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ベートーヴェン。 [2010]

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HMVのサイトで、クラシックにおける意識調査?みたいなのをやっていて... 興味津々。
で、いろいろな質問事項について、あれこれ考える。が、あれこれ考え過ぎて、結局、回答せずに終わる。
クラシック、好きです!いつも聴いています!とは言え、いざ自身にとっての「クラシック」とは?と、向き合ってみれば、妙に考え込んでしまったり(そこまでするほど大仰な質問事項でも無かったわけだが... )。理屈っぽいクラシック... けど、理屈抜きで聴いているクラシック。自身の考えのまとまらないあたりに、足下を掬われるような思いがして。普段、あまりに何気なく聴き過ぎているのだろうか?クラシック...
が、好きな作曲家は?に関しては、すぐに答えが出る。
ベートーヴェン。
妙なものばかり聴いてきての、あまりに捻りのない答えに、自身でも拍子抜けしそうなのだが、やっぱりベートーヴェン。というわけで(もないのだが... )、久々に聴く、ベートーヴェン。ティル・フェルナーの弾く、ピアノ協奏曲、4番と、5番、「皇帝」(ECM NEW SERIES/476 3315)。は、興味津々の1枚でして...

ECMからの、平均律、第1巻(ECM NEW SERIES/4760 482)が話題を集めたウィーンのピアニスト、ティル・フェルナー。昨年のインヴェンションとシンフォニア(ECM NEW SERIES/4766 355)に続くアルバムは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲、4番と、5番、「皇帝」。なのだが、ECMから、ベートーヴェンのピアノ協奏曲?というあたりが、かなり新鮮(シフによるピアノ・ソナタの全集はあるが... )。で、フェルナーをサポートするのが、ケント・ナガノと、彼が率いるモントリオール交響楽団というから、さらなる驚き!SONY/RCAという、華やかな場所がありながら、またECMからとは... もちろん移籍したわけではないだろうけれど... しかし、ケント・ナガノこそ、ECM的逸材のようにも思うのだが。だからこそのECM的キャスティング?いや、的を得たり!
さて、21世紀、ゼロ年代を経て、ベートーヴェンのイメージは、大なり小なりオリジナル主義というものをベースに成り立っているように感じる。ピリオド奏法、ベーレンライター版に始まって、賛否あっての盛り上がりも落ち着きを見せ、もはやオリジナル主義はモードではなく、ベートーヴェンの音楽そのものに取り込まれてしまったような印象を受ける。しかし、「潮流」というものと、さり気なく距離を取る(?)、フェルナー、ケント・ナガノという組合せ。時代遅れ... とは違う、独立独歩というテイストが紡ぎ出すベートーヴェンのピアノ協奏曲は、予想通りおもしろい。「潮流」と切り離されたところで奏でられるサウンドは、どこか無重力の中を自由に遊泳するようで。聴き知った曲であればあるほど、その自由である様がより魅惑的に感じられる。
ベートーヴェンという作曲家を完全に手中としたところから、余裕綽々で繰り広げられる演奏は、「名曲」である。という権威主義などものともせず、屈託が無い(フェルナーのタッチは、ほんのわずか、ジャジーに遊ぶような表情も見せて... )。また、「オリジナル」にしがみつかない感覚が、他では味わえない心地よさにつながるようでもあり。ベートーヴェンである、ということすら切り離されて、ありのままの美しい音楽と戯れるような、その独特さに酔わされる。一方で、フェルナーの音楽性の中に籠められたウィーンのDNAが、端々で顔を覗かせてもいて、それらは洒落たアクセントとなり、自由でありながら落ち着きも漂わせて。そこに、ナガノ+モントリオール響のニュートラルなサウンドが、ピアノの響きと絶妙に綾なし、ことの外、ギャラント!
クラシックにおけるニュー・エイジを探るECMが、クラシックど真ん中なベートーヴェンのピアノ協奏曲?と、驚きを以って手に取った1枚だったが、これが、ECM流のベートーヴェンのピアノ協奏曲か... その哲学は、フェルナー、ケント・ナガノという希有なアーティストを得て、見事、昇華されている。

LUDWIG VAN BEETHOVEN PIANO CONCERTOS 4 & 5
TILL FELLNER / OSM / KENT NAGANO


ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 Op.58
ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」

ティル・フェルナー(ピアノ)
ケント・ナガノ/モントリオール交響楽団

ECM NEW SERIES/476 3315




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