルリンの新ナショナル・ギャラリーで踊られる、ヒップホップ・ダンス・グループ、FLYING STEPSによる"FLYING BACH"(右下)。オランダ人ではなくてJ.S.B. が、Flyingしてしまうとは... 大バッハの霊もさまよってしまいそうな21世紀。けれど、ジャージを着こんだ大バッハは、実は嬉しそう?鬘は絶対に手放さそうだが、21世紀の装いも、受け入れてしまえるのが、音楽の父の懐の深さか?
1010.gif
1010.gif1010.gif
バッハ・サウンドのストイックさが、ヒップホップのアクションへのストイックな姿勢と、意外にぴたりとはまりそうな気もして、恐いもの見たさ(?)もありつつ、かなり気になってしまう"FLYING BACH"。きっちり刻まれてゆくリズム、細かなパッセージ、時にアクロバティックな装飾音... バロックの音楽のスタイル、実は、ヒップホップのアクションと符合するところが多いのかもしれない。まったく違う次元にあって、良く似た存在?かなり無謀なことを言っているかもしれないけれど...
1010.gif
1010.gif
2006年、日本でも上演された、パリ、シャトレ座のプロダクション、クリスティ+レザール・フロリサンと、モンタルヴォ・エルヴュ・カンパニーによるラモーのオペラ・バレエ『レ・パラダン』(左)。コンテンポラリー・ダンスに組み込まれたヒップホップ・ダンスは、オペラに現代的なアクセントを加える... というレベルを越えて、18世紀と21世紀が、見事に共鳴し、また新しい、独特のヴィヴィットさを見せて、驚かせてくれた。
1010.gif
1010.gif1010.gif
そんなヒップホップで以って見せるラモーは、18世紀のフランスの作曲家による音楽が、何気にダンサブルであることを気付かせてくれて。また、フランス・バロック(ラモーのオペラ・バレエは、ロココと言うべきか... )の明朗なサウンドに乗って踊られるヒップホップは、より軽やかで、ポップでカラフルに仕立て直されて、新鮮。
フランス・バロックでヒップホップ... というと、アレクサンドル・タローの試みも新鮮だった。クープランの作品を弾いたアルバム"tic, toc, choc"(harmonia mundi/HMC 901883)のPV(右上)だったのか、タローらしさと、タローとしては意外なヒップホップが絶妙で、「フランス・バロック」という堅苦しさからクープランの音楽を解き放ち、より瑞々しいイメージを見せてくれた。

時には、まったく違うものとぶつけてみる... ぶつけてみて、その衝撃から、自らの存在を見つめ直す。とでも言うのか、クラシックとはいえ、後ろばかりを見ている必要はないのかもしれない。"FLYING BACH"にしろ、『レ・パラダン』にしろ、タローにしろ、ジャンルを越えて、18世紀と21世紀を対話させてしまうあたりが刺激的。多少、危ない橋でも、時には渡ってみれば、また違う視界が広がるかもしれない、クラシック。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。