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スロー・ライフ、スロー・ミュージック。 [2010]

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ボリビア、チキトス地方... 世界遺産に指定されている、コンセプシオン伝道所の地下室から、偶然、発見された、膨大なバロック期の手稿譜。それを復元し、イギリスのピリオド・アンサンブル、フロリレジウムが中心となって演奏、録音するプロジェクト、"Bolivian Baroque"のシリーズ。2005年のvol.1(Channel Classics/CCS SA 22105)、2006年のvol.2(Channel Classics/CCS SA 24806)に続く、久々のリリースとなったvol.3(Channel Classics/CCSSA 28009)。久々だったからか、より魅力的に聴こえるようで... 何とも言えない素朴でやわらかなハッピー感に包まれて、春めく今の季節にぴったりのサウンド(とはいえ、今日は寒い... )。なのだけれど、ヨーロッパのバロックにはない、この幸福感って、何?!と、vol.3にして、俄然、興味を掻き立てられる"Bolivian Baroque"のシリーズ。その最新盤を聴く。

"Bolivian Baroque"のシリーズ... 興味深いプロジェクトだが、他のレーベルが取り上げるラテン・アメリカのバロック(というのは、どこかイロモノ的な色合いも濃いのだけれど... )に比べると、大人しい。というより、バッハやテレマンのイメージが強い、手堅いピリオド・アンサンブル、フロリレジウムが、ひと癖ある、スパイシーなラテン・アメリカのバロックに挑む?と、未だピンと来ないようなところもあるのだけれど。久々に触れる"Bolivian Baroque"のシリーズ、そのvol.3を聴いてみれば、これまでとは違う気分が漂うようで、シリーズそのものを見直さなくてはならないような、そんな感覚すら覚える。
そもそも、手稿譜の見つかったコンセプシオン伝道所とは、何なのだろう?と、ふと思い、調べる(もちろん、wikiにて... )。そうして見えてくるのは、イエズス会の下、穏やかに暮らしていたであろうインディオの姿... ラテン・アメリカの歴史といえば、そのまま搾取の歴史、という暗いイメージが先行するわけだが、必ずしもそうではなかった時代、場所もあるようだ。ヨーロッパとインディオの文化がやわらかにつながって、伝道所での生活は、充実したものであったよう。また、そこでは、音楽が盛んでもあったようで... そんな記憶が、コンセプシオン伝道所の地下から見つかった手稿譜には、刻まれているのかもしれない。
「バロック」という枠組みに、ふんわりとインディオのカラーが添えられて、やさしく、語り掛けてくるような音楽の数々... ヨーロッパのバロック(劇的で、コントラストのキツイ... )にはない、スローなテイストが魅力のボリビアのバロック。それを、淡々と音にしてゆくフロリレジウム。"ラテン・アメリカのバロック"という色眼鏡を外して、その真摯な演奏に触れれば、18世紀前半の、素朴で穏やかなボリビアの人々の営みを、時を越えて感じられるよう。そして、忘れてならないのが、ボリビアの歌い手たち... 軽やかなソリストたちの歌声、アラカエンダル・ボリビア合唱団のやさしいハーモニーは、何とも言えずハッピー!何気ないことに幸福感を見出すような、生活に密着した喜びを、シンプルに歌い綴って生まれる感覚は、たまらなく人懐っこくもあり、現代人の耳には、癒しにもなり。どこか、失われた楽園から響いて来る歌声のようでもあり...

伝道所が生み出す利益を狙って、1767年、イエズス会が追放される。伝道所はこれをきっかけに衰退。そして、共存ではない、搾取が始まる。

Florilegium & Arakaendar Bolivia Choir Bolivian Baroque vol.3

ロケ・ハシント・デ・チャバリア : フエラ、フエラ!アガンレス、ルガール!
ドメニコ・ツィポリ : トッカータ ニ短調
トマス・デ・トレホン・イ・ベラスコ : 第8旋法によるミサ
作曲者不詳 : ソナタ"チキータナ" 第4番
ドメニコ・ツィポリ : アル・オッフェルトリオ
フアン・デ・アラウホ : アル・ジャント・マス・ティエルノ
作曲者不詳 : シェンプレ・ピアノ
ドメニコ・ツィポリ : カンツォーナ ト短調
作曲者不詳 : アイレス・メ・ヒエラン・アル・ニーニョ
ディエゴ・カセダ : シレンシオ・ノ・チステ・エル・アイレ
作曲者不詳 : ミシオネス・デ・チキートス
フアン・デ・アラウホ : オ・クエ・ビエン・セ・サスペンデン・ロス・シエロス
セバスティアン・デュロン : そよ風はリズムにのって
作曲者不詳 : 8声のサルヴェ
作曲者不詳 : オレンジ娘 〔ルイス・クラフ編〕

フロリレジウム
アラカエンダル・ボリビア合唱団
ジェイムズ・ジョンストン(オルガン)

Channel Classics/CCSSA 28009




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