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非難解現代音楽。デモイィンジャナィ。 [selection]

「難解」な現代音楽。けど、「難解」でない現代音楽。
コネソン、フィトキンの新しいアルバムを聴いて、いろいろ考える。考えてしまう。そもそも現代音楽って何?とも思う。クラシックというジャンルの、ひとつのカテゴリーとしての現代音楽... しかし、クラシック=古典の中の現代とは、妙なパラドックスを抱えているわけで... さらに、クラシックと現代音楽の間には壁がある。連綿と続く西洋音楽史の連なりをクラシックとするならば、その延長線上に広がるのが現代音楽。のはずだけれど、どうも今の世の中、物事を単純に捉えたがる傾向があってか、クラシック、現代音楽の間には壁が作られてしまう。で、壁を境に「難解」であるか、ないか、という分かり易い構図が描かれがち。ならば、「難解」でない現代音楽というのは、いったい何者なのだろう?

が、何者だかわからないというのは、新鮮で、魅力的だったりする。で、そんな音楽を、ついつい追ってしまう。また、追ってしまえるほど、そういう音楽というのは、意外とあったりする。あったりしながらも、どうも目に付きづらい... のが、何とも歯がゆい。ステレオタイプで割り切れないあたりにこそ、現代の感覚にフィットするサウンドは、あるように思う。いや、この何者だかわからない... というあたりこそ、極めて「現代」のようにも感じるのだが。"ゲンダイオンガク"とはまた違う場所にある、「現代」の音楽?そんなイメージ?
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『コスミック・トリロジー』では、現代っ子視点で、過去に目を向けたコネソン。だったが、何者だかわからない... が炸裂して、現代っ子として「現代」を響かせた4年前のアルバム、"techno parade"(RCA RED SEAL/82876662722)のインパクトは、凄かった。何しろ、「テクノ・パレード」だ。まるで、クラブ・ミュージックのようなタイトル。けど、「テクノ」と名乗りながらも、アコースティックな楽器(パユのフルート、メイエのクラリネット、ル・サージュのピアノというゴージャスさ!)を用いて。けど、「テクノ」感を醸してしまう器用さ。自由さ。この囚われない感覚に共感してしまう。

ということで、非難解現代音楽。というものを探ってみたい。その入口として、ポスト・ミニマルな作曲家たちに着目。21世紀、「難解」でない現代音楽の核となるのか... ミニマル・ミュージックの心地よいリズムに導かれつつも、ミニマル・ミュージックのストイックさからは離れ、ダイナミズムさ、ドラマティックさをしっかり盛り込んで、「難解」な現代音楽のステレオタイプをクールに、時にポップに裏切ってみせる。そんな彼らの現代っ子感覚こそ、ジャスト現代な音楽と言えるのかもしれない。そんなアルバムの数々を聴き直しつつ、振り返る...

非難解現代音楽。デモイィンジャナイ。ポスト・ミニマル編...
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そして、世界初録音... 久々に触れるサーキットの感触はどうであったろうか?ストット、小川による2台のピアノが疾走するサーキット、初演の危なっかしさは消え、落ち着きすら漂い、ちょっと調子が狂う。こんなだったっけ?しかし、興奮の去った今だからこそ見えてくるものは多々あって、改めてフィトキンの音楽に興味深いものを感じる。ライヒ流のストイックなミニマルから、ジョン・アダムズ的なポスト・ミニマルへと展開してゆく出だしは、何だかミニマル・ミュージックの歴史を追うようでもあり、 続きを読む...
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まず、ラングのセンスに、してやられてしまう。アンデルセンの童話『マッチ売りの少女』の物語に、「受難」を見出すラング... 受難曲として、『マッチ売りの少女』(track.1-15)を紡ぎ出す。その取り合わせが、おもしろい。そこには、イエスの奇跡に飾られた本来の「受難」より、よっぽど現代に訴えてくるものがあって。21世紀、世界経済の危機的状況を見渡せば、貧しい19世紀の少女の物語に、妙なリアリティが滲む。で、その編成もまた、この経済状況を反映してか、より経済的? 続きを読む...
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そうしたオペラを、シンフォニーに編み直したのが、ドクター・アトミック・シンフォニー(2007)。そこには、オペラのようなダイレクトなメッセージはないものの、常に社会と向き合うとするジョン・アダムズの強い思いが滲む。1楽章、"THE LABORATORY"冒頭の、ブラスによる、ファンファーレなのか、警報のサイレンなのか、不安感を煽るようなサウンドに始まり、ただならず印象的。2楽章、"PANIC"(track.2)では、オッペンハイマー博士が核開発を進めていた頃(1940年代)の音楽?というのか、 続きを読む...
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1曲目、"Pierced"の、力強いビートに、咽び泣くようなチェロのメロディが乗っかって、そのハードな表情は、まさに、"ロック"と"クラシック"の、響きのクラッシュ。そうした衝撃が、ずしりと伝わって、ありがちなクロスオーヴァー的クールさとは違う、ヘヴィーですらある聴き応えがたまらなかったり。一方で、ピアノ独奏の"Wed"(track.5)は、なんともアンビエントな仕上がり。シンプルな音の連なりから生まれる、瑞々しく透明な響きには、癒されて... が、そこはかとなしに力強さも感じられ。 続きを読む...
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ペルト、タヴナーの系譜?1曲目、アカペラで歌われる"Had I not seen the sun"から、かなり印象的。澄み切った声による神秘的なハーモニーの、日常を超越した雰囲気は、まるで、人類補完計画が始まりそうな、そんなサウンド。が、ペルト、タヴナーとは一味違う... 先人たちが、中世、あるいは東方教会の聖歌に立ち返ることで生み出したテイストから、宗教性を断ち切って生み出される、屈託の無いユニヴァーサルな感覚というのか、ポジティヴな感性が、作品全体に輝きをもたらすよう。 続きを読む...
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このアルバム、まず、中世云々以前に、オリーガンの音楽に、耳が持っていかれる。合唱の世界で注目を集める... とのことだが、オルランド・コンソートによる4重唱と、エストニア・フィルハーモニック室内合唱団によるコーラスで歌われる「散乱する韻」は、その両者の声、アンサンブルが、美しく響き合い、また心地よいリズムを刻んで、魅力的なサウンドを生み出している。特に、「散乱する韻」の、"韻"はリフレインになって、"散乱"する様が、パルスになって、降り注ぐ感覚は、気持ちよくすらあって... 続きを読む...




タグ:現代
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